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221218読んだ本【バカチン】

知は力なりとは言うけど、知識に振り回されちゃうのは如何なものかと〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
他方で欧米の理論・概念を馬鹿の一つ覚えの如く振り回す輩を見ると、なんどめだナウシカ感(^_^;)
さて、今週の楽天市場の超ポイントバック祭では結局3ショップで各1000円以上注文し計5000円以上
としてポイント2倍にはなるも、明日夜から始まる大感謝祭で注文してればポイント3倍だった(-ω-、)

【読んだ本(バカチン)】

関根慶子(全訳注)『更級日記(下)』(講談社学術文庫,1977)所蔵本

『更級日記』作者の菅原孝標女が宮仕えに出て、ある夜に同僚の女房と一緒にいたら源資通に遭遇、
源資通とは彼女も同僚の女房もともに初対面だけど話し込む場面の一部を本書の現代語訳で(^_^;)

    ・・・私ももう一人の女房も答えたりするのを、/「私のまだ知らない人がおられた
    のですね」/などと珍しがって、急には立ちそうもなくしているうちに、折から
    星の光さえ見えず暗いところへ、時雨が来てはやみ来てはやみ、木の葉にかかる音の
    おもしろいのを、/「これはかえって艶美で風情のある夜ですね。月がくまもなく
    [ママ]明るいようなのも、あらわ過ぎてきまり悪いに違いありませんよ」/と言い、
    さらに春秋の事などを話して、/・・・

「音楽の人」である源資通は、「月」がなく視覚的に何も見えないお陰で、「暗い」中から「時雨が
来てはやみ来てはやみ、木の葉にかかる音」だけ聴こえてくるので、「艶美で風情のある夜」と(^^)

さて、本書の語釈は源資通の発言「月のくまなくあかからむもはしたなくまばゆかりぬべかりけり」
の中の「はしたなくまばゆかり」を次のように解説している( ̄◇ ̄;)エッ!?

    「はしたなし」は、きまりが悪い、間がわるい。「まばゆし」は、まぶしいの意から、
    照れくさいような気持をいう。薄明の中の生活を愛したこの時代の人々は、時としては
    月明を明るすぎると感じた。『大鏡』花山院御出家の条の「さやけきかげをまばゆく
    思召しつるほどに」などもある。

秋山虔(校注)『新潮日本古典集成 更級日記』(新潮社,1980)の頭注が「お互いの容姿や表情が
あらわになって、きっと間が悪く面映ゆい気持になるにちがいない。」とし、また池田利夫(訳注)
『現代語訳対照 更級日記』(旺文社文庫,1978)も当該一文を「月がすみずみまで明るく照らしてい
るというのも気まりが悪く、恥ずかしくてまともに顔を見合わせられそうにありませんでしたよ」と
訳してるように、お互い初対面で顔も知らない間柄ゆえ、もし月明かりで顔が見えるようになったら
お互い照れてしまい興ざめしかねないの意であって、「薄明の中の生活を愛したこの時代の人々は、
時としては月明を明るすぎると感じた」なんて、全く関係の無いことかと(^_^;) ストーリーの流れに
即して読み解けばいいのに、関根慶子は知識に振り回されて木を見て森を見ずになっちゃった(^_^;)
例証として〈『大鏡』花山院御出家の条の「さやけきかげをまばゆく思召しつるほどに」〉を挙げて
いるけど、関根慶子は『大鏡』の花山天皇が出家した件も正しく読み解けていないことが判る(^_^;)
同件は源顕兼(編)伊東玉美(校訂・訳)『古事談 上』(ちくま学芸文庫,2021)のトンチンカンな
誤訳を前に指摘したように(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-10-31 )、
花山天皇がひそかに出家するために清涼殿を出ようとした時、有明の月がたいそう明るかったので、
「これでは人目についてしまう、どうしたものか」と躊躇した場面(^_^;) 〈有明の月のいみじくあか
かりければ、「顕証にこそありけれ。いかがすべからん」と、・・・〉の後、問題の「さやけきかげ
をまばゆく思召しつるほどに」はあり、続けて「月の顔に村雲のかかりて、少し暗がりゆきければ、
『我が出家は成就するなりけり』」とおぼされて、歩み出でさせたまふ」云々とあるので、〈天皇は、
すみわたった月光を気がひけるようにおぼしめして躊躇していらっしゃるうちに、月の面にむら雲が
かかって、すこし暗くなっていきましたので、「これで、私の出家の望みは成就するのだなあ」と仰
せられて、お歩き出しなされました〉云々と保坂弘司『大鏡全評釈 上巻』(學燈社,1979)が訳して
る通り、月明かりで見つかって出家できないことを懸念したわけで、「薄明の中の生活を愛したこの
時代の人々は、時としては月明を明るすぎると感じた」なんて無関係ヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

・花山天皇は藤原実方の歌を思い出し実方に見つかり止められちゃうのを懸念したのかもv( ̄∇ ̄)ニヤッ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-04-24
タグ:歴史 古典
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

すみずみまで明るく照らしてしまったので"木"が良く見え過ぎた
のかも。鬱蒼とした森の感覚で訳を書けばよかったかも(笑)。
by tai-yama (2022-12-18 23:00) 

ナベちはる

いくら知識があっても、それを適当に振り回すのはかえって滑稽に感じますね(^^;
by ナベちはる (2022-12-19 00:46) 

middrinn

関根慶子は森の中で迷子になったけど、
tai-yama様、熊さんに出会わなくて、
「くまもなく」と訳したとか(^_^;)
by middrinn (2022-12-19 05:11) 

middrinn

流行の片仮名を振り回すのは特に滑稽ですし、
知識というのは、それを活用すべきTPOが、
ナベちはる様、あると思うんですよ(^_^;)
by middrinn (2022-12-19 06:29) 

df233285

「月明りをまぶしすぎる」と紹介してくれるのは、
月齢を観測スケジュールを決める前にチェックする
彗星や流星を調べる者にとってはありがたいのかも
しれないが。古代に、崩御少し前の後一条天皇に、
ライトダウンを訴えたと疑われる安倍晴明一族以外
に、その仲間が大勢居たとは初耳でした。
by df233285 (2022-12-19 07:56) 

middrinn

言われてみればナルホドと思わせるような豆知識ではあるかと(^_^;)
後一条誕生前に安倍晴明は亡くなって、晴明以外は凡庸な気が(^_^;)
by middrinn (2022-12-19 08:53) 

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