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221207読んだ本【バカチン】

本の内容的な価値を減ずるような間違いではないけど、読んでて引っ掛かっちゃうんだよね(ノ゚ο゚)ノ

【読んだ本(バカチン)】

細川重男『鎌倉幕府抗争史 御家人間抗争の二十七年』(光文社新書,2022)

本書巻頭(目次の後)の「旧国名地図」と同じ頁にある「国名」と「現都道府県名」を対照した表の
ようなものは不正確だし(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-11-18 )、
本書96頁に「・・・源義光が白河院の近臣六条顕季[ろくじょうのあきすえ]におこなっている。」
とあるけど、藤原顕季[ふじわらのあきすえ]はこの場合は「の」は不要(^_^;) 例えば、九条兼実は
「くじょうのかねざね」とは読まないし、現に本書147頁の「一条能保」は「いちじょうよしやす」と
ルビ(^_^;) 続いて、本書226~228頁から引く(^_^;)

    ・・・左近衛大将任官における実朝の拝賀行列に並ぶため、大江広元の次男長井時広が
    京都から呼ばれた。/六月二十七日の拝賀で任務を終えた時広は八月二十日、実朝に
    帰京を願い出た。/ところが、これを聞いた実朝は激怒し、/「鎌倉に下向した以上、
    もう決して京都に戻って朝廷に仕えたいなどと考えてはならない」/と言い、さらに、

     所存の企[くわだて]、関東を褊[さみ]するに似たるなり。
     (時広の言動は、まるで幕府を見下しているようだ)

    と言い放った。/この言葉には、実朝の「幕府は決して朝廷に比して劣るものではない」
    という不遜ともとれるほどの自負が、はっきりと表れている。実朝は鎌倉幕府を朝廷に
    比肩するものであり、またそうであらねばならぬと考えていた。そして、その幕府の主
    としての自覚と自信を持っていたのである。/実朝の歌集『金槐和歌集』に載る、

     山はさけ海はあせなむ世なりとも君にふた心わがあらめやも

    の広く世に知られた和歌は、「君」を後鳥羽院とし、「たとえ山が裂け海が干上がる
    ような世になろうとも、院に背く(逆らう)心が、私にどうしてあるでしょうか
    (絶対ありません)」という意味で訳されることが多い。訳はそれで良いと思うが、
    これはいわば社交辞令であって、実朝の本音は「関東を褊するに似たるなり」の方
    だろう。実朝は幕府を朝廷から相対的に自立した組織と考えていたのである。それは、
    頼朝の下に結集した御家人たちが願った組織そのものである。/実朝は朝廷に恭順の意
    を抱いており、これが自立を目指す御家人たちとの対立を生んだという考えもあるが、
    私は従いがたい。そもそも天皇や朝廷への尊崇は、武士・御家人を含めた古代・中世人
    にとっての常識であって、何も実朝に限るものではない。「朝廷への尊崇」と「朝廷
    からの相対的自立」は別の話であって、実朝にとっては矛盾するものではなかったはず
    である。/対する後鳥羽院は、実朝を取り込むことによって遠隔操作し、幕府を支配下
    に置くことを目指していたと考えられる。/後鳥羽院と実朝は同床に異なる夢を見ていた。
    /たとえ承久元年正月二十七日の事件が無かったとしても、二人の意識の相違は、いずれ
    表面化し、朝廷と幕府の武力衝突は避けられなかったであろう。/・・・

本書229頁も「実朝の歌集『金槐和歌集』・・・」とするが、「家集」という言葉も知らんのか(^_^;)

ちなみに、実朝の同歌に関しては三木麻子『コレクション日本歌人選051 源実朝』(笠間書院,2012)
に出ている解釈を、坂井孝一は『源実朝 「東国王権」を夢見た将軍』(講談社選書メチエ,2014)や
『源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』(PHP新書,2021)で自分の創見、新説の如く記し
てるのは如何なものか(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-04-28 )(^_^;)
樋口芳麻呂(校注)『新潮日本古典集成 金槐和歌集』(新潮社,1981)の記述もパクってる感じだし
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-05-09 )、盗作将軍実朝みたい(^_^;)
タグ:歴史 和歌
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

"鎌倉に下向した"と(卑下して)言っているぐらいなので、そこまで
独立心は無かった気も。北条氏に対抗するために、京の人間を
そばに置きたかった可能性もありそうな気も。
by tai-yama (2022-12-08 00:08) 

middrinn

京都を基準にした表現に過ぎず、他に言い方が無いのでは(^_^;)
実朝は北条氏と対立は特に無く対抗する必要も無いのでは(^_^;)
長井時広から京の和歌に関して話を聞きたかっただけかも(^_^;)
by middrinn (2022-12-08 06:36) 

df233285

そっかぁ。細川重男本は、大河やる前の迄で通読は止めとこ。
by df233285 (2022-12-08 08:16) 

middrinn

『吾妻鏡』を小生は通読してないため、この長井時広の話も
小生は知らなかったので、本書は読む価値ありました(^_^;)
ただ、実朝の同歌は、三木麻子が記しているように和田合戦
直後の不穏な状況と「山が裂け」るような大地震があったこと
を踏まえてるので、単なる「社交辞令」ではない気も(^_^;)
本書巻末の「参考文献」にも挙げられてませんし、高橋秀樹
『対決の東国史2 北条氏と三浦氏』(吉川弘文館,2021)も
細川重男は読んでないようです〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
by middrinn (2022-12-08 10:23) 

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