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220511読んだ本

文化伝播論的問題意識で読んできた『白氏文集』、そもそも何を調べるために借りたんだっけ(@_@;)
結構な数の記事を書いた気がするけど、当初の目的を達成しているのかどうかが全く判らない(@_@;)
今日は朝から身体がダルくてダルくて図書館に行けず、昼食後に寝なかったけど横になったぞ(@_@;)

【読んだ本】

犬養孝『万葉のいぶき』(新潮文庫,1983)所蔵本

なかなか興味深い論文が集まっていて読み応えのある森本元子編『和歌文学新論』(明治書院,1982
https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-12-02 )(^^) 同書所収の島田良二による
「八代集における月について」も大変勉強になり、八代集に先立つ『万葉集』の歌も取り上げてて、
柿本人麿「去年見てし秋の月夜は照らせれど相見し妹はいや年さかる」について「妻の死を悲しんで
詠んだ歌である。月は去年と変わらず照っているけれども妻は死んでいないと、月を見て妻の死を
悼んだ歌である。そこには月の不変に対して生命のはかなさが対比されている。」と論評(@_@;)
本書の「万葉の月」も同歌を取り上げていたし、神田秀夫『人麻呂歌集と人麻呂伝』(塙選書,1965
https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-08 )に「・・・妻と見たのは慶雲二年
[705年]の秋の月で、その後、・・・三年[706年]の夏ごろ亡くなったのではなかろうか。」(^^)
『万葉集』の注釈書等を小生は一冊も持ってないので本来ならここで終わるところだが、念のため、
久保田淳(監修)『新日本古典文学大系 別巻 八代集総索引』(岩波書店,1995)で調べてみると、
『拾遺和歌集』にも入ってて、小町谷照彦(校注)『新日本古典文学大系7 拾遺和歌集』(岩波書店,
1990)の訳も引く(@_@;)

     妻にまかり後[をく]れて、又の年の秋、月を見侍て

    去年見てし秋の月夜は照らせども相見し妹はいや遠ざかり

     去年見た秋の月は今も変わることなく照らしているが、
     一緒にこの月を見た、愛し合っていた妻は、ますます
     この世から遠ざかってゆくことだ。

小町谷照彦は脚注で〈八代集抄「文選・古詩に、去者日(以)疎といへる心に通ずる歌」。〉という
問題意識が近い指摘も紹介していた(なお、この指摘を小町谷照彦&倉田実[校注]『拾遺和歌集』
[岩波文庫,2021⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-01-06 ]は削除)(@_@;)
この柿本人麻呂の歌は、白居易(白楽天)の作品と同様に月の時間的同一性・不変性を詠んでいるが
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-04-28 )、モチ人麻呂は『白氏文集』が
伝来する前の時代の歌人(@_@;) この白詩に限られず、他の中国の漢詩文でも見られるテーマだとは
思うけど(@_@;) 『伊勢物語』に出てて『古今和歌集』で在原業平作とされた「月やあらぬ春や昔の
春ならぬ我が身一つはもとの身にして」、そもそも業平は〈漢詩文の才能無し〉と評された人物だし
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-03-27 )、人麿歌から着想かも(@_@;)

[追記220512]

島田良二論文が『拾遺和歌集』の件で人麿の同歌をちゃんと紹介してるのを見落としてましたm(__)m
タグ:和歌 中国
コメント(8) 
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コメント 8

tai-yama

日本でも中国でも、月はあの世とこの世をつなぐ鏡的な
役割があると捉えていたり。確かに人麻呂が別の中国の
文献をパクった可能性もあるけど・・・・
by tai-yama (2022-05-11 23:50) 

ナベちはる

体調が悪いと何も見えてこないかと思うので、お大事になさってください。
by ナベちはる (2022-05-12 01:43) 

middrinn

月に向かって走って行った
tai-yama様のバイク(T_T)
by middrinn (2022-05-12 05:29) 

middrinn

お蔭様で、ぐっすり眠ったので、
ナベちはる様、少し楽に(^_^;)
by middrinn (2022-05-12 05:58) 

df233285

藤原実資が、満月(月食)のときの黄道28宿
に対する月の位置で、うるさかったと聞きますが。
今回のパターンの和歌が11世紀前後にも
あったという記録は有るのでしょうか。アバウト
に言ってですが。同じ月の満月は3年ごとでしか、
おなじ28宿に来ないと認識します。より高い
精度では、19年ごとに同一星座(星宿)内位置。
by df233285 (2022-05-12 08:12) 

middrinn

詠まれている「月」は満月とは限らないかと(^_^;) 11世紀だと、
ともに詞書は省略しますけど、伊井春樹&津本信博&新藤協三
『私家集全釈叢書7 公任集』(風間書房,1989)には藤原公任の
「思ひいづるありし昔の有明の月ながらよのかはらざりせば」
(思い出すにつけ、かつて眺めた有明の月が今も変わらず照って
いるように、二人も当時のままで世の中も変わらず同じであった
ならば、どんなにかよいことでしょう。)、久保田淳&平田喜信
(校注)『後拾遺和歌集』(岩波文庫,2019)には聖梵法師の
「むかし見し月のかげにも似たるかなわれとともにや山を出で
けむ」(今見る月も昔見た月の光と似ているなあ。この月は私と
一緒に山(叡山)を出たのだろうか。)等があり、周囲や男女の
仲の変化に対して月の時間的同一性・不変性を詠んでます(^_^;)
by middrinn (2022-05-12 16:41) 

Cazz

周りでも調子が悪い人が多いです。
寒暖差のせいでしょうか。
そういう私もいまひとつ・・・
by Cazz (2022-05-12 18:44) 

middrinn

今日は朝から今も頭痛がしてます(+_+)
咳も出るので風邪かもしれません(+_+)
Cazz様もお大事にm(__)m 住宅街なん
ですけど、数日前も早朝にタヌキが道路
を横断して庭に入ってきましたよ(^_^;)
by middrinn (2022-05-12 18:53) 

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