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230209読んだ雑誌【バカチン】&買った本

原典に当たってないくせに、さも原典に当たってるかの如く書く見栄っ張りが研究者に多い(^_^;)

【読んだ雑誌(バカチン)】

週刊文春2023年2月16日号

今日発売された週刊文春に連載中の清水克行「室町ワンダーランド」の第40回「人造人間爆誕」が、

    ・・・/西行法師は平安末~鎌倉初期の歌人として有名だが、実は鎌倉後期の説話集
    のなかに、彼が人造人間を造ろうとした、という話が載っている(『撰集抄』巻五
    第十五話)。/・・・

とした上で(本誌78頁)、その「話」を次のように紹介してた(本誌78~79頁)エッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ?

    ・・・/その後、京都に出かけたおり、西行は源師仲のところに行き、自分の造り方
    のどこが間違っていたのか、と質問する。すると、師仲はちゃんと正しい造り方を
    知っており、「・・・」と細かなアドバイスをくれる。この時代、人造人間製造
    マニュアルは他にも広く流通していたらしい。ただ、肝心の師仲がせっかく造った
    人造人間は、最後は水に溶けてしまったという。・・・

最後の一文は『撰集抄』の誤読で、清水克行が『撰集抄』を読んだ上での記述なら読解力が疑われ、
本誌79頁欄外の「参考文献」に挙げてる文献に依拠しての記述だったのなら人を見る目が無い(^_^;)

先ずは『撰集抄』の問題の件を、安田孝子&梅野きみ子&野崎典子&河野啓子&森瀬代士枝(校注)
『撰集抄 上』(現代思潮新社,2006)から引く( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

    ・・・我は、思ざるに四条大納言の流を受て、人を作侍りき。今卿相にて侍ど、
    其とあかしぬれば、作たる物も、化せられたる物も、とけうせければ、口より
    外には出さぬなり。・・・

ちなみに、同件を宮元啓一『日本奇僧伝』(東京書籍,1985)は次のように訳してるC= (-。- ) フゥー

    ・・・私は、ひょんなことから四条の大納言の流儀を受けましてな、人を造ったことが
    ござる。その人物は、現在、卿相として活躍しておるが、これが誰であるかを明らかに
    すると、造った人も、造られた人も、ともに融け失せてしまうので、口外するわけには
    参らぬ。・・・

・昨年読了本で一番面白かった清水克行『室町は今日もハードボイルド 日本中世のアナーキーな世界』

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-02-01

【買った本&読んだ本】

萩尾望都『ポーの一族 青のパンドラⅠ』(小学館フラワーコミックススペシャル,2023)

今日発売の新品850円を楽天ブックスでポイント払いで予約してたのが発売日の今日届いたよ(^o^)丿

・『萩尾望都作品集9 ポーの一族④』に「トーマス・ローレンスは 十八世紀の肖像画家」だと(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-11-17

・いくら「革命」を志していたとしても吊るし上げをして自己批判させようとするのはヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
 同夜、一年前に発覚し社会に衝撃を与えた連合赤軍事件の惨劇が脳裏をかすめなかったのか(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-17
タグ:説話
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

原典に当たってないので、減点っ!(笑)。
最近、岡山の寺院に保管されている人魚が造りものだったとの
ニュースも出ていたし・・・・人魚姫も西行の人造人間と同じく
最後は水に溶けると。
by tai-yama (2023-02-09 23:54) 

ナベちはる

研究者であれば、原典に当たってこそ…ですね(^^;A
by ナベちはる (2023-02-10 02:38) 

middrinn

( ^o^)ノ◇ 山田く~ん 原典に当たってないので減点座布団1枚 ♪
人恋しさに西行が造ったのは、実は南極2号だった・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
tai-yama様はやはり巨乳の人魚姫をオーダーするんでしょうね(^_^;)
「水に溶け」は誤訳で、「とけうせ」で「水に」とは書いてない(^_^;)
by middrinn (2023-02-10 06:32) 

middrinn

おっしゃる通りで、研究者なら原典に当たれる能力もあるはず(^_^;)
ナベちはる様、だからこそ、見栄を張ってしまうんでしょうね(^_^;)
毎週連載の上に入試の時期なので調べる時間が無かったのかも(^_^;)
by middrinn (2023-02-10 06:45) 

df233285

確かに原文の「我」は、「伏見の前の中納言師仲の卿」と
webのエイチテイテイピーエスコロンスラッシュスラッシュintweb.co.jp/miura/myhaiku/saigyou/saigyou_densetsu5.htm
に出ているよう。前後に長い説話文脈があるらしい。私には上記事の
最後の訳は正しいように見えるが、意訳的な意味が何なのか。私に
能力が無いので、正確な説話全体の内容がよく判からない。怪奇談?

by df233285 (2023-02-10 08:00) 

middrinn

西尾光一(校注)『撰集抄』(岩波文庫,1970)が〈・・・荒唐無稽な話である。
・・・ここまでくると、誤認や錯誤の問題ではなくなり、説話的虚構として処理
する他ない。ただし、主人公が不審をただすために徳大寺家を訪ねたが留守だっ
たので、「伏見の前の中納言師仲の卿」のところへいって、いろいろ教えられた
とあるのは、西行が青年時代から徳大寺家に出入していたことや、源師仲(一一
一八-一一七二)と西行(一一一八-一一九〇)は同い年の同時代人であること
などで事実に即応している点を無視できない。〉と評している以上でも以下でも
ないかと(^_^;) 前にも取り上げたことがありますが、この偽書に載ってる説話
は「誤認や錯誤」によって「事実に即応して」ないものが多いですからね(^_^;)
例えば、⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-03-15
ちなみに、御紹介のサイト「西行伝説とは」でコピペ紹介されている当該説話では
末尾の「土御門の右大臣[源師房]」に関する段落が省略されております(^_^;)
by middrinn (2023-02-10 09:54) 

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