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240423読んだ本【バカチン】

二段階認証のはずなのにメールが来ない(´・_・`) 関係ないクレカ&サイトからは山ほど来る(-_-)

【読んだ本(バカチン)】

武田早苗『相模 コレクション日本歌人選 009』(笠間書院,2011)

本書の86~87頁では「伊勢大輔集・一三二」を出典とする相模の歌を取り上げて解説しているので、
詞書&その訳(本書86頁の脚注欄)、当該歌&その訳(本書86頁)、解説の前段(本書86~87頁)を
順に引く(@_@;)

      入道が失せたる頃、時雨せしに、相模

       (出家して)入道(となった高階成順)が亡くなった頃、
       時雨がした折、相模が遣わした歌

    見し月の光なしとや嘆くらん隔つる雲に時雨のみして

     (成順さまが亡くなり、あなたは以前に)見た月の光がない(ように感じられる)と
     嘆いていらっしゃるでしょうか。(月とあなたとを)隔てる雲のせいで、(あなたが
     流す涙の)時雨ばかりが降って。

    /伊勢大輔の夫、高階成順が亡くなった頃、相模が遣わした弔問の歌。成順の死は、
    『拾遺往生伝』によれば、長久元年(一〇四〇)八月十四日。/亡くなった人は、
    生前、月のように照らしてくれていただろうに、火葬され煙となって、空に立ち
    昇った。今はその煙は雲となり、月の姿を隠している。その雲を亡くなった人と
    見てあなたは涙を流し、それは時雨となって降り続いているのでしょうと詠んだ
    もの。これに対し、大輔は、「月影の雲隠れにしこの宿にあはれをそふるむら時雨
    かな[=〈「月の光が雲に隠れてしまったこの家に(さらに)しみじみとした趣を
    そえる(ように、時々強く降っては止む、私の涙のような)時雨ですね。」(伊勢
    大輔集・一三三)〉と本書87頁の脚注に]と返している。「むら時雨」の使用は、
    現存ではこの伊勢大輔歌が初期に属する。あえて珍しい語を用いたのは、歌人相模
    からの弔問であることに対する、配慮であろうか。/・・・

伊勢大輔タンの凄さを教えられて勉強になりましたm(__)m 詞書から「高階成順が亡くなった頃」に
詠まれたと解され、解説末尾に「火葬の煙は空に立ち上り[ママ]、雲・霞・霧となったと見るのは
和歌の上では常道である。」(本書87頁)との指摘もあり、完璧に読み解いているように見えるが、
ありえぬミス(^_^;) 「時雨」というのは初冬=10月が平安時代の「和歌の上では常道」であって、
「高階成順が亡くなった頃」=「八月」に「時雨」なんて詠むはずねーだろオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)の「しぐれ【時雨】」の項から(⌒~⌒)

    /晩秋から初冬にかけて降るにわか雨。『万葉集』では・・・九月と十月、つまり
    晩秋・初冬のものとされていたが、平安時代に入ると、冬のものとして固定し、
    秋の部に入っている場合でも・・・「今は九月だから十月のものである時雨はまだ
    降らないのに」という文脈で用いられており、「十月の雨をば、しぐれといふ」と
    『能因歌枕』がいっているように、時雨は十月の雨、初冬の雨として定着して
    しまったのである。/・・・

久保木哲夫(校注・訳)『私家集注釈叢刊2 伊勢大輔集注釈』(貴重本刊行会,1992)によると本書
が引いた詞書は東海大学蔵のⅡ類本ので、流布本(Ⅰ類本)を底本とする同書は「同じころ、相模」
という詞書になっていて、その直前の藤原定頼との贈答歌の詞書「その人亡くて、後業の経の外題、
四条中納言に書かせ聞こえしに、添へられたりし」(=「その人が亡くなって、死後の法要のための
経の外題を、四条中納言に書いていただいたところ、出来あがった経に添えられていた歌」と同書訳)
を受けており、この贈答歌が『四条中納言定頼集』では「筑前の入道[=筑前守だった高階成順]の
四十九日の経の外題書かせたてまつりける、書きて返しやり給ふとて」という詞書になっていること
から、同書は次のように指摘しているv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・夫成順の死は、『拾遺往生伝』によれば「長久元年八月十四日」である。
    ただしこの記録は現段階では他のどの資料にも見られず、確認のしようがないが、
    本贈答の詠歌時期が、もし詞書にあるように「同じころ」、すなわち法要のころで、
    その法要が前段で述べたようにもし四十九日忌だったら、それはちょうど十月の
    初頭となり、「時雨」にはまことにふさわしい時期となる。『拾遺往生伝』の記事
    は案外信じられるものかもしれない。/
タグ:和歌
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

二段階認証のメールがスパム扱いになっていたり(笑)。
長久元年八月十四日・・・あと1日ずれていたら終戦記念日っ。
八月って結構悲しい月なのかも。
by tai-yama (2024-04-23 23:11) 

middrinn

ただ、『拾遺往生伝』に入ってますから、往生できたと思われてたかと(^_^;)
by middrinn (2024-04-24 05:42) 

df233285

そうですね。特定季語を使う月を間違えてもいけないし、自分の学歴を
間違えて理解してもいけないですよね。図書施設横断貸出システム
の導入を訴えたら、いまのあの方では、問題図書館の予算削減で
答えるトンチンカンかもしれないですねぇ。もっと大きく国も下り坂
だし、あの方も巷の噂通りひょっとして間もなく引退なんでしょうね。
by df233285 (2024-04-24 07:40) 

middrinn

都立図書館からの協力貸出や、近隣自治体の図書館
との協力貸出のネットワークがあり、所蔵してない
資料もリクエストをすれば貸出可能ですよ(^_^;)
多作の首長が何代か続いたので、もし図書館予算が
増えてもその著作を購入させられたりして(^_^;)
by middrinn (2024-04-24 14:35) 

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