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230830読んだ本【バカチン連環記③】 [バカチン連環記]

拙ブログをお読みの皆様にも何か良いことありますよーに(^o^)丿と昨日書くべきも5000pは半信半疑
だったのでスルーしたが、3ヶ月先と見込んでたギフト券1000円分を近々ゲットできることに(^_^;)

【読んだ本(バカチン連環記③)】

『前田愛著作集 第四巻 幻景の明治』(筑摩書房,1989)

バカチン連環記②(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2023-07-19 )の続き(^^)
文豪・幸田露伴の「生涯最高の傑作」とされる『連環記』の典拠探しを行なっているのが本書所収の
前田愛「『連環記』の虚実」(国文学1974年3月号掲載の「作品論『連環記』」を改題)で、本書の
〈解説「幻景」について〉では、その「史実と創作とのつき合わせ」の「前提にはたえず周到な調査
や文献の博捜があった」として前田愛の「隠れた地道な努力」を十川信介は顕彰しているけど(本書
536~537頁)、十川信介の目は節穴で、前田愛のいい加減な文献調査ぶりを示しているのが次に引く
本書504~505頁の記述であるオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

    ・・・/増賀上人の逸事は、『今昔物語』一二の「多武峰増賀上人語第卅三」、同一九の
    「三条皇太后出家語第十八」、『宇治拾遺物語』一二の「増賀上人三条宮に参り振舞事」、
    『今鏡』の「むかしがたり」、『元亨釈書』、『続本朝往生伝』などに拠ったものとおも
    われる。この「断崖絶壁のような智識」の奇行は、大江匡房の『続往生伝』も虎関師錬の
    『元亨釈書』もよく写し得なかったと露伴は説いているが、その輪郭はおおむね『今昔』
    に拠りながらも、その灸所には『続往生伝』のなかでもっとも生彩に富むとおもわれる
    次の一節を挿入することを忘れていない。

      僧正慶賀ヲ申スノ日、前駈ノ員ニ入ル、増賀干鮭ヲ以テ劒ト為シ、牝牛ヲ以テ
      乗[ノリモノ]ト為ス。供奉ノ人却ツテ去ルト雖モ、猶ホ以テ相従フ、自ラ曰ク、
      誰人カ我ヲ除キテ、禅房ノ御車牛口ノ前駆ヲ勤仕セン乎。

    師慈慧[良源]が僧正[←正しくは大僧正と諸書に指摘が]に任ぜられた慶賀の日、増賀
    が異装をこらして行列に加わろうとする話であるが、露伴はこの個所をほとんど逐語訳の
    かたちでつぎのように書く。

      衛府の大官が立派な長劒を帯びたやうに、乾鮭の大きな奴を太刀の如くに腰に
      佩び、裸同様のあさましい姿で、痩せた牝牛の上に乗跨がり、えらさうな顔を
      して先駆の列に立つて、都大路の諸人環視の中を堂〻と打たせたから、群衆は
      呆れ、衆徒は驚いて、こは何事と増賀を引退らせようとしたが、増賀は声を
      厲[はげ]しくして、僧正の御車の前駈、我をさしおいて誰が勤むべき、と
      怒鳴つた。

    石帯の話のばあいと同じく、状景目睹するごとくに描けているが、おそらく露伴の眼
    には『続往生伝』の「以干鮭為劒、以牝牛為乗」の一句が、ぬきさしならぬ字眼として
    うつったにちがいない。しかも、この説話は『続往生伝』のみが伝えるところなので
    ある(平林盛得「増賀聖奇行説話の検討」「国語と国文学」昭38・10)。/・・・

『続本朝往生伝』の「供奉ノ人却ツテ去ルト雖モ」だが、井上光貞&大曾根章介(校注)『日本思想
体系7 往生伝 法華験記』(岩波書店,1974)所収の『続本朝往生伝』の訓読文は「供奉の人却け去ら
しむといへども」とするし(同書237頁)、露伴の「ほとんど逐語訳」と対照しても、前田愛の誤読
なのはさておき、最後の一文は前田愛の平林論文への全面依拠=タダ乗りを意味し、「周到な調査や
文献の博捜」や「隠れた地道な努力」だなんて笑止だし、そもそも「この説話は『続往生伝』のみが
伝えるところ」というのは間違いで、『発心集』等にも載ってるぞヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

三木紀人(校注)『新潮日本古典集成 方丈記 発心集』(新潮社,1976)60~64頁の第一「五 多武峯
僧賀上人、遁世往生の事」の中の一節(同書62~63頁)を(頭注の解説と傍注の現代語訳の一部を
[ ]内に補って)引くC= (-。- ) フゥー

    ・・・/又、師僧正、悦び申し給ひける時、先駆の数に入て。乾鮭[からざけ]
    と云ふ物を太刀にはきて、骨限なる女牛のあさましげなるに乗つて、「やかた口
    [=「良源の乗っていた屋形つきの牛車の先払いを」]仕[つかまつ]らむ」とて、
    面白く折りまはりければ、見物のあやしみ驚かぬはなかりけり。かくて、「名聞
    [みやうもん]こそ苦しかりけれ。かたゐのみぞ楽しかり[=「気楽なのは乞食の
    境涯だけだ」]」と歌ひて、〔車から〕打ち離れにける。僧正も、凡人[ただびと]
    ならねば、彼[か]の「我こそ、やかた口打ため」と宣[のたま]ふ声の、僧正の耳
    には、「悲しきかな、わが師、悪道に入りなむとす」と聞こえければ、車の内にて、
    「此れも利生の為なり」となむ、答へ給ひける。/・・・

なお、「骨限」に付されてる頭注七(同書62頁)には〈音訓不明。「こつげん」と読み、やせこけた
さまをいう和製漢語か。ただし、神宮本「骨の限りなる」。〉とあるし、また頭注五(同書62頁)に
「良源が勅によって大僧正になった天元四年(九八一)の時のことか。」という指摘もされてる(^^)

種明かしをすれば、増賀の上記説話も紹介してる宮元啓一『日本奇僧伝』(東京書籍,1985)を前に
読んでて、同書には「(『続本朝往生伝』一二、『発心集』一の五、『扶桑隠逸伝』中)」と出典が
記されていたからね(^_^;) 同書は『発心集』の「僧正も、凡人ならねば、・・・」云々も特記(^^)

さて、さて、さ~て!『連環記』の増賀の上述のエピソードの典拠は『続本朝往生伝』であるとする
研究者は露伴の衒学が解ってないねぇオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*) よぉーく読み比べ給えv( ̄∇ ̄)ニヤッ
コメント(4) 
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コメント 4

df233285

幸田露伴30代の頃から一度も無かった、9月頭も
強い太平洋高気圧のせいで、5日火曜頃日本に来る
はずだった「大型台風11号」は、小型の台風11
号と3~5日南岸通過の小型台風12号に砕けて、
日本は、夏型8月天気が続くらしいですよ。9月
6日に、やっとこさ東北まで、秋雨前線南下とか。
by df233285 (2023-08-30 22:02) 

tai-yama

乾鮭が剣になるとは・・・・剣の銘はきっと「シャ剣(シャケ)」。
この剣なら、忍者クマ"OSO18"に勝てそう。
by tai-yama (2023-08-30 23:17) 

middrinn

台風が分裂したんですか( ̄◇ ̄;) 数え切れなくなるほど次々分裂して、
長さん様、小さくなって台風の勢力が弱まるのならいいですね(^_^;)
by middrinn (2023-08-31 05:24) 

middrinn

( ^o^)ノ◇ 山田く~ん 特製シャ剣(シャケ)座布団1枚 ♪
ただ、他にも乾鮭を太刀のように腰に佩びた人はいます(^_^;)
tai-yama様、はらわた取って干したものだし、負けそう(^_^;)
by middrinn (2023-08-31 05:57) 

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