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221128読んだ本

ネット通販は現物を実見できないので副題(サブタイトル)があるなら必ず表示してほしい(@_@;)

【読んだ本】

倉本一宏編『現代語訳 小右記15 道長薨去』(吉川弘文館,2022)

副題にあるように「道長薨去」が本書のハイライトだけど、本書の序盤に早くもそのシーンは訪れて
しまうので、残り=本書の大半では35歳年下の関白藤原頼通(道長の子)と右大臣藤原実資の関係性
を見極めようと読んでる小生(^_^;) そーゆー視点を設定した理由は、倉本一宏が本書巻頭の「本巻の
政治情勢と実資」という内容紹介&簡単な解説で、この藤原実資の日記『小右記』からちょっとした
ゴシップ的記述を紹介し、ソレに対する従来の「解釈」に異を唱えているのを先に読んだから(^_^;)
その件についてはさておき、その「本巻の政治情勢と実資」に次の記述(本書17頁)もあった(^_^;)

    ・・・/なお、九月二十六日、伊勢の荒祭神(皇大神宮[こうたいじんぐう]〈内宮〉
    の境内別宮)が人に託して、「関白は天下を亡乱している。極めて愚かなことだ」
    という託宣を行なっている。また、大僧正深覚[しんがく]は忌諱を憚らず、関白を
    諷諫し、これに万人が感歎した。頼通の執政態度(と能力)に対する批判は、当然の
    こと、実資の耳にも入っていたことであろう。/

非常に興味深い内容なので、長元2年(1029年)9月26日条の問題の件を本書315頁から引用する(^_^;)

     二十六日、辛巳。 大膳大夫から進物/伊勢御幣使従者を打擲[ちゅうちゃく]した三人
              を禁獄/頼通が天下を亡乱しているとの神託/深覚、頼通を諷諫

    ・・・黄昏、尾張守(平)惟忠が来て云ったことには、「一昨日、入京しました」と。
    雑事を言った。「先日、関白[よりみち]の随身右近番長播磨貞安と雑色二人を獄所に
    下しました。法成寺の材木を曳かせていた際、山科に於いて伊勢御幣使の従者を打擲
    しました。その事によって、禁固されました」と云うことだ。「貞安は獄に拘禁しま
    した。政所の雑色二人は、牢屋に拘禁しました。悩まれていた際、伊勢の荒祭神
    [あらまつりのかみ]が、人に託して雑事を宣したことには、『関白は天下を亡乱
    している。極めて愚かなことだ』と云うことでした。秘して漏らしていません。また、
    この託宣から数日の後、貞安たちの事が、更に発りました」と云うことだ。「また、
    深覚大僧正は忌諱[きき]を憚らず、関白を諷諫しました。万人は感歎しました」と
    云うことだ。

播磨貞安らが「伊勢御幣使の従者を打ち損なふ」事件と「託宣」との先後関係がよく解らん(@_@;)
「悩まるる間、」と、「亦、此の託宣より数日の後、貞安等の事、更に発る」の「更に」とがイミフ
である(@_@;) 「貞安、獄に候ぜしむ。政所の雑色二人、囹圄に禁ず。」の後なら如何にも感のある
「託宣」になるけどね(^_^;) それに、「諷諫」の方もその肝心な内容を記していないところは既視感
だけど(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-11-14 )、望蜀の不満か(^_^;)
タグ:歴史
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

伊勢の荒祭神は播磨貞安のシンパなのかな・・・
実資から見れば、頼道は道長に遠く及ばないと見ていたのかも。
by tai-yama (2022-11-28 23:58) 

ナベちはる

現物を直接見ることができないのは、ネット通販におけるデメリットですよね((+_+))
衣類関係にしても、実際に着けてみないと分からないことがあるのでそれが出来ないのはある意味で怖いなぁと思います。
by ナベちはる (2022-11-29 01:22) 

middrinn

関白の藤原頼通に仕えている播磨貞安らが伊勢御幣使の従者を打擲したことに対し、
tai-yama様、伊勢の荒祭神は怒って「関白は天下を亡乱し極めて愚か」と(^_^;)
そうではなく、託宣の内容を知ってたか知らずにか播磨貞安らが打擲したと(^_^;)
そもそも先例に関する知識・経験が物言う貴族社会で35歳年下ですからねぇ(^_^;)
by middrinn (2022-11-29 05:55) 

middrinn

たしかに、服も実際に試着してみないと、
ナベちはる様、不安がありますね(^_^;)
モデルが着ている画像の顔の部分を自分に
変えられて確認できるといいかも(^_^;)
by middrinn (2022-11-29 06:16) 

df233285

何せ藤原頼通にとって、長元2年は謎の年ですよね。
wikiによると、7月には「宅の門外で、但馬国の百姓が、
『放呼こ』」し、web上に、その謎のフレーズ『放呼こ』
が、訂正されずに数回コピペされ、繰り返して出現して
いるようですから・・
by df233285 (2022-11-29 08:01) 

middrinn

国際日本文化研究センターの「摂関期古記録データベース」で
長元2年を「但馬」で検索しても、該当する記事はヒットせず、
『小右記』目録の同年3月3日条に「三日。但馬国の百姓、国司
[←藤原能通かと]の不善を訴ふ事。」とあるだけです(^_^;)
wikiの「長元」の項が「長元期におきた出来事」の「7月」に
挙げる「但馬国百姓、関白藤原頼道宅の門外で放呼こする。」
の典拠は小生には分かりかねますが、別の年のことかも(^_^;)
by middrinn (2022-11-29 10:40) 

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