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211218読んだ本

読書の厄介なところは、注釈が詳しすぎるなどと不満を述べる馬鹿である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
文句を言うべきなのは注釈で記されるべきことが記されていない本だろヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
「すべてのテクストは先行するテクスト、プレテクストからの引用であり、そしてその引用されたもの
のモザイクであり、またその変形である」と前田愛『増補 文学テクスト入門』(ちくま学芸文庫,1993)
にもあるように、テクストを読み解いて理解するにはプレテクストのことも知らないとねv( ̄∇ ̄)ニヤッ

【読んだ本】

武田孝『笠間注釈叢刊16 東関紀行』(笠間書院,1993)所蔵本

梶原景時が一切弁明せずに鎌倉追放の処分を受け入れ京だか九州だかを目指した謎が解けたか(^_^;)
と冗談を飛ばした記事(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-05-30 )は京から
鎌倉へと向う『東関紀行』の著者が駿河国で梶原景時の墓を見た時の話(⌒~⌒) その節の最後の方を
本書の訳で引く(⌒~⌒)

    ・・・讃岐の(崇徳)法皇が、流された所へおいでなさって、あの志戸という所で
    崩御なさった跡のお墓を、西行法師が、修行の旅の折に拝見して、「よしや君
    昔の玉の床とてもかからむ後は何にかはせん」(=たとえ、わが君は、昔は玉で
    飾った美しい床で過ごした方だとしても、このように墓の下に眠っておられる
    以上は、それが何の役に立ちましょうか。はかないものに過ぎなかった、今は
    使うことも出来ない「玉の床」のことは、もうお忘れ下さい。)、と詠んでいた、
    という話などをお聞きするにつけても、まして身分の低い梶原のような者のことは、
    改めてかれこれと申すには及ばないのだけれども、現実にこのように墓を見ると、
    とても気の毒に思われるのである。/・・・

本書は『東関紀行』の全文を単語に分解し一語ごとにカードの作成・整理から始めたとあったので、
「マジ労作」と評したけど(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-12-03 )、
注釈もよく調べてるヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪ 西行の歌の「玉の床とても」の語句解説から引くよ
(なお、原文の崇徳院の歌の「玉の床」には傍線が引かれている)v( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・/崇徳上皇の旅の歌の中に、

     松が根の枕も何かあだならん玉の床とて常の床かは(『千載集』羇旅・五〇九)

    という作があり、旅先の松の根も、枕としてはかないものではない、宮中の立派な
    床でも、永久に存在するとは限らない、という意味である。/西行は、恐らく、
    この歌を知っていて、「玉の床」の句を、自分の歌の中に詠み入れたのであろう。
    そして、この二つの歌を対比すると、考え方の上でも、深い関係があることを
    知るのである。/

西行の「よしや君」の歌は『雨月物語』や『西行物語』に引かれて有名だけど、青木正次(全訳注)
『雨月物語(上)』(講談社学術文庫,1981)も桑原博史(全訳注)『西行物語』(講談社学術文庫,
1981)も注釈で崇徳院の「松が根の」の歌に言及してなく、目崎徳衛(日本歴史学会編集)『西行』
(吉川弘文館人物叢書,1980→1989新装版)や久保田淳『旅と草庵の歌人 西行の世界』(日本放送
出版協会新コンパクト・シリーズ,1988)も「よしや君」の歌を紹介してるけど、「松が根の」の歌は
取り上げてない(+_+) 「よしや君」の歌が入っている後藤重郎(校注)『新潮日本古典集成 山家集』
(新潮社,1982→2015新装版)の頭注や近藤潤一(校注)『山家心中集』(樋口芳麻呂ほか[校注]
『新日本古典文学大系46 中世和歌集 鎌倉篇』[岩波書店,1991]所収)の脚注が「松が根の」の歌に
触れていないのは注釈書として如何なものかとヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 流石に、久保田淳&吉野朋美(校注)
『西行全歌集』(岩波文庫,2013)の脚注は「松が根の」の歌をちゃんと挙げてたけど( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

崇徳院の「松が根の」の歌は(本書の指摘の通り)『千載和歌集』入集歌なんだけど、感心したのが
片野達郎&松野陽一(校注)『新日本古典文学大系10 千載和歌集』(岩波書店,1993)で、脚注では
影響歌として西行の「よしや君」の歌を指摘( ̄◇ ̄;) 久保田淳(校注)『千載和歌集』(岩波文庫,
1986)や上條彰次(校訂)『和泉古典叢書8 千載和歌集』(和泉書院,1994)が未言及なのは責められ
ないし、むしろ後代のテクストに与えた影響にまで目を配っている片野達郎&松野陽一の同書を高評
すべきかと(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-07-29 )(⌒~⌒) テクストを
読み解くのに、先行するテクスト(プレテクスト)の方ばかりに目を遣るのも如何かとは思うけどね
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-07-28 )〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

[追記211219]

久保田淳『新古今歌人の研究』(東京大学出版会,1973)の「第一篇 西行の研究」は「よしや君」の
歌を読み解く件で、ちゃんと崇徳院の「松が根の」の歌も取り上げており、〈思うに、「よしやきみ
……」の歌はこの作を受け、・・・〉云々と記していた〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

タグ:和歌 紀行
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

"後代のテクストに与えた影響"と言うことは"テクスト"では
なく"ネクスト"だったり(笑)。
by tai-yama (2021-12-18 19:04) 

middrinn

ヾ(`◇´)ノ◇ 山田く~ん 座布団持ってっちゃって! 次回に期待C= (-。- ) フゥー
by middrinn (2021-12-18 19:27) 

ナベちはる

詳しすぎるぐらい書かれてあるなら、いろいろと調べなくていい分だけ逆に感謝するべきではと思ってしまいます…(^^;
by ナベちはる (2021-12-19 01:30) 

middrinn

ですよねぇ(^_^;) それなのに、減らせと文句つけてる
Amazonレヴュアーやブログ主がいるんですよ(^_^;)
by middrinn (2021-12-19 07:05) 

ネオ・アッキー

middrinnさんこんばんは。
注釈云々で、不満を述べる位なら、まだましで、イミフな不満を、私怨によって抱かれるのは、大変な問題のように思います。
by ネオ・アッキー (2021-12-19 17:41) 

middrinn

やたら正義を振り翳す人は胡散臭いと思っている人が今は多いかと(^_^;)
by middrinn (2021-12-19 19:40) 

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