SSブログ

200216読んだ本

蕾だった偽クリローことレンテンローズ(別名「春咲きクリスマスローズ」)が咲いてた(〃'∇'〃)
雨の中、庭を見に行ったら、俯き加減なのがまるで恥ずかしがってるようで可愛いよん♡(*'ε`*)チゥ
あとは、ハナイカダの開花を今年こそは絶対に見逃さないようにしないとo(-`д´- o)ミノガサナイゾ!!

【読んだ本】

片桐洋一『伊勢物語全読解』(和泉書院,2013)

阿部俊子(全訳注)『伊勢物語(上)』(講談社学術文庫,1979)を基本テキストにして、片桐洋一&
福井貞助&高橋正治&清水好子(校注・訳)『新編日本古典文学全集12 竹取物語 伊勢物語 大和物語
平中物語』(小学館,1994)の福井貞助による校注・訳、石田穣二(訳注)『新版 伊勢物語 付現代語
訳』(角川文庫,1979)、森野宗明(校注・現代語訳)『伊勢物語』(講談社文庫,1972)、中河與一
(訳注)『伊勢物語 付 現代語訳』(角川文庫,1953)等で補いつつ、『伊勢物語』をチンタラと読む
ダーティペアの第16回オリャ!!(ノ`△´)ノ ┫:・' 第16段の話を要約すると(歌は森野宗明の訳を引く)、
昔、紀有常という人がいて、三代の天皇に仕えて羽振りも良かったが、その後は零落して暮らし向きが
世間の人並みともいえなくなってしまい、人柄は良くて優雅だったけれど世間離れしたところがあり、
尼になろうとする妻にも貧乏で何もしてやれず、思いあぐねて何でも話す友だちに手紙と「手を折りて
あひ見しことを数ふれば十といひつつ四つは経にけり(指を折って、妻とつれ添ってきた歳月を数えて
みると、十年たった、十年たったといっているうちに、気がついてみたら、いつのまにか、もうそれが
四まわり、つまり四十年たってしまったのですよ。)」という歌を送ったら、友だちは気の毒に思って
衣類等を贈ってくれ、「年だにも十とて四つは経にけるを幾度君を頼み来ぬらん(あなたのお話だと、
すでに今まで、年だけでも十で数えて四まわりは、つまり四十年は、たってしまったというが、その
間に、いったい何回、いろいろのおりごとに、奥方は、あなたのことを頼みにしてすごされてきたこと
でしょうか(それが離別とはよほど深く思いつめられたことなのでしょう。またあなたが何かして
やりたいと思われるのもごもっともなことです。おたがいにおつらいことでしょう)。)」という歌も
添えられてたので、有常は「これやこの天の羽衣むべしこそ君が御召物[みけし]と奉りけれ(これが
あの有名な天の羽衣なのですね。いや、道理で、あなたのようなお方がお召しになっていらっしゃった
わけですね。)」というお礼の返歌を送ったが、嬉しさの余り「秋や来る露やまがふと思ふまであるは
涙の降るにぞありける(露を置くのが当然な秋がやってきたのか、それとも、その時でもないのに露が
まちがえて置いたのか、と思われるほどに袖がぐっしょりと濡れているのは、実は、感謝の念で胸が
いっぱいになってあふれた涙が降ったのでした。)」と更に一首詠んだといった内容C= (-。- ) フゥー
ちなみに、「天の羽衣」の「天」は「尼」を掛けてて、贈られた衣類を僧衣として妻に渡す意(^_^;)

「友だち」は在原業平とされるが、紀有常の娘が業平の妻なのに「・・・この段も、一九段も、有常
と業平の姻戚関係はいっさい消し去っている。」(石田穣二の補注)(@_@;) 鈴木日出男『伊勢物語
評解』(筑摩書房,2013)64頁も〈紀有常は業平の妻の父、十歳ほど年長の岳父である。それをあえて
「友だち」としたのには、それなりの理由があるのだろう。〉と評釈で指摘(@_@;) 渡辺実(校注)
『新潮日本古典集成 伊勢物語』(新潮社,1976)30~31頁の頭注欄解説と関係あるのかしら(@_@;)

    /紀有常という実在の人物の名前を挙げ、それとの友愛を語る段で、今までの諸段とは
    趣が異なる。だがこの段の主人公「友だち」のゆきとどいた心配りは、今までの諸段の
    「男」の異性に対する風流と同じく、洗練された心のあらわれである。『伊勢物語』が
    語る「みやび」は、恋愛・友愛を問わず一貫した、対人関係における心と言葉の用い方の、
    高度の洗練なのである。/

さて、この第16段は紀有常が零落したとしてるが、それはフィクションであると本書の144頁( ̄◇ ̄;)

    ・・・/前に掲げた紀有常の閲歴を見ると、文徳朝になったばかりの嘉祥三年(八五〇)
    の近江権大掾。文徳朝の仁寿二年(八五二)二月の兼但馬介、仁寿四年正月の兼讃岐介、
    天安元年(八五七)の伊勢権守。清和朝に入って天安二年の肥後権守、貞観九年(八六七)
    の下野権守、四年後の兼信濃権守、貞観十八年(八七六)の兼周防権守に至るまで、
    中央の蔵人・左馬助・右兵衛佐・左近少将・少納言・刑部権大輔・雅楽頭など、内官
    (中央の官)を勤めながら、兼官の形で外官(地方官)を遥授し、それによる収入を
    得ていた。遥授は、任地に赴かずに公廨の三分の一か四分の一を得られる。前掲の閲歴を
    見ると、この兼官遥授は絶えることがなく、安定した収入となっていたことが知られる。
    まさして生活は保証されていたのであり、「世のつねの人のごともあらず」「まづしく」
    過ごしていたとか、「まづしければ、するわざもな」いというような状態であったとは
    考えられないのである。/・・・

ところが、文徳天皇の皇太子の座を、紀名虎(紀有常の父)の娘が産んだ惟喬親王と藤原良房の娘が
産んだ惟仁親王とが争って後者(後の清和天皇)が立太子されたために、政治的敗者である紀有常は
零落したと解されがちである(@_@;) それに対して「・・・惟喬・惟仁位争いは平安時代後期に形成
された説話であって、それをもって『伊勢物語』を解釈するわけにはいかないのである。」(146頁)
とする本書は147頁で次のように糾問する(゚ロ゚;)

    ・・・/このように、この段の「三代のみかどにつかうまつりて、時にあひけれど、
    のちは、世かはり、時うつりにければ、世のつねの人ごともあらず、(中略)
    まづしくへても、なほ、昔よかりし時の心ながら、よのつねのことも知らず。
    (中略)まづしければ、するわざもなかりけり」という行文は、契沖が『勢語臆断』
    において「実録にあらざること、史伝にあはせて知るべし」と言い切るまでは、
    紀氏と藤原氏をバックに持つ惟喬親王と惟仁親王の位争い(立坊争い)に敗れたゆえの
    逼塞、落魄と理解されてきたのである。注釈史の問題としては、それはそれでよいのだが、
    近現代の注釈書においても、このような[鎌倉から江戸初期の]伝承的注釈書の影響を
    受けていることを自覚せずに『伊勢物語』を論じ『伊勢物語』を注釈しているものがある
    ことは遺憾というほかない。具体的に書名をあげることは避けるが、『伊勢物語』を
    読む場合は、この点についての見極めが何よりも大切である。/・・・

紀有常の零落は『伊勢物語』による虚構なのに、零落は皇太子争いという政争に敗けたためとして、
史実に基づいた解釈をしているつもりになっているが、そもそもソレは史実ではなく説話であって、
説話を史実と混同した大昔の注釈書のトンデモ解釈を無自覚に用いている「近現代の注釈書」とは
誰のを指すのかな(@_@;) 思い当たるものはあるぞ(⌒~⌒) 片桐洋一の眼中には無いだろうけど、
阿部俊子なんかどんぴしゃで、この第十六段の冒頭部分の現代語訳を引くオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

    /昔、紀有常という人があった。三代の天皇(仁明・文徳・清和)に官吏としてお仕え
    申しあげて栄えたのであったが、晩年には天皇の御代もかわり、時勢も移り、繁栄も
    他に移ってしまったので(有常縁故の惟喬親王が皇位継承から外れて、清和帝の即位
    となり、その外戚藤原氏に権力が独占されてしまい失意の状況になったので)、暮らし
    向きも世間の人並みのようでなくなる。・・・

阿部俊子の「世かはり時うつりにければ」という件の語釈も引いておく〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    /天皇が替り、時勢も変り、繁栄がほかの人に移ってしまったので。妹[紀名虎の娘静子]
    の夫であった文徳天皇の御代が終って、自分の妹の産んだ惟喬親王でなく、[藤原良房の
    娘]藤原明子の産んだ清和天皇が即位して、藤原良房一門の権力が強大になり、紀氏が
    衰退したことを指す。

皇太子争いに敗けて「紀氏が衰退した」とするが、清和天皇の貞観8年(866年)の「応天門の変」で
優れた地方官として有名だった紀夏井も連座・流罪となって「紀氏が衰退した」歴史を看過(@_@;)

第83段で惟喬親王は出家してるんだけど、阿部俊子(全訳注)『伊勢物語(下)』(講談社学術文庫,
1979)の第82段の補説と第83段の「御髪おろし給うてけり」の件の語釈を引くオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

    ・・・弟惟仁親王が・・・天安二年[858年]十一月九歳で清和天皇となった。・・・
    貞観十年(八六八)清和天皇と藤原高子女御との間に貞明親王誕生、翌年二月この皇子が
    二歳で皇太子となって惟喬親王の皇位継承の望みはその二十六歳の春完全についえ去った。
    かくて貞観十四年[872年]二月上野太守に任ぜられた後、七月二十九歳で出家された。/
    ・・・

    ・・・弟清和帝即位、貞明親王(陽成天皇)立太子により失意のための落飾ともいう。/

貞明親王の立太子は869年で惟喬親王の出家は872年、タイムラグがあるが気にならないのか(@_@;)

その点、皇太子争いの説話は事の真相を伝えているとする目崎徳衛(日本歴史学会編集)『紀貫之』
(吉川弘文館人物叢書,1961→1985新装版)は、次のように辻褄を合わせるヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

    ・・・しかし父[文徳]天皇の並々ならぬ愛を享けていた聡明な長子[惟喬親王]の
    存在は、藤原氏にとって眼障りだったに違いない。大宰帥・弾正尹・常陸あるいは
    上野太守と優遇された[惟喬]親王が貞観十四年[7月]卒然として出家したのは
    [『日本三代実録』が説明するように]「疾[やまい]に寝[い]ね」ただけの理由
    であろうか。あるいは死病に罹った良房[←同年9月に死去]によって後顧の患えを
    除く何らかの策謀が企てられる危険を察して、賢明な[惟喬]親王が先手を打った
    ものではなかったか。・・・

歴史家というより三文小説家・漫画家の妄想みたいなんだけど、他方で、同書は〈・・・[紀]有常
にしても、晩年「世の常の人のごともあらず」落ちぶれたという『伊勢物語』の伝えは信ぜられない
にしても、なまじ二人の姉妹の縁故によって家運の洋々と開かれるかと期待しただけに、悔恨多い
晩年だったに違いない。/・・・〉としてて、前半は片桐洋一の本書の指摘するところである(^_^;)
ただ、同書は『伊勢物語』第82段の紀有常の歌は上野岑雄が詠んだ歌を転用したものなのに「・・・
単に酒席を去ろうとする親王ではなく、世を逃れようとする親王であり、世を逃れざるをえなくする
藤氏の圧力であったことは言外に汲みとれるのである。」などと妄想して、後に誤りを恥じたように
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-11-08 )、権力闘争史観だからね(^_^;)

・こんなデタラメだらけでも目崎徳衛が「西行研究の第一人者」だなんて吃驚仰天だよヒィィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomunjanakatsuta-orz.blog.ss-blog.jp/2018-10-28

・『伊勢物語』が描く「みやび」( https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-12-28 )、
 日本文化として脈々と受け継がれているとされるがイタリア人こそが「みやび」・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-12-29

・17歳年下から17歳年上まで、この男の守備範囲の広さはゴールデングラブ賞ものやね( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-01-05

・在原業平の歌は鬼たちを感じ入らせるほどじゃなかったということかしらオホホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-01-07

・今井源衛の頭の悪さは知ってたが、敢えて言おう、バカチンであるとヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
タグ:和歌 古典 歴史
コメント(12) 
共通テーマ:

コメント 12

ニッキー

今年はいろんな花が例年よりも早く咲くので
こまめにチェックしないと見逃しちゃいそうですねぇ(⌒-⌒; )
今日はRUN練習を含め、3回外出しましたが
どの時も出かける時は雨が降ってなかったのに
途中で降られるという、なんともついてない1日でした(*_*)
by ニッキー (2020-02-16 20:09) 

middrinn

ナルホド( ̄◇ ̄;) 開花状況監視体制を強化するぞp(・ω・*q)
「雨のレースに強い」との称号を得るまでの過程かも(^o^)丿
by middrinn (2020-02-16 20:18) 

tai-yama

「天の羽衣」は今の時代だとAmazon・・・・
ZOZOの創業者さんが事業をYahooに買収されたとしても
100万円のお年玉をあげられるくらいなので、世間一般から
見れば紀有常さんはそんなに落ちぶれていないのかも。
by tai-yama (2020-02-16 23:20) 

ナベちはる

蕾が恥ずかしがっているようという表現、素敵です☆彡
by ナベちはる (2020-02-17 00:58) 

にゃごにゃご

咲いたんですね!
by にゃごにゃご (2020-02-17 05:23) 

middrinn

「天」と「Ama」を掛け、妻へのギフト(券)と(^_^;)
tai-yama様、Yahooに買収されてお金があるかと(^_^;)
by middrinn (2020-02-17 07:42) 

mimimomo

おはようございます^^
わが家のクリスマスローズも蕾が見え始めてますが、半分土の付くような位置にあって、お顔が全然見えません。
ハナイカダ、楽しみですねー日日目を凝らして^^
by mimimomo (2020-02-17 07:42) 

middrinn

開花したのを見られるのが恥かしくて、
ナベちはる様、俯いているのかも(^^)
by middrinn (2020-02-17 07:43) 

middrinn

にゃごにゃご様のところにコメした後、
見に行ったら、咲いてました(^o^)丿
by middrinn (2020-02-17 07:44) 

middrinn

拙宅のは鉢なんで、鉢を高い所におけば、
mimimomo様、拝顔できますよ(^o^)丿
毎日ルーペ持って見に行かなきゃ(^_^;)
by middrinn (2020-02-17 07:46) 

mimimomo

わが家のクリローは地植えだけでした。今年花が咲きそうなのもその地植えのもの。写真を写すのに不便だから鉢に一部移し替えましたが、それには花が咲いてないの(-、-
来年に期待します^^v
by mimimomo (2020-02-17 12:44) 

middrinn

くぅ~ん(´;ω;`) 地面に伏せて撮るという手も(^_^;)
by middrinn (2020-02-17 14:14) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。