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191108読んだ本

数ヵ月前にネット書店で購入した漫画の続刊が先月に出てたのを知ったが、どうして知らせてくれない
のかな(@_@;) あなたにおすすめの本とかいうメールが一日に数通届くけど載ってなかった(´ヘ`;)

【読んだ本】

阿部俊子(全訳注)『伊勢物語(下)』(講談社学術文庫,1979)所蔵本

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」という在原業平の有名な秀歌が出てくる
ことで知られる『伊勢物語』八十二段の後半、水無瀬離宮で夜更けまで酒を飲みながら話をしていた
惟喬親王が酔って寝所に入ろうとしたところ、右馬頭こと在原業平が詠んだ歌を本書の訳で引く(^^)

    あかなくに まだきも月の かくるるか 山の端にげて 入れずもあらなむ

      まだ満足してないのに早くも月が隠れるのだろうか。山の尾根の稜線がにげて
      入れないでほしいものだ(親王もまだもっとここにいてほしいな)。

紀有常(惟喬親王の母の紀静子の兄で、在原業平の妻は紀有常の娘)が続けて詠んだ歌も引く(@_@;)

    おしなべて 峰もたひらに なりななむ 山の端なくは 月も入らじを

      すっかり平均して高い峰も平らになってしまってほしい。山の高い尾根がなければ
      月もそのかげに入らないでしょうもの。

目崎徳衛(日本歴史学会編集)『紀貫之』(吉川弘文館人物叢書,1961→1985新装版)は深読み(゚ロ゚;)

    ・・・彼らが山の端なくば入るまじき月と諷したのは、単に酒席を去ろうとする
    親王ではなく、世を逃れようとする親王であり、世を逃れざるをえなくする
    藤氏の圧力であったことは言外に汲みとれるのである。/・・・

惟喬親王は文徳天皇最愛の長子だが、母の父である紀名虎も既に亡く、藤原良房の娘の明子が産んだ
弟の惟仁親王に皇太子争いで敗れ、その後、出家したことを指してる(-ω-、) でも、上記両歌が出家
を思い止まるよう諫めたものとは思えないな(^_^;) 話を戻すと、本書が「おしなべて」の歌について
〈語釈〉や〈補説〉で一言あって然るべきことを全く指摘していないことに呆れたぞヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
それは『後撰和歌集』に上野岑雄の歌「をしなべて峰も平らになりななん山の端なくは月も隠れじ」
が入ってて、片桐洋一(校注)『新日本古典文学大系6 後撰和歌集』(岩波書店,1990)の脚注曰く、

    伊勢物語八十二段の最後の歌「おしなべて峰も平らになりななむ山の端なくは
    月も入らじを」は、この歌の改作。

『古今和歌集』の「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け」という藤原基経の死を悼む
歌で有名な上野岑雄が詠んだ歌の「改作」から「藤氏の圧力」が汲み取れるのかしら C= (-。- ) フゥー
目崎徳衛『日本詩人選6 在原業平・小野小町』(筑摩書房,1970)を念のため披いたら、「無断借用」
に気付き、〈・・・わたくしが不用意にも「彼等[ママ]」(業平・有常)などと書いたのは、・・・
一失であった。〉と撤回オホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*) もっと調べてから書けよなオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

話を戻すと、阿部俊子は『古今和歌集』に一首入る紀茂行(貫之の父)を「しげゆき」と読んでるし
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-11-05 )、和歌に詳しくないヾ(`◇´)ノ
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ニッキー

色々と教えてくれるのに、買った本の続刊は教えてくれないとは
なんとも不親切というかなんというか・・・(´・_・`)
そんなに必要でないことを教えてくれるのは
続刊は見つけたら自分で買うだろうから
他の本を薦めておこうってことなんでしょうか(⌒-⌒; )
by ニッキー (2019-11-08 21:55) 

ナベちはる

買った本の続編であれば、買う買わないは別としても知らせてくれたら嬉しいですよね…
by ナベちはる (2019-11-09 00:22) 

middrinn

そーゆーことですか( ̄◇ ̄;)
ニッキー様、続刊はつまらない
から推奨しない、かも(^_^;)
by middrinn (2019-11-09 06:06) 

middrinn

ですよねぇ(^_^;) 続刊も
ナベちはる様、常識的には
買う意思がありそうと考え
そうなのに謎です(@_@;)
by middrinn (2019-11-09 06:08) 

そら

やたらと届くダイレクトメール
肝心なところで活躍しない(^^;
by そら (2019-11-09 07:16) 

middrinn

個々のターゲットのニーズに適ったDMにすればいいのに、無理なのかな(^_^;)
by middrinn (2019-11-09 07:23) 

oko

久しぶりに復活しましたが
早速のコメント、ありがとうございましたっっ
今日は曇りです・・・太陽が無いと寒いですね〜
by oko (2019-11-09 07:41) 

middrinn

サボタニ軍団を拝見できて、
心は晴れ晴れですよ(^o^)丿
今朝は8度でしたけど^_^;
by middrinn (2019-11-09 07:47) 

cooper

↑ 朝に8度もあれば 上等?です。 
こちらの最高気温よりも高いですもの。^^;
by cooper (2019-11-09 10:32) 

middrinn

もう初雪ですかぁヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
帯広に行きたかったけど(-ω-、)
by middrinn (2019-11-09 12:30) 

enokorogusa

\(^^\)業平出た(/^^)/
「世の中に~」いい歌ですね!
早く『応天の門』読まないと。
by enokorogusa (2019-11-09 14:32) 

middrinn

「世の中に」の歌、紀貫之は『土佐日記』の中で、
「年少読者に容易に理解させるために」(萩谷朴)
か「咲かざらば」と改作してましたよん(⌒~⌒)
by middrinn (2019-11-09 15:29) 

tai-yama

状況から見ても、権力争いの歌でもないのに権力争いにかけて
解釈してしまうとは。ここまで行くとある意味、歌の意訳ではなく
物語の創作だったり(笑)。
by tai-yama (2019-11-09 19:02) 

middrinn

何でも政治の話に結びつける人みたいですよね(^_^;)
目崎徳衛は歴史学者の中では珍しく文化史が専門ですが、
政治史が中心の歴史学のDNAの為せる解釈かも(^_^;)
by middrinn (2019-11-09 19:36) 

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