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210302読んだ本 [編集]

読書の厄介なところは、同一人物に関する知識も断片化されちゃうことである〇 o 。.~~━u(￣ﾟ￣=)
バラバラに記憶されている各エピソードを一体化すれば素敵な人物像が描けるかもと夢想v(￣∇￣)ﾆﾔｯ

【読んだ本】

倉本一宏（日本歴史学会編集）『一条天皇』（吉川弘文館人物叢書,2003新装版）所蔵本

長徳元年（995年）3月、自らの病が治るまでは子で内大臣の伊周を内覧にすると、関白の藤原道隆が
一条天皇との間で合意した後、キナ臭～い出来事が起きていたことを本書は描いてる((；ﾟДﾟ)ﾋｨｨｨ!

　　　　・・・三月九日、一条は・・・「関白の病の間、官・外記の文書、内大臣をして
　　　　見せしむべし」という宣旨を、伊周の［異母］兄の道頼に下させようとした。
　　　　ところがその時、伊周の外戚の左小弁高階信順が、「関白病間」の「間」の字を
　　　　除いて「関白病替」と書き換え、「関白の病に替えて内大臣を以て官・外記の文を
　　　　見せしむべし」という宣旨を作成するよう、大外記中原致時に指示した（『小右記』）。
　　　　「関白の病に替えて」ということになると、道隆が回復したり薨じたりした後にも、
　　　　伊周がそのまま内覧の地位に留まることになる。／それに対して致時は、「関白病間」は
　　　　頭弁源俊賢が伝えた一条の仰せであるとして、信順の策動を拒否した。・・・結局、
　　　　「関白の病の間」という期限付きで、伊周に内覧宣旨が下ったのである（『小右記』）。
　　　　／・・・

政権交代の陰謀を防いだ功労者なのに、wikiの「中原致時」の項では全く触れられていない(-ω-、)

　　　　・・・また、信順はこの動きとは別個に、伊周に関白詔を下すよう一条に奏上したが、
　　　　一条はこれを拒絶している。・・・／・・・伊周を一挙に関白にしてしまおうとした
　　　　高階氏の策動に対しては頑として拒絶しているところから、一条は十六歳にして
　　　　自己の政治意思に忠実に行動し、最後までそれを押し通したと言えよう。／・・・

と本書にあるから、もし中原致時が「拒否」しなくても、一条天皇が認めなかったっぽいけど(^_^;)

政変（未遂）と同様にテロも非常事態((；ﾟДﾟ)ﾋｨｨｨ! 中原致時は正暦元年（990年）10月15日発生の
珍事件を藤原実資に知らせたことは倉本一宏編『現代語訳小右記2 道長政権の成立』（吉川弘文館,
2016）156頁に（⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-09-18 ）ﾋｨｨｨｨｨ(ﾟﾛﾟ;ﾉ)ﾉ

　　　　大外記［中原］致時朝臣が来て、云ったことには、「今朝、賀茂光輔朝臣が
　　　　裸体で釼［たち］を抜いて、摂政殿［＝藤原道隆邸］に走り入りました。
　　　　狂乱しています」と云うことだ。

中原致時は藤原道綱の大納言就任も知らせて、「名字」しか書けない無能な道綱が自分を超越したと
藤原実資を激怒させているが（⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-08-13 ）、
どうやら中原致時は藤原実資とは仲が良かったらしく、他の仲間とも一緒に嵯峨へと赴いて、和歌を
詠んだりもしている（⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-09-29 ）(⌒～⌒)

勅撰集に入集するのは大変な名誉で、中原致時も一首だけ入集し、その和歌はよく取り上げられるが
（⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-15 ）、久保田淳＆平田喜信（校注）
『後拾遺和歌集』（岩波文庫,2019）の「人名索引」は「後拾遺集に１首のみ入集．」（命婦乳母）と
せずに「後拾遺集の入集歌のみが知られる．」と記し、まるで一発屋のような扱いΣ(￣ロ￣lll)ｶﾞｰﾝ

藤本一恵『後拾遺和歌集全釈上巻』（風間書房,1993）から「題不知」の当該歌を訳も引く(⌒～⌒)

　　　　梅が香を桜の花ににほはせて柳が枝に咲かせてしがな

　　　　　梅の（よい）香を（美しい）桜の花に匂わせて、（しなやかな）柳の枝に
　　　　　咲かせたいものだ。

久保田淳＆平田喜信（校注）『新日本古典文学大系8 後拾遺和歌集』（岩波書店,1994）の指摘も(^^)

　　　　▽春の植物である「梅」「桜」「柳」の特性をそれぞれ「香り」「花」「枝」と捉えて、
　　　　それらが一体となれば、さぞすばらしいであろうとの夢想。