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221127読んだ本

「驕る平家は人に非ず」とか「平家に非ずんば久しからず」とかも正解にして良・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

【読んだ本】

萩谷朴『日本古典評釈・全注釈叢書 紫式部日記全注釈 上巻』(角川書店,1971)所蔵本

大中臣輔親の妻の蔵命婦は、藤原教通(道長の子で頼通の弟)の乳母としてより、後妻[うわなり]
打ちを行なったことで北条政子と並んで知られるが、藤原行成の日記『権記』の寛弘7年(1010年)
2月18日条と藤原道長の日記『御堂関白記』の長和元年(1012年)2月25日条を、国際日本文化研究
センター「摂関期古記録データベース」の書き下し文で引用する(なお、『小記目録』の長和元年
[1012年]2月25日条にも「二十五日。祭主輔親家、嫉妬の闘乱の事。」とある由)(^_^;)

     十八日、戊戌。

    鴨院より忠光、走り申して云はく、「西対に濫行有り。是れ左大殿の権中将の随身
    并びに下女三十人ばかり、入り乱る」と云々。是れ彼の君の乳母蔵命婦の作す所なり。
    仍りて左府に参り、案内を申す。即ち御随身等を差し遣はす。余、亦、彼の院に向かふ。
    西対の故兼業の妻の居る所なり。祭主輔親、日ごろ寄宿す。嫉妬の為に彼の命婦、
    人を送るなり。内の財雑物、破損す。極めて非常なり。


     二十五日、癸亥。

    中宮より大内に参る。罷りて皇太后宮に参り、土御門に来たる。内に候ずるに、
    「祭主輔親の宅に家の雑人、多く至りて、濫行を成す」と云々。仍りて随身を遣はし、
    案内を問はしむ。「辰時ばかりの事なり。只今、一人も無し」と云々。仍りて家業を
    以て日記を成さしむ。「是れ蔵と云ふ女方のうは成打」と云々。家業、件の女方の因縁
    なり。仍りて此れを遣はす。夜に入りて、日記を持ち来たる。「面を知る者、只今、
    一人なり」てへり。搦め進るべき由を仰せ了んぬ。外記実国、内案を持ち来たる。
    触穢に依りて見ず。行なはるべき由を示し返し送り、皇太后宮大夫に上る。

前者の方は「輔親[が]、日ごろ寄宿」してる「西対の故兼業の妻の居る所」を襲撃しているが、
後者の方は「輔親の宅」を襲撃していて、女=後妻[うわなり]の家であるとは記していないので
(ただ、「宅」は「室」ではないかと萩谷朴は本書で指摘)、道長は「宇波成打[うわなりうち]」
と記しているけど、単に「後妻嫉妬[うわなりねたみ]」なのではないかと(@_@;)

萩谷朴は本書で両事件を紹介した上で次の如く指摘してるキタ━━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━━!!!!

    ・・・教通が生まれた長徳二年(九九六)もしくはその前年末あたりに、
    [藤原]家業[←有国の子で、『御堂関白記』の上記の記述に登場]妻と
    なるべき女を生んで、教通の乳母に出仕したのであるかもしれない。
    長徳二年には、天暦八年(九五四)生まれの輔親は四十三歳であった。
    おそらく二十歳ほども年の違う若い妻に頭が上がらなかったのであろうか、
    寛弘七年には五十七歳、長和元年には五十九歳の老境に入っても、輔親は
    なかなかの発展家であったのであろう。内蔵命婦も教通の乳母という権勢を
    かさに着て、老夫の浮気を容易に許してはおけなかったに違いない。・・・

萩谷朴の注釈書はホント面白い(^_^;) ただ、気になったのは、この後に続く本書の次の記述(@_@;)

    ・・・そもそも輔親は、『大中臣系図』によれば、一男輔隆のほかは女子ばかりで、
    一女能登守実宗(房カ)妻・二女筑前守成順妻(伊勢大輔)・三女大和守親国妻・
    四女越前守懐平(尹カ)妻・五女摂津守懐信朝臣妻・六女前越中(前カ)守経守
    (宗カ)朝臣妻・七女上野守家業妻・八女大副守孝妻・九女出羽守兼長朝臣妻と、
    九人の女子(『尊卑分脈』らは、このほかに、伊周妻忠親母・実方妻少将内侍母
    をあげているが、実方は実房の誤りであろうし、他にも同人重出ということも
    考えられる)を儲けているので、すこぶる精力家であったことが知られる。・・・

藤原実資の日記『小右記』の長和2年(1029年)4月4日条に輔親が藤原頼通を饗応した一件を橘内位が
実資に話したことが出てて(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-11-26 )、
「内位の妻は、輔親の女である」(倉本一宏編『現代語訳 小右記15 道長薨去』[吉川弘文館,2022]
262頁)とあるが、この「内位の妻」が「九人の女子」にない(@_@;) 「同人重出」なのか(@_@;)

保坂都『大中臣家の歌人群』(武蔵野書院,1972)によると、輔親の家集の「三分の一」は恋の歌で、

    ・・・しかも相手の女性は、姓名の判るものはなく、すべてが、ある女・
    はしめての女・むかしかたらひし女・すみける女・むつましからぬ女・
    かわひし女・しりたる人・ほのしりたる人・中たえたる人・むつましき人・
    心かけたる人・けさうたつ人・いもうと等の呼称で恋の世界の遍歴の経験も、
    相当の武者[←つわもの、強者、猛者の意かと]であったことが想像される。
    ・・・

として、保坂都は『権記』の記述(上述)も「・・・相聞歌を多く残したことも納得出来て、輔親の
一生は相当情事に彩られていたものと察せられる。」と指摘している〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

・伊勢大輔タンの父である大中臣輔親も道長に促され即興で秀歌を詠んだという血は争えない話(⌒~⌒)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-03-03

・中宮彰子が最終兵器伊勢大輔タンに「アレを取れ!」と出撃命令キタ━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━!!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-01-10

・彰子からの出撃命令を受け、伊勢大輔タン、こっそり女院に侵入した女房たちを見事撃墜v( ̄∇ ̄)ニヤッ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-12

・優れた歌人輩出の大中臣家の末なので伊勢大輔タンの孫娘に御指名キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━!!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-26

・伊勢大輔タン「いにしへの」の解釈で苑子タンを始め馬鹿が多すぎるヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-01-16

・エガちゃんじゃないが、伊勢大輔タンは確実に伝説を創り、生ける伝説だったという話ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-19

・少なくとも70代前半にはなっていたはずも老いてなお歌を召されるほど活躍していた伊勢大輔タン(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-06-07

・伊勢大輔タンの容貌を褒めつつ、その欠点を論うことも決して忘れない紫式部の性格の悪いこと(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-16

・そんな紫式部にも「気に入られるような、つつましく素直で、人なつこい人だった」伊勢大輔タン(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

・降り積もった雪が若菜を摘んでるのかしら、だなんて、伊勢大輔タン、発想が可愛いよん(〃'∇'〃)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-02

・末次由紀『ちはやふる』(講談社BE LOVE,2019)42巻は伊勢大輔タンの歌が解ってないぞヾ(`◇´)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-09-08

・「後の和歌史」と異なり、室町中期に伊勢大輔タンの歌に興味を持った人がいたわけだv( ̄∇ ̄)ニヤッ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-22

・高階家という接点があるから伊勢大輔タンと清少納言との間に贈答歌もありそうなんだけど(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-02-14
タグ:和歌 歴史
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

実は、いもうともいるけど、ババアたるひとも居たりして(笑)。
高位な人なので、金目当ての女性も居たのかも。
by tai-yama (2022-11-27 23:14) 

ナベちはる

精力家の話、本当だったら現代でもうらやむ人が出てくるぐらいですね(◎_◎;)
by ナベちはる (2022-11-28 01:05) 

middrinn

大中臣輔親は公卿になりましたけど、代々伊勢神宮祭主の家柄で、
tai-yama様、この情事だらけの人生はどうなんでしょう(^_^;)
頼通を饗応できたほどの財力があり、伊勢大輔タンはお嬢様(^^)
by middrinn (2022-11-28 05:53) 

middrinn

老いてもモテて、ここまで嫉妬されるというのは、
ナベちはる様、よほど魅力があったのかも(^_^;)
子沢山で少子化担当大臣歓喜・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
by middrinn (2022-11-28 06:45) 

df233285

なんかXBB.1菌みたいで、冒頭は怖い話ですね。
by df233285 (2022-11-28 07:36) 

middrinn

「グリフォン」「ケルベロス」という命名は
変異株の特徴に由来するんですかね(@_@;)
次のワクチン接種が早まったりして(@_@;)
by middrinn (2022-11-28 08:42) 

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