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210112買った本&読んだ本

歌川広重《桜に猿》の画賛が「秋山閑望」だったり、「本」とは無関係な「本」ブログだったり(@_@;)

【買った本&読んだ本】

尾崎雅嘉(著)古川久(校訂)『百人一首一夕話(上)』(岩波文庫,1972)

Amazon出品者「水たま書店(東京都古書籍商業協同組合加盟店)」に「可」400円(送料等0円)を9日に
注文し12日に届く(^^) コンディション説明文は「中古品 - 可 - 【状態】上巻のみ。天にイタミ有。
本文にヤケ有。経年のヤケ・汚れ有。1991年(24刷)。文庫。カバー付。 通読には問題ございません。
【1点1点チェックはしておりますが中古品の為、記載にない日焼け・折れ・擦り傷・小さな書込み・
経年よる使用感がある場合がございます。記載にない帯・特典・付録等は付属しておりません。】 ■
商品お届け後のお客様のご都合による返品の場合、送料と手数料を差し引いた商品代金のみのご返金
となります。 ■古書ですので在庫は一点ものとなっております。」だが、天の「イタミ」と「経年の
ヤケ」ぐらいで、書き込み等は見当たらず、「良」でも充分に通用するヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
梱包はプチプチ等ではなく透明ビニールに包んで紙封筒に入れただけだが、奈良の同店「桜井倉庫」
から追跡が可能なゆうパケットで発送された点のポイントが高いので、問題ナシオン主権ウラー!(^o^)丿

本書の上巻は天智天皇で始まる「巻の一」から三条院で終わる「巻の五」までを収録してる(⌒~⌒)

下巻の巻末の「解説」で古川久は「版数や部数は知る由もないが、表紙や奥付の違うものがあちこち
見当るところからしても、およそ普及度の高さを察することができよう。」と記す(^^) この「普及度
の高さ」は当時のアート=浮世絵の世界にも波及したらしく、鈴木重三(監修)『生誕200年記念
歌川国芳展』(日本経済新聞社,1996)の「出品目録・作品解説」で、岩切友里子も記している(^^)

    /「百人一首」は、天保四年(一八三三)に尾崎雅嘉の注解書『百人一首一夕話』が
    大阪[ママ]で出版され、江戸でも天保中期に北斎の「百人一首うばが絵とき」の
    揃物が刊行されているなど、広く迎えられていたようである。・・・

ちなみに、北斎《百人一首うばがゑとき》は「不評」だったらしく「刊行が中断してしまった」由、
然もありなん(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-04 )という感じ(^_^;)

本書の影響力は大石真虎による本書の挿画を歌川国芳や月岡芳年がパクったことからも判る( ̄◇ ̄;)

歌川国芳による百人一首の揃物(一部の図は未刊行に終わったらしい)を岩切友里子は次の解説(^^)

    ・・・[国芳「百人一首之内」の]五十三図「右大将道綱母」では『百人一首一夕話』の
    僧正遍昭の図を借用したり、歌意そのものではなく同書に伝えられる話を題材にしている
    図などがあり、同書の普及を背景に制作されたものと思われる。・・・

月岡芳年が大石真虎による本書の挿画をパクっていることは、岩切友里子(編著)大蘇芳年(画)
『月百姿』(東京堂出版,2010)86頁から(一部の繰り返し符号は使用せずに)引く(⌒~⌒)

    /藤原公任(九九六~一〇四一)は、平安時代の公卿で四条大納言と称され、歌人として
    その名を知られる。/図は、白梅の花を扇に載せて雪の庭を行く公任の姿。『撰集抄』
    巻八第十四「公任中将之時折梅花歌事」に記される逸事で、天保四年(一八三三)刊の
    尾崎雅嘉著『百人一首一夕話』巻五「大納言公任」にもほぼ同じ話が以下のように
    記されている。

      若かりし時、或年のきさらぎ中の十日の初めつ方、雪いみじく降り重ねて
      月ことに明かく、木ごとに花咲く心地していづれを梅と分きがたきに、
      公任の中将を召して梅の花を折りて参れと遣されけるに、程なく雪をも
      散らさず折りて参られけるに帝いかゞ思ひつると仰せのありければ、
      かくこそ詠みて侍りつれとて、

        しらしらとしらけたる夜の月かげに雪かき分けて梅の花折る

      と申されければ大いに賞でさせ給ひ、叡慮ことに麗はしかりけるに感じて、
      ゆゝしきまでに落涙せられければ主上も御袖を濡らさせ給へり。公任は
      この世の思ひ出はこの事に侍るとて、申し出てらるゝ度ごとに袖を
      絞られけるとぞ。

    同書には、大石真虎筆の挿図(図41)があり、芳年は『百人一首一夕話』に本図の題を
    得たものと思われる。公任の衣の黒地には有識文様正面摺が施されている。/

なお、『撰集抄』の同話の設定があり得ぬことに川口久雄(全訳注)『和漢朗詠集』(講談社学術庫,
1982)や (校注・訳)『新編日本古典文学全集19 和漢朗詠集』(小学館,1999)は気付かず
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-10-25 )ヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

『百人一首一夕話』からの上記引用は、雪と白梅の花の区別がつかぬ状況(「木ごとに」とは木+毎
=梅の意で『古今和歌集』の紀友則の歌を踏まえている)で、「公任の中将」が帝に命じられて雪を
散らさずに梅の花を折ってきて詠んだ「しらしらと」の歌を帝に褒められ、公任は感涙し、帝も貰い
泣きしたというのが「この世の思ひ出」であると語る度に藤原公任は袖を濡らしたといった話(^_^;)

さて、さて、さ~て! やっと本題(^o^)丿ヾ(-_-;)やっとも何も誰も読んでないかも! 本書の下巻を
購入した際に「本書には大石真虎による挿画も収録されてるけど、挿画中に書かれている文章を文字
に起こしたものが注の如く各項の末尾に付されている点が購入理由の第二」であると記したわけだが
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-10 )、気になったのは、本書上巻の
「巻の五」の「大納言公任」の挿画(前述の芳年『月百姿』がパクった画)に書かれた文章(@_@;)

    後撰 なほざりに折りつるものを梅の花こき香に我れや衣染めてん 閑院左大臣

この「大納言公任」の挿画に書かれている文章は、藤原公任の「しらしらとしらけたる夜の月かげに
雪かき分けて梅の花折る」ではなく、閑院左大臣こと藤原冬嗣が詠んだ『後撰和歌集』入集歌である
「なほざりに折りつるものを梅の花こき香に我れや衣染めてん」だと∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?

工藤重矩(校注)『和泉古典叢書3 後撰和歌集』(和泉書院,1992)の同歌の大意を引くv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    軽い気持ちで手折ったのだが、いっそ梅の花の香を衣にしみ込ませてしまおうかな。

片桐洋一(校注)『新日本古典文学大系6 後撰和歌集』(岩波書店,1990)だと次の通りv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    何げなく枝を折っただけなのに、この梅の花はその濃い香りで、私はすっかり衣に
    しみこませてしまったのだろうか。

『後撰和歌集』では「春歌」に入っているが、「女を梅花に喩えた恋の歌とも解しうる。」(工藤・
前掲書)、「・・・梅の花を女に喩えて言ったと見るとよくわかる。」(片桐・前掲書)とある(^^)

慎重に「雪をも散らさず折」るのと「軽い気持ちで」「何げなく」折るのとでは全く違うはずだし、
大石真虎は広げた扇に梅の枝を載せて帝のもとへ雪の庭を静静と進む立ち姿を描いて同説話の一場面
を上手く再現していると思うけど、この挿画に尾崎雅嘉が書いた冬嗣の歌はマッチしないヾ(`◇´)ノ

・著者が外国人で訳者が有名美術史家の娘だから岩波も出したのではと邪推したくなるほどの愚書(-"-)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2019-04-24

・北斎《百人一首うばがゑとき》で間違った解釈をしてる浮世絵研究者ヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2019-05-08

・「新・北斎展」の「詩哥写真鏡 春道のつらき」、どこが秋の画なんだヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2019-03-13

・広重が漢詩文の意味も解せずに画賛として用いた単なるバカチンの可能性もあるわなC= (-。- ) フゥー

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2020-08-02
コメント(10) 
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コメント 10

ニッキー

送料0円で追跡可能なゆうパケットで
送付してくれるのは嬉しいですねぇ( ^ω^ )
1991年の本に書き込み等もなく経年ヤケや
天のイタミくらいって結構丁寧に扱われてたのかな=(^.^)=
by ニッキー (2021-01-12 22:04) 

tai-yama

月岡芳年は大石さんのことを(今で言う)「オマージュ」したのかも。
パク〇ではないっ!と。何気なく、冬嗣の歌を挿入してしまった
のかも(笑)。
by tai-yama (2021-01-12 22:59) 

ナベちはる

書き込み等がないうえに追跡可能な形で本が手元に…嬉しいですね(^▽^*)
by ナベちはる (2021-01-13 01:22) 

middrinn

今回のは趣味人が買うような本ですから、
ニッキー様、書き込みしなさそう(^_^;)
by middrinn (2021-01-13 06:20) 

middrinn

尾崎雅嘉は、「軽い気持ちで」「何げなく」、
tai-yama様、関係ない歌を書いたと(^_^;)
by middrinn (2021-01-13 06:23) 

middrinn

やはり追跡可能かどうかがポイントで、
ナベちはる様、安心しますね(^_^;)
by middrinn (2021-01-13 06:25) 

そら

上巻だけだと下巻も欲しくなりますね
何処かで探さなきゃ!!
by そら (2021-01-13 06:40) 

middrinn

下巻の方は先日ブックオフで購入したんですよ(^o^)丿
フツーは上巻を読んで下巻も買うか判断しますが^_^;
by middrinn (2021-01-13 06:42) 

nikki

ポンタポイントで、
少し工夫するとamazonで買い物ができる。

今日のブログの元ネタ、
CBCラジオや東海ラジオで午後3時に流れていた大須ういろうのCM
「わーい3時だ。大須ういろうの時間だ」そのあと歌が流れる。
「一番初めは一宮・・・」。
もうそのラジオCMは終了してしまいました。
先日のヨシカミ記事「値段は高いが、いいあじです」も、元ネタが。
by nikki (2021-01-13 19:02) 

middrinn

Pontaは毎日1pゲットで、まだ70p程度です(^_^;)
色々と本歌取り(?)をされてたんですね( ̄◇ ̄;)
by middrinn (2021-01-13 19:27) 

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