SSブログ

240507読んだ本

アダルト系とか大人向けの本を子供が読むのは問題があるけど、逆は問題ナシオン主権(^o^)丿
Amazonマケプレ出品者の住所、番地と建物名をネット検索したら、ラヴホテルじゃん(@_@;)

【読んだ本】

窪田敏夫『古典文学全集24 和歌・歌人物語』(ポプラ社,1966)

    ・・・/順は歌人として、前にあげた人びとにはおよばないといえるかもしれません。
    しかし『古今集』からの和歌が、平安朝という時代にしだいに姿をかえていく道筋の、
    一里塚とでもいうような意味で忘れられない人だと思います。/・・・

    ・・・/順は前にもいったように、歌人としてはそうすぐれたとはいえません。
    むしろ彼は学者として、この時代の和歌の歴史のうえで、たいせつな立場に
    あった人なのでした。/・・・

本書の「源順」の50頁と52頁から抜き書きしたけど、最初から通読してるわけではないので(←本書
の読み方として間違っているわけではない)、特に前者の方は窪田敏夫が何を言わんとしているのか
よく解らない(^_^;) とまれ、本書の50~51頁から引く(^_^;)

    ・・・/これからあげる歌は、彼の家集にあるものです。応和二年(九六二)七月
    十一日(順五十二歳)に、四つになる女の子をなくし、八月六日にまた五つになる
    男の子をなくしたときのものですが、彼が当時の『万葉集』の学者であったからで
    しょう。万葉の歌、

     世の中をなににたとへむあさぼらけこぎいにし舟のあとなきがごと

    という満誓沙弥(奈良時代の歌人で、出家するまえの名を笠朝臣麿という)の歌を
    まねて、〈世の中をなににたとへむ〉という句をおいて、十首つくっています。

     世の中をなににたとへむ茜さすまの萩の上の露

     世の中をなににたとへむ夕露もまたで消えぬる朝顔の花

     世の中をなににたとへむ秋の野をほのかに照らす宵の稲妻

     世の中をなににたとへむ草も木も枯れゆくころの野辺の虫の音

    どれもみな世の中をはかなく、悲しい思いで見ていることがわかりますし、子を
    亡くした親の心の悲しさが知れます。ここで注意してみると、世の中のことや、
    人の心を、自然の姿にたとえていることです。/・・・

この満誓沙弥(「令和」の元ネタ「梅花の宴」にも参加)の歌は「世の中を何にたとへんあさぼらけ
漕ぎゆく舟の跡の白波」という風に改変された形で『拾遺抄』や『拾遺和歌集』等にも入っており、
竹鼻績『拾遺抄注釈』(笠間書院,2014)は次のように指摘する(^_^;)

    ・・・[藤原]公任は『新撰髄脳』で「昔のよき歌」としてあげたほか、『金玉集』
    『深窓秘抄』『和漢朗詠集』などにも撰んでいる。また、『古今六帖』(一八二一)
    にも撰ばれているが、いずれも『[拾遺]抄』と同じように「あとの白波」とある。
    「跡無如」を「あとの白波」と翻案したことで多くの支持をえたと思われる。それは
    『万葉集』の訓読に携わった源順などの功績であろうか。・・・

更に菅野禮行(校注・訳)『新編日本古典文学全集19 和漢朗詠集』(小学館,1999)の指摘も(^_^;)

    /世の中のはかなさを白波にたとえる。『源氏物語』総角巻に・・・、『方丈記』に
    ・・・。謡曲などにも多く引かれるが、無常観の詠出であったものから、『新古今集』
    春下に・・・とあるごとく、後世は琵琶湖の景を詠むものとしても広く引かれるように
    なった。/

こうなると、「源順などの功績」はたしかに凄いな(^_^;) 「学者として、この時代の和歌の歴史の
うえで、たいせつな立場にあった人」という本書の上記の人物評も当たっている気がしてきた(^_^;)
ちなみに、『平家物語』では「跡は白波」とあり、分かる人にしか分からないギャグ=駄洒落として
使われている(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-07 )(⌒~⌒)ニヤニヤ

なお、上記の源順の「秋の野を」の歌は『後拾遺和歌集』に入集し、犬養廉&平野由紀子&いさら会
『笠間注釈叢刊19 後拾遺和歌集新釈 下巻』(笠間書院,1997)の高重久美によると、この連作十首
は、唯摩経十喩の電喩を詠んだ当該歌を含めて五首が唯摩経十喩と重なり、四首が勅撰集に入集し、
紀時文や大中臣能宣も源順と同時に「世の中を何にたとへん」を上の句に置いた歌を詠んだ由(^_^;)

相模が、初句に「いかにせむ」を、五句に「かくれなき身を」を、ともに置いて詠んだ連作の九首は
もしかして源順を超えようとしたのか(^_^;) とまれ、本書はポプラ社の児童書とはいえ侮れん(^^)
タグ:列伝 歴史 和歌
コメント(4) 
共通テーマ:

コメント 4

tai-yama

昔は12歳は立派な大人。アダルティー(笑)。
私の人生も白波の様だったり・・・・
by tai-yama (2024-05-08 00:12) 

middrinn

バイクなら白煙では(^_^;)
by middrinn (2024-05-08 05:51) 

df233285

自分が50代くらいになると「児童向けは同業者が読まない」
と思ってしまい、その業界での人生成功コツを、50年後は
100才の自分に関係無いと思って、書いてしまう大御所/
成功人が居るから、そういう事が起こるんですよね。私は
50の頃、特定分野を調査するのに、本ブログの分野とは
かけ離れた領域に関してでしたが、児童書は、良くチェック
してました。以前は、教育熱心倫理が今と違って日本では、
相当に強かったですからね。今は皆「商売で教育者」のよう
に、私には見えますが。
by df233285 (2024-05-09 06:02) 

middrinn

考えてみれば、児童書は親が子供に読み聞かせる場合も
あるので大人が読むに堪える内容であるべきかも(^_^;)
ただ、本書の歌人の人選は子供の役に立つのかな(^_^;)
by middrinn (2024-05-09 15:13) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。