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230624読んだ本【バカチン】

余白が多い本は損した気に(@_@;) やたら改行してるのとか(@_@;) 資源の無駄遣いかと(@_@;)
今日もオリの試合は電気代節約で視ないo(-`д´- o)ガンバル! 訳あって今日はイーグルス応援(^_^;)

【読んだ本(バカチン)】

三木紀人(校注)『新潮日本古典集成 方丈記 発心集』(新潮社,1976)

本書で鴨長明『発心集』第五「七 少納言統理、遁世の事」を披いたら、頭注欄がスカスカな上に、
「関白」に付された頭注五(本書218頁)の内容に吃驚仰天Σ( ̄ロ ̄lll)ニャンじゃそりゃあ!?
その本文の中の一節(本書218~219頁)とともに問題の頭注五を引くオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ! なお、
傍注の現代語訳を補った(^_^;)

    ・・・/けしきや知りたりけん[=出家の気配をさとったのか]、妻なりける人、
    心得てさめざめとなむ泣きける。されども、かたみに[=お互いに]とかく云ふ事
    もなくて、明[あく]る日、うるはしきよそほひにて[=正装をして]、其の時の
    関白の御もとに詣でけり。此の事案内聞こえむとすれど[=お暇乞いの取次ぎを
    頼もうとしたが〔事が事なので〕]、申し入る人もなし。やや久しうありて、
    からうじて、山里に罷[まか]り籠るべき暇申せし間に[申し上げたところ]、
    「しばし」とて対面し給ひて、御念珠給はせて[=お数珠をお与えになって]、
    「後の世のことはたのむぞ」とのたまひければ、涙をおさへつつ、数珠[ずず]
    をばをさめて、拝したてまつりて出でにけり。/・・・

    この出来事は、正暦六[=長徳元=995]年(統理の没年)以前、寛和二[=986]年
    (三条院の立太子の年)以後なので、ここの「関白」は藤原兼家または同道隆という
    ことになる。

「関白」は「藤原兼家または同道隆」ではなく藤原道長を意味し、鴨長明の誤記(^_^;) 藤原統理に
関しては衒学的に書いたこと(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-06-28
があり、この『発心集』の説話の上記の件が史実に基づいていると考えられるのは、藤原道長の日記
『御堂関白記』の長保元年(999年)3月24日条の記述があるからで、倉本一宏(全現代語訳)『藤原
道長「御堂関白記」(上)』(講談社学術文庫,2009)の訳で同条を引く(^_^;)

     二十四日、丁丑。 藤原統理出家

    少納言(藤原)統理[むねまさ]がやって来て云ったことには、「二十七日に、
    多武峯に登って、出家します」と。「これは本意[ほい]です」ということだ。
    前に召して木蓮子[いたび]の念珠を下賜した。

「正暦六[=長徳元=995]年(統理の没年)」とするが、幽霊が道長を訪ねたと言うのかね(^_^;)

本書218頁の頭注欄に「* 本章の説話、『今鏡』九にも見える。」とあるように、竹鼻續(全訳注)
『今鏡(下)』(講談社学術文庫,1984)の「藤原統理出家の事」から当該件とその訳も引く(^_^;)

    ・・・妻なりける女も心得て、さめざめと泣きをりけれど、かたみにとかく
    いふ事はなくて、あくる日うるはしき装ひして、一の人の御許にまうでて、
    山里にまかりこもるべき由のいとま申しけれど、人も申しつがざりけるを、
    強[し]ひ申しければ、聞き給ひて、/「少納言こなたへ」とて、出であひ
    給ひて、御数珠賜[た]びて、/「後の世は頼むぞ」など侍りければ、数珠
    をば納めて、拝したてまつりて、・・・

    ・・・妻であった女も(事情を)知って、さめざめと泣いておりましたけれど、
    おたがいにあれこれと話すことはなくて、翌日きちんと正装して、一の人(道長)
    の御もとに参上して、山里に隠棲するつもりである旨の別れの挨拶を申しあげ
    ましたけれど、だれもお取次ぎ申しませんでしたのを、無理に申しましたところ、
    (道長が)お聞きなさって、/「少納言をこちらへ(案内しなさい)」と
    おっしゃって、対面なさって、御数珠をお与えなさって、/「私の後世[こせ]の
    ことは頼むよ」などおっしゃいましたので、数珠をいただいて、拝み申しあげて
    (退出し)、・・・   

・三条院御製の「月影」とは「[藤原]統理の隠喩」なのに「月を詠んだもの」と浅~い解釈(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-10-07

・三木紀人『日本周遊古典の旅』(新潮選書,1990)

①「外の浜」は「日本の極北を示す地」ではなく日本の極東を示す地だヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
 「外の浜─御伽草子集(明石物語)」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-18

②『伊勢物語』第12段で同歌を詠んだのは「男」ではなく「女」の方だヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
 「野火止─伊勢物語」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-19

③細かいミスあるも「西行の無智ゆえというより、実方が忘れられかけていたことの現れ」に感心(゚o゚;)
 「笠島─新古今和歌集」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-29

④『大鏡』に出ている歌であって、『拾遺和歌集』のは初句等が異なるヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
 「朗詠谷─和漢朗詠集」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-10-28

⑤藤原高光の『新古今和歌集』入集歌の「紅葉」は「多武峰が紅葉の名所」だなんて関係ないよ(^_^;)
 「多武峰─大鏡」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2023-06-03

⑥『今昔物語集』が「一部の人以外に[は]知られ」ていなかったとは、チト意外だったね( ̄◇ ̄;)
 「陸奥、そして胡国──今昔物語集」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2023-06-17

[追記230625]

「鴨長明の誤記」としたけど、返信コメに書いた通りの理由で、小生の誤りでしたm(__)m
タグ:説話 歴史
コメント(6) 
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コメント 6

df233285

なるほど、鴨長明の時代には藤原道長は関白になった事が
あると、考えられていたんですね。勉強になりました。
by df233285 (2023-06-24 16:46) 

tai-yama

書道には余白の美と言うものがありますし、きっと作者も余白の美を
意識したのかも(笑)。995年に死去した人が999年に尋ねるとは。
実は空白の4年だったり。
by tai-yama (2023-06-24 18:55) 

middrinn

『今鏡』の「一の人」=摂政・関白は誤りで、道長は左大臣ゆえ「一の上」が正確(^_^;)
つまり、誤記したのは『今鏡』であり、鴨長明の「誤記」と評したのは小生の誤りm(__)m
鴨長明は『今鏡』を写したっぽいので、『御堂関白記』を見たかどうかがポイント(^_^;)
見てたなら鴨長明は道長を関白と認識も、当時の一般的認識とまでいえるかどうか(^_^;)
by middrinn (2023-06-25 04:10) 

middrinn

前掲『今鏡(下)』には、その995年から999年の間にあたる、長徳2年(996年)の
統理の名が出てくる藤原実資の日記『小右記』の記述まで引かれてましたよ(^_^;)
国際日本文化研究センター「摂関期古記録データベース」でも幾つかヒット(^_^;)
『小右記』の長徳元年(995年)10月1日条の「少納言統理、宜陽殿の東第二間に於
いて公卿に見参を唱ふ。」、藤原行成の日記『権記』の長徳2年(996年)5月20日条
の「先づ少納言藤原朝臣統理の申す、三河国の正税穀を以て当年の位禄を請ふ文一
枚を奏す。」、『小右記』長徳2年(996年)8月17日条の「大進統理、進み取らんと
欲す。」、『権記』の長徳3年(997年)7月5日条の「□□□□□□、称唯し、少納
言統理、参入し、版に就く。」、『小右記』の長徳3年(997年)10月1日条の〈少納
言統理、宜陽殿の砌に進む。・・・少納言統理、云はく、「宜陽殿の南第二間に於
いて唱ふ」てへり。〉、『権記』の長徳4年(998年)正月7日条の「此の後、少納言
統理、承明門の壇上に進む。」、『権記』の長徳4年(998年)正月14日条の「二献、
藤少納言〈統理。〉。」がありましたから、「空白の4年」ではないようです(^_^;)
by middrinn (2023-06-25 05:17) 

そら

ウチはゴリゴリの阪神ファンだったのですが
何故だか最近、妻と娘がジャイアンツを応援し始めまして
肩身の狭い思いをしています(^^;
by そら (2023-06-25 06:10) 

middrinn

今季は強い阪神より弱い巨人に母性本能がくすぐられるのでは(^_^;)
by middrinn (2023-06-25 06:44) 

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