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220424読んだ本

老人力とか鈍感力、何にでも「力」を付けちゃうから、馬鹿力もあり・・(._+ )☆ヾ( ̄ヘ ̄; )アホ!

【読んだ本】

今井源衛(古賀典子編)『今井源衛著作集 第9巻 花山院と清少納言』(笠間書院,2007)所蔵本

歴史学的妄想力(←チャールズ・ライト・ミルズ『社会学的想像力』が元ネタとは誰が知るだろう)
を駆使すれば、出家・退位した花山院が播磨国の書写山へ御幸した際の「十数人」の「供奉者」とは
都で行なわれている一条天皇の即位式に花山院が戻って来て乱入しないよう藤原兼家からつけられた
監視役だった可能性があるし(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-08 )、
藤原実方が陸奥へ飛ばされたのも花山天皇側近だったため一条天皇に煙たがられたからという新説を
本書(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-09 )所収の『花山院の生涯』の
「彼[藤原実方]がどのような関係から[花山]院の近侍となったのかは明らかでないが、早くから
院のもっとも信頼する臣下であったようだ。」という記述から思い付いたりオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

さて、出家・退位する約2週間前の寛和2年(986年)6月10日に花山天皇主催の内裏歌合で藤原実方が
詠んだ歌を、犬養廉&後藤祥子&平野由紀子(校注)『実方集』(犬養廉&後藤祥子&平野由紀子
[校注]『新日本古典文学大系28 平安私家集』[岩波書店,1994]所収)から訳とともに引く(゚ロ゚;)

     おなじ[花山院の]歌合に、月を

    月かげを やどにしとむる ものならば 思はぬ山は 思はざらまし

     月の光をやどにとどめておけるものならば、にわかに入山(出家)しよう
     などという気を起さなくてすみましょうに。

「思はぬ山」は「この世が辛くて予定していなかった山籠りをすること。」と脚注で説明した上で、
同書も「・・・この歌合の十三日後の二十三日、花山天皇は退位、出家。歌と符合して微妙なものが
ある。」と指摘しており、歴史学的妄想力の出番かもキタ━━━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━━━!!!!

実は花山天皇の出家の意志を察知した藤原実方が思い止まるよう訴えた歌で、『大鏡』の有名な場面
(石川徹[校注]『新潮日本古典集成 大鏡』[新潮社,1989]による)、出家のため清涼殿を出ると
「在明の月のいみじく明かりければ[あかるかったので]」、「『顕証にこそありけれ[〔これでは〕
人目に立ち過ぎる]、いかがすべからむ[どうしたものか]』」と花山天皇が心配したのも、月から
藤原実方の歌を思い出し、藤原実方に見付かり止められてしまうことを懸念したのかもv( ̄∇ ̄)ニヤッ

なお、三奏本『金葉和歌集』の「清涼殿にて月を御覧じてよませたまへる」という詞書の花山院の歌
「こゝろみにほかの月をも見てしかな我宿からのあはれなるかと」(川村晃生&柏木由夫&工藤重矩
[校注]『新日本古典文学大系9 金葉和歌集 詞花和歌集』[岩波書店,1989])、〈下句は「清涼殿
で見る月ゆえにすばらしいのかと」の意。〉で(工藤重矩[校注]『詞花和歌集』[岩波文庫,2020]
https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-10-29 )、その「宿」は藤原実方が詠んだ
歌の「やど」と「符合」してることもチト気になるけど、そもそも詠作時期が分からんしな(@_@;)

あと、藤岡忠美(校注)『新日本古典文学大系29 袋草紙』(岩波書店,1995)は藤原実方の上記歌を
「美しい月の光をわが宿に泊められるなら、そんなことを思いもしなかった西山は月を待ち迎えたり
しなくなるだろう。」と訳しているが、『後撰和歌集』の藤原朝忠、『一条摂政御集』の藤原伊尹ら
の各歌の「思はぬ山」の用例に照らすと、解釈を誤ったのではないかと〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

・花山院が播磨国で月の光の明るさに都を恋しがる歌を詠んでいるのが意味深に思えてしまう(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-10-28

・よく知られている花山天皇が藤原道兼に騙されて退位・出家するシーン、誤訳ではないかと(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-10-31
タグ:和歌 歴史
コメント(6) 
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コメント 6

ナベちはる

なんでもかんでも「力」を付ければいいものではないですよね(^^;
by ナベちはる (2022-04-25 02:01) 

middrinn

意外性を狙ったネーミングなんでしょうけどね(^_^;)
by middrinn (2022-04-25 05:14) 

美美

私は年を取って来てから若い頃には恥ずかしくてできなかったこともできるようになった気がします。オバサンパワー(笑)
違った意味での老人力かも(^^;
by 美美 (2022-04-25 21:26) 

middrinn

たしかに年を経た分だけ羞恥心が減ったような自覚はあります(^_^;)
by middrinn (2022-04-25 21:31) 

tai-yama

火事場の馬鹿力はありますよ。ヘロヘロの体力でも、倒れた270kgの
バイクを立て直しましたし(笑)。長州力はダメか・・・
by tai-yama (2022-04-25 23:57) 

middrinn

老人力も鈍感力も「力」は「りょく」と読んでおり、
馬鹿力は「ばかりょく」とは読まないかと(^_^;)
by middrinn (2022-04-26 12:05) 

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