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220201読んだ本

今年読んだ本の中で一番面白かったよ(^o^)丿ヾ( ̄o ̄;)オイオイ本気で言ってるとは信じてもらえないぞ!

【読んだ本】

清水克行『室町は今日もハードボイルド 日本中世のアナーキーな世界』(新潮社,2021)

読了(^o^)丿 日本中世のカオスぶりには吃驚仰天だったヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 異世界としか思えないので、
転生せずに垣間見ることが出来て良かったかも(^_^;)

    はじめに

    第1部 僧侶も農民も!荒ぶる中世人

     第1話 悪口のはなし おまえのカアちゃん、でべそ

      戦国なぞなぞ/謎の悪口「母開[ははつび]」/〝世界標準〟の罵倒語/
      かくも豊饒な罵詈雑言の世界/いまも受け継がれる罵倒語のDNA/

     第2話 山賊・海賊のはなし びわ湖無差別殺傷事件

      インドの山賊/海賊は日本にもいた/琵琶湖の「海賊」/大量殺人、そして……/
      「日本版梁山泊」を束ねた浄土真宗/

     第3話 職業意識のはなし 無敵の桶屋

      親の職業/「桶屋のオジサン[「堅田イヲケノ尉」]」の別の顔/湖畔のスーパーマン
      /百姓のプライド/

     第4話 ムラのはなし “隠れ里”の一五〇年戦争[『菅浦文書』]

      要塞化したムラ/ムラとは何か?/ムラ連合[菅浦]VSムラ連合[大浦]/
      耕作をめぐる死闘/合戦の代償/代官暗殺計画[熱湯に手を入れて火傷の重い方を
      敗訴とする「湯起請[ゆぎしょう]」で決着]/利用された「神の意志」/
      菅浦滅亡の危機/不戦の契り/

    第2部 細かくて大らかな中世人

     第5話 枡のはなし みんなちがって、みんないい

      「Sサイズ」のコーヒー/荘園ごとに違う「枡[ます]」/単なる計量器具ではない
       /恐るべき「多進法」世界[「十三合枡」]/メジャーの地位を獲得した市井の
      「枡」[商業枡「京枡」]/

     第6話 年号のはなし 改元フィーバー、列島を揺るがす

      年号予想ブーム/年号の三つの機能[時間のものさし・世の中がリセットされたこと
      を世間に示す・(宣言する主体が)日本国の主宰者であることを示す]/三つの年号
      を使いわけた男[少弐頼尚]/「私年号[しねんごう]」も登場/

     第7話 人身売買のはなし 餓身を助からんがため……

      能「自然居士」/東国はフロンティア/飢饉は法を超える/人買いの「正義」/
      悲劇の誕生/

     第8話 国家のはなし ディストピアか、ユートピアか?

      銭一〇〇文は何枚か?[『醒睡笑』の喜蔵庵&さし銭&省百法]/
      想像を超える多元的・多層的な社会/ゴースト・オブ・ツシマ[山名義安、
      管領畠山義勝、細川勝氏、伊勢政勝ら実在しないのに『朝鮮王朝実録』に
      記録されてる「使節を派遣した幕府重臣の名前」]/世界が一つの国だったら……

    第3部 中世人、その愛のかたち

     第9話 婚姻のはなし ゲス不倫の対処法[うわなり打ち]

      女たちの復讐/ハレンチ代官の罪状/嫉妬に狂う未亡人/〝女傑〟北条政子/
      女の敵は女?/復讐から儀礼へ

     第10話 人質のはなし 命より大切なもの

      「愛」[直江兼続の兜の前立て:愛染明王or愛宕権現=戦争の神・軍神]のゆくえ/
      「平和主義者」徳川家康?[旗印「厭離穢土 欣求浄土」=死を厭うな]/
      人質の適性/串刺しは当然/信長の涙/

     第11話 切腹のはなし アイツだけは許さない

      壮絶すぎる夫婦ゲンカ[狂言「鎌腹[かまばら]」]/自害の効用[『塵芥集』§34]
      /信玄、大激怒![『甲陽軍鑑』北地某(山県昌景配下)→「指[さ]し腹[ばら]」
      の習俗 cf「無念腹」(千葉徳爾)]/「自殺大国」日本の淵源/石山本願寺の惨劇/
      命がけのたかり[斯波修理大夫義信]

     第12話 落書きのはなし 信仰のエクスタシー

      落書きの代償/お堂の中は落書きだらけ/落書き、いかがですか?/エロ落書き/
      夢で逢えたら……/袋叩きにする前に/

    第4部 過激に信じる中世人

     第13話 呪いのはなし リアル デスノート

      ワラ人形、あります/室町の最終兵器[醍醐寺・執金剛神[しゅこんごうじん]像]/
      名前を書いたら、その人が死亡[興福寺「名を籠める」]/戦国の梟雄[朝倉孝景]、
      呪詛に敗れる/「呪詛の時代」の終焉[教景から孝景に改名して呪詛に対抗?]/

     第14話 所有のはなし アンダー・ザ・レインボー

      虹の伝説[「虹の立つところに市を立てる」@近衛政家「桜御所」(明応8年&9年)
      &頼通・頼宗邸(長元3=1030年7月)等]/過酷な処罰「一銭切」[モノに対する
      意識が大きく異なっていたと勝俣鎮夫⇒「盗み」に対する嫌悪感強烈⇒盗みは銭一枚
      でも死刑=「一銭切」]/「所有」と「たましい」[〈モノを所有者の肉体の延長、
      所有者の「たましひ(魂)」の一部が乗り移ったもの、とみる中世社会独特の呪術的
      な所有観念〉]/盗人晩の思想[所有観念で徳政令理解&「盗人晩[ぬすっとばん]」
      (小山勝清)=その夜だけ「盗み」が許される]/令和に残るお月見泥棒[=新暦9月
      の十五夜(十三夜の所も)の晩にお供えされるお月見ダンゴをこの日に限って子供が
      盗んでよいという風習⇒民俗学は中国渡来の習俗とするが、「徳政」の系譜をひく、
      我が国固有の習俗だったのでは?]/

     第15話 荘園のはなし ケガレ・クラスター

      先生泣かせの日本史テーマ[「荘園」は「中央貴族や寺社による私的大土地所有の形態」
      が最大公約数的定義で「典型」を見出すのは不可能だが「聖なる空間」]/「鎮守」
      「境内」「牓示石[ぼうじいし]」/「クラスターと消毒」/「神宝[しんぽう]を
      振る」「ホラ貝を吹く」「灰をまく」/中世の秋/

     第16話 合理主義のはなし 神々のたそがれ

      最期のお別れ[40年前に巻狩りで姿を消して行方不明だった下河辺行秀からの北条泰時
      宛て書状に補陀落渡海への決意]/二〇世紀にもあった補陀落渡海[ふだらくとかい]
      /熱湯裁判の行方/そこに神はいるのか[神仏への懐疑が更に高まると湯起請は急速に
      姿を消し、戦国~江戸初期には鉄火起請[てっかぎしょう=焼けた鉄の棒を握って火傷
      の具合を調べる]という裁判が登場]/「夢幻能」の世界/そして近世へ/

    おわりに

    参考文献(初出刊行年順)

知らない話が結構ある(^_^;) 地域によって枡(当時の計量器具)の容積が違う(しかも、10合=1升
とは限らず、13合=1升や3合=1升の枡などもある)、「一里」の距離が東と西で大きく異なるとか、
この辺は驚かされただけだが、驚きを通り越して笑ってしまったのが私年号で、98~99頁から(^_^;)

    ・・・戦国時代になると、呆れたことに、人々は「私年号」とよばれる勝手な年号を
    使いはじめてしまう。現在、関東地方や南九州に残された、戦国時代の板碑[いたび]
    (石造の供養塔)などのなかに「福徳×年」とか「弥勒×年」「永喜×年」「命禄×年」
    という年号が記載されているものがいくつも見つかっている。・・・歴史年表をいくら
    ひっくり返してみても、こんな年号は存在しない。つまり、天皇や室町幕府が定めた
    正式な年号とは別に、様々な地域で勝手な年号が続々と生み出されはじめていたのだ。
    いやはや地域によって年号が異なるとは、さすがに中世社会のカオス、ここに極まれり、
    という感がある。/・・・日本国内のあちこちで反政府の「独立国」が次々と生まれ出た
    ような不穏なイメージをもつ人がいるかも知れないが、それは少々過大評価である。
    というのも、これらの私年号は、そのほとんどが永続的な使用を意図して創案されたもの
    ではなかった。その証拠に、私年号の多くは「〇〇元年」「〇〇二年」と二年間ぐらいの
    使用しか確認できず、三年ともたずに、すぐに消滅してしまう一過性のものなのである。
    私年号を創案した人々に、天皇の秩序への反抗とか、新たな〝時間のものさし〟を打ち
    立てようという意識はハナからなかったのである。/では、彼らはなんのために勝手な
    年号を創出したのか? それこそが、年号のもつ〝世の中がリセットされたことを世間に
    示す〟機能である。/・・・

「福徳元年」とか見たら速攻でヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!しそうだから、気を付けなきゃ(^_^;)
笑うどころか頭を抱えてしまった話もあり、戦国時代に銭の中央の穴に縄を通して100文単位で一本に
結わえておく「さし銭」について、118~119頁から引く(^_^;)

    ・・・/さきほど中世社会では、銭一〇〇文を銭縄でつないで束にするのが原則
    だったと述べたが、「一〇〇文」が一〇〇枚の銭であるとは限らなかった。実際、
    当時の遺跡などで発掘されるさし銭の枚数は一〇〇枚であることはほとんどなく、
    九七枚であったり九六枚であったり、だいたい数枚足りないのが一般的だった。
    つまり、ちょっと信じられない話なのだが、当時の人たちは厳密には一〇〇枚に
    満たないさし銭を、それを承知のうえで一〇〇文とみなして使用していたようなの
    である。こうした当時の銭の通用ルールを、省百法[しょうびゃくほう]という。
    /・・・さし銭をそのまま使えば一〇〇文として使えるが、・・・必要があって
    それをバラしてしまうと、その人が損をしてしまうことになる。・・・

しかも、「・・・一〇〇文を九八枚とするか九七枚とするか九六枚とするかは、地域や状況によって、
まったくまちまちだった。」(120~121頁)というんだから、たしかに、「想像を超える」わ(^_^;)

気になるのが、上記の私年号で、贋作あるいは中世人の悪戯による可能性はモチないんだよね(^_^;)
美術史を見てると、騙されて、もっともらしい作品解説をしている専門家がいるから(^_^;) 私年号に
ついて本書は上記の件に続けて次のように述べてる(^_^;)

    ・・・/戦国時代は、それまで以上に飢饉や戦乱の渦巻く不安定な時代だった。そんな
    なかで、当時の人々にとって、〝時間のものさし〟としては役に立たなくとも、一種の
    厄払いとして、世の中をリセットしてくれる新しい年号はありがたいものだったのだ。
    この時期に見られる私年号は直接には暦の混乱と誤情報の混入がもたらしたものだった
    ようだが、それを受容した人々の意識としては、そんな〝世直[よなお]り〟の願望が
    あったと考えられている。/そもそもが厄払いの目的で、新しい年号を打ち立てて
    〝世直り〟を図ろうとしたのだから、最初からそこに永続性は期待されていない。彼らは
    新年号を立てること自体が目的だったのだ。だから目前の災厄が克服されれば、もはや
    私年号に用はない。私年号が一~二年で消滅してしまうのも、ある意味では当然のこと
    だった。/・・・

都で改元が行なわれたという「情報」が「関東地方や南九州」には「誤」って伝わり、「福徳元年」
等を使い始めたら「誤情報」だったことが判明して「三年ともたずに」使用を止めただけで、ソレを
現代の研究者が新説を唱えたいばかりに「私年号」と名付けて、もっともらしい理屈をこねたような
感も(^_^;) もっと都に近い「地域」でも私年号が発見されていたら説得力が増すけど(^_^;) それに
各私年号の「目前の災厄」が何だったのかも解明されてるのかな(^_^;) 年号には「世の中がリセット
されたことを世間に示す」機能があるのはいいとして、戦国時代は「それまで以上に」飢饉や戦乱が
あったとするけど、古代にも「飢饉や戦乱」はあったわけだし、同じように「一種の厄払いとして」
私年号が使用されててもおかしくない気も(^_^;) 私年号の使用が中世の戦国時代に限られるのなら、
「天皇や室町幕府」の権威が低下しまくってた状況を前提にしているはずで、私年号使用の根底には
やはり「天皇や室町幕府」が「日本国の主宰者であること」を認めない政治的意思がありそう(^_^;)
以上、本書は興味深い内容が多くて引用ばかりになりそうだったので、駄弁を弄してみただけ(^_^;)
と書いてからネット検索したら、wikiに立項されてて古代にも都に近い「地域」にもあった由(^_^;)
それで思い出したけど、コレは中世に限らないのでは?と読んでて思ったことが他にもあった(^_^;)
もっと気になる点が本書の他の部分にあったので、確認したら改めて書くかも(^_^;) とまれ、本書は
軽~い感じで書かれているけど、内容はメチャ勉強になるから、ポイント貯めて購入するかも(^o^)丿
タグ:歴史
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コメント 6

tai-yama

100文っぽい束は数えてはいけないと・・・落語の「時そば」より
ひどい(笑)。最近でも「スマホ元年」とかもあったり。
by tai-yama (2022-02-01 23:20) 

アニマルボイス

何年か前に元旦の浅草からの落語中継で、高座を降りてきた師匠が、「正月なので気合い入りましたよ。間違いなく今年一番の出来でした」と、答えていたのを思い出しました。(^^;
by アニマルボイス (2022-02-01 23:27) 

ナベちはる

転生せずにカオスっぷりを垣間見られて、お得でしたね!
by ナベちはる (2022-02-02 01:15) 

middrinn

一見して明らかに長さが短いのとかは、
tai-yama様、どうするのかな(^_^;)
by middrinn (2022-02-02 06:17) 

middrinn

今年一番の出来の噺を聴くことが出来たということで、
アニマルボイス様、良かったじゃないですか(^_^;)
by middrinn (2022-02-02 06:26) 

middrinn

いくら面白い世界とはいえ、中世の日本には、
ナベちはる様、転生したくないです(^_^;)
by middrinn (2022-02-02 06:58) 

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