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211214読んだ本

読書の厄介なところは、物語の根幹を揺るがす発言のように思えることである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)

【読んだ本】

橘健二&加藤静子(校注・訳)『新編日本古典文学全集34 大鏡』(小学館,1996)

歴史物語『大鏡』の特色は大宅世次(世継)や夏山重木(重樹)ら老人の話が中心も居あわせた若い
侍が異見を述べたりするので、その歴史叙述を「出来事への客観的な見方、多元的な見方を可能に」
(渡辺実『大鏡の人びと 行動する一族』[中公新書,1987])していることかと(⌒~⌒) ちなみに、
侍の発言内容は道長の政治への批判を含むことが多々あることから『大鏡』は道長讃美一色に非ずと
も言われるらしいが、渡辺実によるとソレさえも実は道長讃美なのだと解していて興味深い(⌒~⌒)

さて、『大鏡』作者も時々コメントすることがあるのだが、何を言いたいのか解らぬものが(@_@;)
後一条天皇の時に三条天皇の子の敦明親王が自ら東宮(皇太子)の座から退下した事件で、その母の
藤原娍子と妻の藤原延子は嘆き悲しんだわけだが、本書139~140頁の訳で引く(@_@;)

    ・・・侍はさらに、/『このご退位につき、東宮警護の火焚屋[ひたきや]や、
    帯刀[たちわき]の詰所などが、取り壊された時には、こらえきれなくなって、
    すすり泣きする人がございました。まして、皇后宮(娍子)や堀河の女御(延子)
    などのあれほどお考えが深くいらっしゃるお心には、どれほどお嘆きになられた
    かと思われました。世間の人は、「堀河の女御さまが、

     雲居まで 立ちのぼるべき 煙[けぶり]かと 見えし思ひの ほかにもあるかな

     (火焚屋の煙が雲居まで立ち上るように、東宮は帝位におつきになるお身の上と
      信じておりましたのに、その火は消えて、思いがけない結果になってしまった
      ことよ)

    という歌をお詠みになりました」などと申しておりますが、まさかそんなことは
    あるまいが、と思われますよ。本当にそれほどの大事にあたって、和歌のことを
    思いつかれるはずのものではありますまいよ。後になって、お心の中にしぜんと、
    和歌が浮ばれることもあったでしょうが、世間の人が聞き伝えているように当座で
    詠んだというのは、どんなものでしょうねえ』/と言いますと、世次の翁は、
    『なるほど、お説はごもっともですが、昔も今も、非常の事態の折に、このような
    即詠の歌を詠んだという例がたいそう多く世間に聞えておりますよ』/と言って
    ひそひそ話しているのは、どんなことなのでしょうか。/・・・

「とてささめくは、いかなることにか」なる『大鏡』作者の〆のコメ、付された頭注2(本書140頁)
は「語りの場のほうを写し、意味ありげなニュアンスを添える。」とするが小生にはイミフ(@_@;)

『大鏡』の登場人物も所詮は『大鏡』作者の分身か、渡辺実は侍の上記発言に着目していた(@_@;)

    ・・・/と言わせているのなど、いかに『大鏡』が『源氏物語』から遠い所に
    立っているかをうかがわせるに足る事実である。『古今和歌集』以来、和歌こそは
    人の喜怒哀楽の心の、自らなる流露であった。『源氏物語』はその伝統の上に生まれ、
    登場人物は喜びも悲しみをも三十一文字に結晶させている。だが『大鏡』は、そんな
    悲しい時に三十一文字を連ねる余裕などあるものか、と言うのである。こんな言葉を
    はく作品はかつてなかった。「生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」が、
    疑う余地のない公理であった時代は終わったのである。『大鏡』はそういう時代の
    到来を告げている。/・・・

作者コメが世次発言に否定的で侍発言を肯定だと、この物語を構成する各話、例えば、「勅なれば」
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-02-01 )とか成り立つのかな(@_@;)

伊勢大輔タンならプレッシャーがメチャクチャかかる場面でも秀歌を即詠しちゃうけど♡(*'ε`*)チゥ

・中宮彰子が最終兵器伊勢大輔タンに「アレを取れ!」と出撃命令キタ━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━!!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-01-10

・彰子からの出撃命令を受け、伊勢大輔タン、こっそり女院に侵入した女房たちを見事撃墜v( ̄∇ ̄)ニヤッ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-12

・伊勢大輔タンの父である大中臣輔親も道長に促され即興で秀歌を詠んだという血は争えない話(⌒~⌒)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-03-03

・優れた歌人輩出の大中臣家の末なので伊勢大輔タンの孫娘に御指名キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━!!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-26

・伊勢大輔タン「いにしへの」の解釈で苑子タンを始め馬鹿が多すぎるヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-01-16

・エガちゃんじゃないが、伊勢大輔タンは確実に伝説を創り、生ける伝説だったという話ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-19

・少なくとも70代前半にはなっていたはずも老いてなお歌を召されるほど活躍していた伊勢大輔タン(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-06-07

・伊勢大輔タンの容貌を褒めつつ、その欠点を論うことも決して忘れない紫式部の性格の悪いこと(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-16

・そんな紫式部にも「気に入られるような、つつましく素直で、人なつこい人だった」伊勢大輔タン(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-06-13

・降り積もった雪が若菜を摘んでるのかしら、だなんて、伊勢大輔タン、発想が可愛いよん(〃'∇'〃)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-02

・末次由紀『ちはやふる』(講談社BE LOVE,2019)42巻は伊勢大輔タンの歌が解ってないぞヾ(`◇´)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-09-08

・「後の和歌史」と異なり、室町中期に伊勢大輔タンの歌に興味を持った人がいたわけだv( ̄∇ ̄)ニヤッ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-22

・高階家という接点があるから伊勢大輔タンと清少納言との間に贈答歌もありそうなんだけど(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-02-14
タグ:和歌 古典
コメント(2) 
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コメント 2

tai-yama

最近でも、昭和~平成の初期の頃の様に、「年末は歌番組」と
言う時代でもないし。レーコード大賞も30日(歌違い)(笑)。
政治批判と受け止められる可能性もあって心のままに詠めなくなった
とかもありそう。
by tai-yama (2021-12-14 22:36) 

middrinn

最近の歌の歌詞はそもそも詩になってない印象(^_^;)
竹内まりやを見習ってほしい〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
by middrinn (2021-12-15 06:02) 

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