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220720読んだ本【バカチン】

地元の公立図書館に無くても東京都立図書館の蔵書を「協力貸出」してもらう裏技(?)v( ̄∇ ̄)
ある本が東京都シガンシナ区の図書館に無かったので、前から知ってたこの制度を利用できないかと
都立中央図書館のOPACで検索すると所蔵してたヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪ そこで4/5にシガンシナ
区立図書館カウンターでその旨を話して、リクエスト用紙に記入し申し込むと、年輩男性職員はPCを
見つめ「これは早く手に入りそう」と呟くも、待てど暮らせど届いて確保したとの連絡はナシ(^_^;)
4/28にシガンシナ区立図書館カウンターで状況を訊ねると、女性職員は裏で何やら電話を2件かけて
曰く「協力貸出は冊数が決まってて漏れてしまったため、協力関係にある別の公立図書館が所蔵して
いたのでそちらに依頼した」と( ̄◇ ̄;) 4/16と書いたのを消して4/21と書き直している彼女の謎の
メモを見て、忘れていたのでは?と邪推するも、お手数おかけしますと頭を下げて引き下がる(^_^;)
毎週配送されるらしいがGWを挟んだため5/10に確保が判明して、その週末に行って借りられた(^_^;)
結局借りられたのは都立中央図書館所蔵資料じゃなかったけど、今日また別の本を申し込んだ(^_^;)

【読んだ本(バカチン)】

中村真一郎『日本古典にみる性と愛』(新潮選書,1975)所蔵本

坪内祐三は「中村真一郎といえば現代の作家の中でももっとも多読家の一人・・・」と高評も、日本
の古典は「多読」でも誤読しまくっていると気付き、先日は『平家物語』を例に指摘C= (-。- ) フゥー
続いて、本書の「18 乳房の験証==『大鏡』」の冒頭は次の通りなり〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    /平安朝の物語類の多くは宮廷女性たちによって書かれた。従ってその主題は、
    彼女たちの生活の最大の関心事である愛欲と芸術とになった。/しかし、当時の
    支配階級の男性たちにとっては、性生活は多くの時間を割くべきものであった
    にしても、生活の中心にそれがあり、人生の目的が多淫にあったとはいえない
    だろう。/彼等の人生の目的は権力の獲得であり、政治が生活の中心にあった。
    /その間の消息は『大鏡』によって察せられる。/これは当時の藤原氏の中心
    人物で、政治権力の中枢に次つぎと坐って行った男たちの列伝体の肖像集である。
    この書物は、人物たちがいかにして競争者を排除しながら、権力を握って行ったか
    の考察を、その人物の性格の分析を交えて、行なっている。/そして、それらの
    説明や挿話のなかに、当時の男女関係、家庭生活の型を想像させるものが少なく
    ない。/・・・

この後、中村真一郎は『大鏡』の「挿話」を次々と要約・紹介しコメントしているが、「当時の男女
関係、家庭生活の型」という一般的パターンを示すためか、要約・紹介されている全ての「挿話」は
登場人物の名前が伏せられている( ̄◇ ̄;) その一つ目は次の通り∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですとぉ!?

    ・・・/たとえばある女性は、生涯の最初において皇太子妃になるのであるが、
    皇太子の没後、今度はかつて皇太子の側近であった貴族の妻となった。そして
    新しい夫は、自分の死後、彼女が自分の家令職の男と三度目の結婚をするであろう
    と予言し、その予言は的中した。このようにひとりの女性が半生のあいだに、
    階級の位を最上位から、二段階、一段ずつ下って行ったというのも、当時の結婚
    制度を考える場合に、興味深い。/・・・

結婚相手は「皇太子」→「貴族」→「家令職の男」となったから、当時の女性は結婚を繰り返す度に
相手の男の「階級」は下がると(^_^;) 中村真一郎は「家令職の男」≠「貴族」と思ったんだ(^_^;)
保坂弘司『大鏡全評釈 上巻』(學燈社,1979)が当該「挿話」に出てくる「家司」の語釈で「家令。
親王・摂関以下三位以上の家の家政をつかさどる職。四位・五位が任ぜられ、・・・」と説明してる
ように、一応「貴族」なんだけど(^_^;) また優秀だったら出世することに思い至らないとは(^_^;)
当該「挿話」を同書訳で引くが、中村真一郎が『大鏡』を読み解けてないことが判るC= (-。- ) フゥー

    ・・・その〔[藤原]保忠[=時平の長男]卿の〕御弟の敦忠の中納言も亡くなって
    しまわれました。・・・前の皇太子〔保明親王〕に御息所がお上がりになったのは、
    本院の大臣〔時平公〕のご息女〔仁善子さま〕を加わえて三、四人です。・・・もう
    一人の御息所は[藤原]玄上の参議のご息女でしたでしょうか。かつて〔皇太子さまが
    この御息所にお逢いなさった翌朝の〕きぬぎぬのお手紙の使者には、中納言敦忠卿が、
    当時まだ近衛少将で、これをお勤めなさいました。さて皇太子さまがお亡くなりなされて
    後に、御息所はこの敦忠卿とご夫婦におなりになりましたが、敦忠卿はこの北の方を、
    この上なく深く愛しておられながらも、どのようなことで将来を予見されたものか、
    [藤原]文範の民部卿が当時播磨守で、敦忠卿の家令職として、この御家に勤めて
    おられましたのを、〔敦忠卿が北の方にいわれますことには〕「私の一族はみんな
    短命です。だから私もきっと早く死ぬでしょう。私の死後には、あなたはこの文範と
    一緒になられるに相違ありません」と仰せられましたところ、〔北の方は〕「とんでも
    ないこと」とご返事なさいますと、「いや、死んだ後、私の魂がこの天空を飛んできて
    でも見届けましょう。きっと私の予言に背かれることはありますまい」などと仰せられ
    ましたが、じじつ〔敦忠卿の予言のとおり、北の方は文範卿と〕ご夫婦になっていらっ
    しゃいますよ。/・・・

中村真一郎が名前を伏せた「女性」は藤原玄上の女、「皇太子」は保明親王、「貴族」は藤原敦忠、
「家令職の男」は藤原文範のことだったわけだけど、この藤原文範のことを「民部卿」と『大鏡』が
記していることがポイントなのだ( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ 和田英松(所功校訂)『新訂 官職要解』(講談社
学術文庫,1983)も「民部卿」を「・・・正四位相当の官であるが、八省のなかでも、中務、式部の
つぎには、この民部卿が要職であるから、昔より納言以上の人が兼帯する例となって、ずいぶん重ん
ぜられている。・・・」と説明してるように、藤原文範は「当時播磨守で、敦忠卿の家令職」を勤め
ていたけど、最終的には「納言以上」になったことを『大鏡』の作者は示唆オホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)
石川徹(校注)『新潮日本古典集成 大鏡』(新潮社,1989)の頭注にも藤原文範は「・・・天禄三年
(九七二)に任中納言。」とあり、藤原敦忠は中納言で亡くなり、藤原文範も中納言になったので、
「女性」は中納言の妻のままで、「一段ずつ下って行った」は誤読ヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

・『平家物語』で「貴族社会の世論」は「二代の后」を「肯定」せずヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-07-18

タグ:歴史 古典 評論
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

蕎麦屋の出前の如く「今、対象の本、貸出出ました~」と
言えばすべて丸く収まるのに(笑)。
by tai-yama (2022-07-21 00:18) 

ナベちはる

「協力貸出」の裏ワザ、嬉しい裏ワザですね(*´▽`*)
by ナベちはる (2022-07-21 01:31) 

middrinn

配送した旨の通知だけではなく、先方の図書館が、
tai-yama様、受理や確保した旨の通知も(^_^;)
by middrinn (2022-07-21 05:27) 

middrinn

他館の蔵書でも、協力関係にあれば、地元の図書館で、
ナベちはる様、借りられるのは有り難いですね(^_^;)
by middrinn (2022-07-21 06:07) 

df233285

都立図書館は確か、休館日少ないし。「坂登りの運動も兼ね
JR恵比寿乗り換えで、電車で行った方が早い」という時代が、
懐かしいですねぇ。日比谷線恵比寿広尾間は車内空いてるけど。
一例JR山手線乗車が、4月もここ7月もコロナの時代は、
「直接行って、本取って来る」だと怖いですよね。
by df233285 (2022-07-21 08:05) 

middrinn

都立図書館は個人に館外貸出をしてないので、
まだ一度も行ったことがないんですよ(^_^;)
by middrinn (2022-07-21 08:37) 

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