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240506読んだ本【バカチン】

オーパーツが描かれてるようなものゆえ後世の(偽)作で鑑定は誤りかとオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

【読んだ本(バカチン)】

江橋崇『ものと人間の文化史189 百人一首』(法政大学出版局 ,2022)

「・・・これまで発見されたことのない様式の新出史料であり、極めて貴重で、史料価値が高い。」
という〈吉田家伝来「百人一首歌絵合せかるた」〉を本書は紹介してて、それは「・・・歌人画抜き
に上の句札、下の句札の双方に一組の歌意図を描いた・・・」もの、つまり、「・・・一対二枚の札
を横にならべると一幅の絵画になるという芸術的な仕組み・・・」を具えたかるたで、その制作年代
を「私は、元禄年間前期(一六八八~九六)頃のものと判断している。」由(本書114頁)(@_@;)

「芸術的な仕組み」といっても、江橋崇は「対の画像の食い違い」や「歌意と画像の不調和」のある
札の存在も指摘・紹介しており(図2-21、図2-22)、後者は和歌を正しく読み解いた上で絵画化でき
てるのかという小生の関心から特に興味深いけど、そもそも、このかるたの「・・・図像は基本的に
風景図で・・・」(本書115頁)、晩年の藤原定家の趣味で恋歌が多い『百人一首』なのに〈・・・
どの札にも人物を描いたものはなく、わずかに「参議雅経」の札に「衣うつなり」の女性像が小さく
描かれているのが唯一の例外である。〉(本書117頁)となると、興味ナシオン主権であるよ(^_^;)

さて、さて、さ~て!そんな小生の目が留まったのは、本書116頁の記述だったエッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ?

    ・・・なお、「柿本人麿」の札には山鳥が、「猿丸大夫」の札【図2-19】には鹿が、
    「中納言家持」の札には鵲[かささぎ]が、「清少納言」の札には鷄が、「皇太后宮
    大夫俊成」の札には鹿が、「後京極摂政前太政大臣」の札にはきりぎりすが描かれて
    いるが、・・・

「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかもねむ」の後京極摂政前太政大臣藤原良経
の札の歌意図を確認しようとするも、本書本文に掲載されているモノクロの図にも本書巻頭のカラー
口絵の〈④吉田家伝来「百人一首歌絵合せかるた」(元禄年間以降)〉にも同札は無かった(ノ゚ο゚)ノ

ネット検索したら、「日本かるた文化館」が「吉田家旧蔵百人一首歌合せかるた」を全札公開してて
(⇒ https://japanplayingcardmuseum.com/yoshidake-hyakuninisshu-utaawase/ )、同札を
ズームすると、色的にコオロギではなく、マジでキリギリスだったΣ( ̄ロ ̄lll)ニャンですと!?

前記の如く本書巻頭カラー口絵のキャプションには「(元禄年間以降)」と何故かなっているけど、
〈制作当時の元来の収納箱、制作者による添付文書、後代の所蔵者による記録等の史料に欠けている
ので残された「かるた」札だけから判断することにな〉り(本書114頁)、「銀色紙」及び「歌人名
と和歌本文の表記」から「元禄年間前期(一六八八~九六)の作品」と江橋崇は鑑定するが(本書
122頁)、この歌が詠まれた鎌倉初期は勿論、「元禄年間」でも「きりぎりす忘れ音に啼く火燵哉」
(芭蕉)等があるように、「きりぎりす」とはコオロギのことだよヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
江戸中期の与謝蕪村(1716~1784)にも「きりぎりす自在をのぼる夜寒哉」があるし、誤鑑定(^_^;)

永青文庫について「ここはプライドが高く、所蔵資料の管理が厳格で、私たちのような在野の研究者
では相手にされず、所蔵史料の閲覧、利用が無理であった。」云々と本書101頁に書かれてたけど、
「日本かるた文化館」も「吉田家旧蔵百人一首歌合せかるた」の画像を非公開に転じたりして(^_^;)
タグ:俳諧 歴史 和歌
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

「きりぎりす」がコオロギだとすると、「こおろぎ」はキリギリス
だったり(笑)。コオロギは4文字で、キリギリスは5文字となる
ので、キリギリスの方が歌に取り入れやすそうな気も。
by tai-yama (2024-05-06 23:06) 

middrinn

5文字だと1文字付いただけで字余りになるので使い勝手が悪いとも(^_^;)
キリギリスを意味する「はたおり」は4文字ですが、「秋来ればはたをる虫
のあるなへに唐錦にも見ゆ野辺哉」(紀貫之)といった風に応用も(^_^;)
by middrinn (2024-05-07 05:33) 

df233285

鑑定誤差有るね。江戸時代の後期に、東北から来た絵師が描いた
から、キリギリスが正しくそうなってしまったで正解かもですね。
版元から「キリギリスは虫の事だから、そこには虫を書け」
を江戸語で「虫」を「コオロギ」に変換して指示されれば、
東北方言で20世紀には、今のキリギリスが東北弁「コオロギ」
なので重変換されて、東北出身絵師にキリギリスを描かせたのかも。
確かに、時代は多少は下るが、近代までは、方言の変化スピード
が遅いので、下らないのかもですね。
by df233285 (2024-05-07 06:58) 

middrinn

方言については分かりませんけど、注文主も絵師と同じ地方の出身者
だったので納品されても気付かなかったということですかね(@_@;)
by middrinn (2024-05-07 15:21) 

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