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220927読んだ本

上を上とも思わぬ者は下も下とは思わないかも(@_@;) 平等主義者ゆえ儀礼軽視だったり(@_@;)
気温は30度に届かないし日射しも強くないが、メチャ暑く感じて夜になっても涼しさを感じぬ(+_+)

【読んだ本】

中村真一郎『日本古典にみる性と愛』(新潮選書,1975)所蔵本

「中村真一郎といえば現代の作家の中でももっとも多読家の一人・・・」と坪内祐三は高評したが、
日本の古典に関しては「多読」ではあっても実は誤読・曲解・付会しまくっていることに気付いて、
『平家物語』『大鏡』『平中物語』『枕草子』を例に本書や中村真一郎『色好みの構造─王朝文化の
深層─』(岩波新書,1985)の間違い等を指摘してきたC= (-。- ) フゥー 本書の「18 乳房の験証==
『大鏡』」の一節を引く( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

    ・・・/また、ある貴族が時の帝の妹で、内裏住いをしている女性と秘かに関係を持った。
    これは世評では「不都合なこと」、怪しからんことであった。これは兄帝の承認なしに、
    密通したことが醜聞になったのである。しかし兄帝は一方でこの貴族をも愛していたので
    不問に付している間に、この女性はその貴族の正夫人となり、二人の間に生れた子は、
    やがて権力の中枢にまで昇った。/・・・

『大鏡』の記述は引かないけど、「ある貴族」とは藤原師輔、「時の帝」は村上天皇、「帝の妹」は
康子内親王、「二人の間に生れた子」は藤原公季(^_^;) たしかに藤原公季は太政大臣にもなったが、
摂政・関白になったわけではないので、「権力の中枢にまで昇った」なんて、匿名化によって読者を
ミスリード(^_^;) 「不問に付している間に、この女性はその貴族の正夫人となり」も「兄帝の承認」
が無いまま結婚したように読めるが、「内親王は婚姻令により、許可なく臣下とは結婚できない。」
(雨海博洋&岡山美樹[全訳注]『大和物語(上)』[講談社学術文庫,2006])(^_^;) ちなみに、
藤原師輔は以前に勤子内親王と結婚し、更に妹の雅子内親王とも関係を持っており、〈・・・大鏡は
「康子の所に密かに通い」と書くが、[醍醐天皇]皇女三人と次々に関係を持つ師輔の行為が、人々
のひんしゅくを買う。時の帝[村上天皇]も快くは思わなかった。・・・〉と山口博「右大臣師輔の
靴下」(文藝春秋編『エッセイで楽しむ日本の歴史(上)』[文春文庫,1997]所収)は指摘(^_^;)
なお、雨が激しく降って雷も鳴っている日に康子内親王が怖がっているだろうと心配した村上天皇は
殿上人たちに康子内親王のもとへ参れとおっしゃったのに、藤原実頼(師輔の兄)は「参らじ。御前
のきたなきに」と呟いて駆けつけなかったと『大鏡』にあり、〈「お前」は「御前[ごぜん]」の意
と、女陰とが掛けてある。暗に、四の宮[=康子内親王]がすでに純潔を失っているであろうことを
諷している。〉と石川徹(校注)『新潮日本古典集成 大鏡』(新潮社,1989)が読み解いてる(^_^;)
中村真一郎は王朝文化を「色好み」と把握しようとするけど、藤原実頼は反「色好み」だろう(^_^;)

さて、さて、さ~て! 目崎徳衛(日本歴史学会編集)『紀貫之』(吉川弘文館人物叢書,1961→1985
新装版)は「・・・儀礼を重んずる師輔は・・・自ら駕を身分の低い貫之の家に枉[ま]げた・・・」
などと記しているけど、有職故実における九条流の流祖とはいえ藤原師輔は天皇の妹との密通という
当時の法規範に反した逸脱行為をも恐れぬところを見ると、「儀礼を重んずる」と言えるかね(^_^;)
だけど、このように上を上とも思わない型破りな性格だったので、下も下とは思わなかったであろう
として、高官は卑官の家を訪問せずという当時のルールを破る伝承(藤原師輔が紀貫之の家を訪問)
までもが生まれたのかも(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-09-17 )(^_^;)

・『平家物語』で「貴族社会の世論」は「二代の后」を「肯定」せずヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-07-18

・「女性」は中納言の妻のままで、「一段ずつ下って行った」は誤読ヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-07-20

・「女は人は病気で死ぬのであって、恋愛で死ぬのではないと認識」はどこから出てくるんだ(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-08-01

・喜びや期待で「胸をときめかし」たのではなく危険や不安で「胸がどきどきし」たんだよヾ(`◇´)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-08-04

・岩波新書の執筆者は各分野の大家が多いから編集者は原稿の誤りに気付いても言えないとか(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-08-14

・この逸話が「フィクション」なら中村真一郎『色好みの構造─王朝文化の深層─』の論旨瓦解(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-08-16
タグ:評論 古典 歴史
コメント(6) 
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コメント 6

yokomi

暑さ寒さも彼岸までとか。夜になっても涼しさを感じないのは湿度が高い為かと。
by yokomi (2022-09-27 22:34) 

tai-yama

藤原師輔は内親王キラーだったと(笑)。
まるで小〇圭さんみたいだ・・・・。愛は身分をも超えるっ!
by tai-yama (2022-09-27 23:06) 

ナベちはる

日中はそれほど暑くなくなりましたが、夜はまだそれほど涼しくならないですね((+_+))
もう少ししたら夜も涼しくなると思いますが…分からないです。
by ナベちはる (2022-09-28 01:03) 

middrinn

そのことわざは、もはや、最近は、
yokomi様、使えませんね(^_^;)
秋の日は釣瓶落としは実感(^_^;)
by middrinn (2022-09-28 08:52) 

middrinn

師輔に対抗して、アイドルキラーを
tai-yama様は目指すとか(^_^;)
上矢えり奈、平嶋夏海かな(^_^;)
by middrinn (2022-09-28 09:25) 

middrinn

夜間は気温も下がってるんですけど、
ナベちはる様、体感的にね(^_^;)
by middrinn (2022-09-28 09:35) 

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