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210209読んだ本【バカチン】

読書の厄介なところは、酒と同様、逆に本に読まれてしまうことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
言うまでもないけど、〈酒は飲んでも飲まれるな、本は読んでも読まれるな〉ということね(@_@;)

【読んだ本(バカチン)】

尾崎雅嘉(著)古川久(校訂)『百人一首一夕話(下)』(岩波文庫,1973)所蔵本

本書本巻の「巻の八」の「西行法師」の冒頭の作者紹介の一部を引くよ〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・西行俗の時佐藤義清[よしきよ]といへり。この人の名を則清[のりきよ]また
    憲清[のりきよ]と諸書に記せり。宇治左大臣頼基[よりもと]公の台記[たいき]に
    義清と記されたるによりて、義清に決する由日本史に記させ給へり。・・・

本書上巻巻頭の「凡例」に「明らかな誤字や誤刻は正したが、内容については原文を重んじた。」と
あり、本書本巻の「巻の六」の「法性寺入道前関白太政大臣[忠通]」や「巻の七」の「崇徳院」に
ちゃんと「頼長」と記されているんだから、この「頼基」も「頼長」と「正し」とけよなヾ(`◇´)ノ

「凡例」に「・・・振仮名を多く略して・・・」とあるので上記引用の振り仮名も原文ママなのかも
しれないが、本書本巻巻末の「解説」にも〈・・・固有名詞の読み方・・・など、端々に問題はある
としても、・・・〉とあるし、当時「則清[のりきよ]」「憲清[のりきよ]」とも書かれてた以上
「義清」も「のりきよ」と読んだはずで、現に「のりきよ」という「読み方」が一般的だヾ(`◇´)ノ

本書本巻は作者紹介の後に歌を掲げて簡単な解説を施した上で、「西行法師の話」と題して逸話等を
長々と紹介しているが、その冒頭から引く〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    /佐藤義清は藤原秀郷九代の孫にして代々武勇の誉れある家に生れられしに、義清
    ことに勇気ありて弓射る技をよくし、すこぶる六韜三略の兵法に通ず。後鳥羽院に
    仕へ奉りて北面の士となり、従五位下に叙し左兵衛尉に任ぜらる。生得和歌を嗜みて
    その妙に到りければ、後鳥羽上皇その才を愛し給ひてことなる寵賞あり。しかれども
    もとより栄利を喜ばずして、常に世を遁るゝ志ありき。或時上皇義清を検非違使に
    補せんと思召しけるに、義清の心に検非違使は罪人を糺明する職なれば、好まざる事に
    思ひて固くこれを辞せられたり。その後鳥羽の新殿成就の時、上皇当時の名人共に
    命じて画障子の和歌を奉らしめ給ふに、義清即日十首の歌を詠みて奉られければ、
    大いに叡感ありて朝日丸といふ御剣を下し賜はり宮中よりもまた恩賜ありければ、
    親族こぞりて義清の誉れを賀しけれどその身はこれを楽しまず。・・・

頻出する「後鳥羽」は全て「鳥羽」じゃないと変だし(西行は1118年生まれの1190年没で、後鳥羽は
1180年生まれ)、「鳥羽の新殿成就の時」云々は「・・・実はこれがすべて『西行物語』作者の想像
であり、虚構の伝記である。」(桑原博史[全訳注]『西行物語』[講談社学術文庫,1981])(^_^;)

ところが、本書本巻の表紙カヴァーには次の内容紹介文が載っている∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?

    /この書物の面白さは何といっても作者をめぐる豊富なエピソードにあるが,
    その典拠は『源氏物語』をはじめとして『伊勢物語』『枕草子』『土佐日記』
    『蜻蛉日記』『明月記』等々,驚くほど広い範囲にわたっている。ページを
    繰るにつれて,江戸人の教養の底力がひしひしと伝わって来るかのようである。
    ・・・

御覧の通り、「典拠」とした文献の記述の真偽は見極められてないし、次の例の如く文献には書いて
いないことまで捏造してるのに、「教養」が無いらしく騙されてしまってるオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

    ・・・/後鳥羽院口伝に西行は才思天成にして常人の学び得る所に非ず、
    人麿の後身といふべしと宣へり。・・・

「後鳥羽院御口伝」には西行は柿本人麻呂の後身なんて書いてねーよヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

渡部泰明&小林一彦&山本一(校注)『歌論歌学集成 第七巻』(三弥井書店,2006)所収の山本一
(校注)「後鳥羽院御口伝」から後鳥羽院による西行評の件を引いておくオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

    ・・・西行は、おもしろくて、しかも心もことに深く、ありがたくいできがたき方も、
    ともにあひ兼ねて見ゆ。生得の歌人とおぼゆ。おぼろげの人、まねびなどすべき歌に
    あらず。不可説の上手なり。・・・

・『百人一首一夕話』は注釈が無いので江戸時代だけでなく現代でも誤った情報を垂れ流してる(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-10

・月岡芳年がパクった『百人一首一夕話』の挿画に尾崎雅嘉が書いた歌はミスマッチじゃんヾ(`◇´)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-12

・恋歌を「出家遁世の心境を吐露したもの」としたり『西行物語』作者がフリーダムすぎヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2016-07-03

・『西行物語』作者の和歌に対する見識の無さは、「実方中将の墓を訪れる場面」からも判るよ(-ω-、)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-03-09

・西行の「願はくは」は辞世の歌どころか「晩年」に詠んだ歌ですらないヾ(`◇´)ノ彡☆コノ!バカチンガァ!!
    
 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-02-24

・『おくのほそ道』の遊行柳の件の西行の歌について苑子タン、また調べずに書いてるよ(ノ_-;)トホホ…

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-11

・新潮社の校閲は出版界一と自画自賛するが、西行が歿したのは文治6年(1190年)2月16日ヾ(`◇´)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-02-15

・金田一春彦が紹介してるのは西行の「逸話」じゃなく「古典落語の演目の一つ」or「伝承」の類(-"-)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-04

・こんなデタラメだらけでも目崎徳衛が「西行研究の第一人者」だなんて吃驚仰天だよヒィィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomunjanakatsuta-orz.blog.ss-blog.jp/2018-10-28

・もし藤原公任だったら、和歌、漢詩、管弦に造人を加えて、三船ならぬ四船の才にヒィィィィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-03-08
タグ:和歌 列伝 説話
コメント(10) 
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コメント 10

nikki

最近読書の厄介シリーズ続いてますが。
by nikki (2021-02-09 22:20) 

ニッキー

内容紹介文って結構重要だと思いますが
ちゃんと読んでその文面なのか
パラパラと読んで「こんなもんだろう」なのか・・・
どちらにしてもアテにならない紹介文もあるってことですね(*_*)
by ニッキー (2021-02-09 22:45) 

tai-yama

「後鳥羽」と言えば「承久の乱」ですね。
「江戸人の教養の底(程度)」が見えたとも言えたり(笑)。
by tai-yama (2021-02-09 23:45) 

ナベちはる

本を読み過ぎて「文字酔い」…でしょうか。気を付けないといけないですね(;`・_・´)
by ナベちはる (2021-02-10 02:12) 

middrinn

なかなか思い付かなくなってきたので、
nikki様、そろそろ打ち止めかも(^_^;)
by middrinn (2021-02-10 05:54) 

middrinn

出版社としては売りたい一心で、
ニッキー様、誇張しそう(^_^;)
by middrinn (2021-02-10 05:57) 

middrinn

「六韜三略の兵法に通」じてるから、承久の乱で活躍してもらいたかったのかも(^_^;)
tai-yama様に( ^o^)ノ◇ 山田く~ん 「江戸人の教養の底」が見えた座布団1枚 ♪
by middrinn (2021-02-10 06:01) 

middrinn

ナルホド!( ̄◇ ̄;) たしかに多読で「文字酔い」はありそうですね(^_^;)
ナベちはる様、誤った記述を真に受けて本に支配されてしまう意です(^_^;)
by middrinn (2021-02-10 06:04) 

そら

ドラマと一緒かな?
24とか(^^;
by そら (2021-02-10 06:43) 

middrinn

酒や本のように頭や心がコントロールされて
しまうようなドラマがありましたか( ̄◇ ̄;)
by middrinn (2021-02-10 06:49) 

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