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210228一昨昨日買った本&読んだ本

読書の厄介なところは、その本を読むだけではその良し悪しが判らぬことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)

【一昨昨日買った本&読んだ本】

芸術新潮2021年3月号

25日の発売日に新品1500円を1349円で購入(^^) 特集は「決定版 唯美と奇想の王国 英国絵画史」(^^)

    絵画をめぐるイギリス人の物語

    第1部 エリザベス朝からヴィクトリア朝まで

     英国絵画史(解説 荒川裕子)

      1 イギリスで「美術」はなぜ出遅れたのか?

      2 風景画が開いたイギリス絵画の新時代

      3 ラファエル前派、唯美主義
       全盛の大英帝国と耽美へ向かうアート

     ターナーとコンスタブル
     ふたりの巨匠を徹底比較(解説 荒川裕子)

     空と雲と虹と
     コンスタブルの真摯な気象研究(文 前橋重二)

     ビアズリーは
     イギリス的?非イギリス的?(文 河村錠一郎)

    第2部 20世紀から現代まで

     英国絵画史(解説 桝田倫広)

      4 二つの世界大戦と
       にじみだすイギリスらしさ

      5 解体する帝国とスター誕生
       ベーコン、フロイド、ホックニー

      6 ターナー賞の先鋭化と
       YBAs大暴れ

      7 越境する絵画たち

     バンクシーはなぜイギリスに生まれたのか(解説 毛利嘉孝)     

     ミニグラフ
     コロナ禍のバンクシー

ニコラス・ヒリアード、ウィリアム・ホガース、ジョシュ・レノルズ、トマス・ゲインズバラ、
リチャード・ウィルソン、ジョン・コンスタブル、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー、
ウィリアム・ブレイク、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・ウィリアム・
ウォーターハウス、ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー、オーブリー・ヴィンセント・
ビアズリー、ウォルター・リチャード・シッカート、スタンリー・スペンサー、パトリック・ヘロン、
ベン・ニコルソン、ポール・ナッシュ、ルシアン・フロイド、フランシス・ベーコン、ロナルド・
ブルックス・キタイ、ディヴィッド・ホックニー、ギルバート&ジョージ、デミアン・ハースト、
ピーター・ドイグに関しては本文に出てくるだけでなく人物紹介まで設けられてた_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

昨年4月号が「大特集 ロンドン・ナショナル・ギャラリー 西洋絵画の殿堂で学ぶ、名画のみかた」、
昨年10月号が「特集 名画は語る!王と女王の英国史」と、英国の絵画特集が定期的にある印象(^_^;)
で、第一部を読んだ(^^) 上記の両特集にも寄稿し、2014年2月号の「特集 英国ヴィクトリア朝美術の
陶酔[エクスタシー] ラファエル前派から唯美主義まで」のメインの記事での解説がメチャ良かった
荒川裕子だが、本誌本号の通史の解説は平板な感じでチト残念(^_^;) 例えば、ニコラス・ヒリアード
の細密肖像画についての本文の記述は次の件だけ(^_^;)

    ・・・イギリスにおける肖像画制作は、もっぱら外国人画家[=ホルバインや
    ヴァン・ダイク]に依存していたのです。/そんな中、イギリス人の肖像画家
    として活躍した人物をひとり挙げることができます。ニコラス・ヒリアード、
    細密肖像画(ミニアチュール)の第一人者です。細密肖像画とは、いまで言う
    「ロケット」のようなもので、どちらかと言うと絵画史の文脈で語られるよりは
    工芸品としてみられることが多いかもしれません。細密肖像画は、エリザベス1世
    の時代に隆盛を極めました。/・・・

高橋裕子『イギリス美術』(岩波新書,1998)は「細密肖像画──写本装飾画の子孫」「ルネサンス人
ヒリアード」という見出しを付けた両節に約6頁も割いてるのに(^_^;) 同書から引く( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

    ・・・/とくに注目すべきは、ルネサンス以後の絵画としては例外的に、ほとんど
    陰影表現がないことである。・・・/『細密画の技法』において、ヒリアードは、
    手にとって間近に眺める細密画には、油彩画のような陰づけは不要だと述べている。
    また、彼によれば、陰影なしに描く方法は、エリザベス女王が提案したものだった。
    女王はアトリエではなく、日の当たる戸外でヒリアードに肖像を描かせたという。
    陰影をつけた描写は、おのずと写実的傾向を強めるはずだが、エリザベスはこれを
    嫌ったものとみえる。・・・彼の手になるエリザベス女王の肖像画は、十五点とも
    二十点ともいわれる。最初の作品(図Ⅱ-7)には「一五七二年、その齢三十六」
    の銘文がある。一六〇〇年頃の作品(図Ⅱ-8)では、女王は優に六十の坂をこえて
    いるはずであるが、ふくよかさを増した顔の輪郭に熟年の気配を漂わせつつも、
    ほとんど年齢不詳のイメージでとらえられている。それは生身の人間というより
    女神を思わせる姿だが、まさにそこがエリザベスの望むところだった。超人的な
    女王のイメージは、あとで見るように他の画家の作品においても追求されている。
    /・・・

同書は「メチャ面白かったし、また非常に勉強になる好著」だったが、「カラー口絵は10点あるも、
目次や各章の扉も含めた本文に掲載された図版がモノクロで小さ過ぎて、本文の説明を読んでも確認
できないものも(-ω-、)」(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-06-03 )あり、
本誌本号で幾つか「確認」(^_^;) 他方で、本誌本号の場合、図版が大きく多い分だけ、本文記述の量
が少なくなり、物足りない内容になってる(^_^;) 同書と読み比べると、他にも色々と異なるね(^_^;)
でも、荒川裕子のターナーとコンスタブルを8頁にわたって「徹底比較」した記事なんかは面白い(^^)
1832年のロイヤル・アカデミーの展覧会で並んで展示された2人の作品を再現(実際の作品とほぼ同じ
比率で)し、そのキャプションは次の通り(^^)

     会場での最終仕上げの日、鮮やかな色彩のコンスタブルの作品を見たターナーは、
     自分の画面右下方に赤い絵具の塊[で色鮮やかな赤いブイの絵]を描き加えた。
     「ターナーは銃をぶっ放していったよ」とコンスタブルはつぶやいたという。
    
あるいは、ターナーが「登場したばかりの蒸気機関車を描いた」作品については次の指摘も(⌒~⌒)

    ・・・今では判別しにくいのですが、蒸気機関車の前には、実は逃げるウサギが
    描き込まれています。それがいったい何を意味するのか? 急速に進歩していく
    テクノロジーを、ターナーが肯定的に見ていたのか、それとも否定的に見ていたのか、
    議論は分かれています。/・・・

高橋裕子・前掲書は、ターナーの当該作品について〈ロンドンから西へ向かうグレイト・ウェスタン
鉄道上で、描かれた地点もわかっているのだが、特定の場所の記録ではなく、「自然に対する人間の
力の勝利」がテーマだったと思われる。/だが、若い頃の作品では、ターナーは「自然を前にした
人間の力の空しさ」を表現していた。《吹雪、アルプスを越えるハンニバルとその軍勢》(図Ⅵ-7)
がその典型例である。〉とある(^_^;) で、同書の「図Ⅵ-7」が酷くて、本誌本号で「確認」(^_^;)

ダブル裕子のことばかり書いてきたけど、前橋重二「空と雲と虹と コンスタブルの真摯な気象研究」
こそ必見必読かとキタ━━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━━!!!! キタヨキタヨヽ(゚∀゚=゚∀゚)ノキチャッタヨ-!!!!!!

特集以外の記事では「フランシス・ベーコン 挑発する生前未発表ドキュメンツ」(文 平泉千枝)、
「前衛×古典・伝統 これが戦時を生きる道」、〈永遠のふたり「がまくんとかえるくん」誕生秘話〉、
前橋重二の連載「海外アートStudy最前線」第63回「ミイラから顔を復元 それは似ているのか」、
連載「国宝クラス仏をさがせ!解説篇」の第3回「南北朝時代のエース仏師院吉の華麗なる三尊像」
(選・解説 瀬谷貴之)といったところかな、本誌本号で小生が興味ある記事は_φ( ̄^ ̄ )メモメモ
コメント(8) 
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コメント 8

tai-yama

事実をそのまま写真の様に描かれるとババアがばれてしまうと(笑)。
ヒリアードは今で言う、フォトショップ加工っ!
by tai-yama (2021-02-28 23:22) 

ナベちはる

冊子上のスペースがあるとはいえ、掲載された図版がモノクロで小さいというのは何とも言えない気持ちになりますね…
by ナベちはる (2021-03-01 01:29) 

middrinn

そもそも依頼による肖像画は、
tai-yama様、実物よりも、
良く描くものですし(^_^;)
by middrinn (2021-03-01 06:32) 

middrinn

スペースがふんだんにあるので図版が沢山掲載されてても、
ナベちはる様、文章がイマイチだと、それまた残念(^_^;)
by middrinn (2021-03-01 06:35) 

そら

絵画かぁ、一度絵画展でも見に行きたいんですけどね
若い頃に比べれば今ならその良し悪しも分かるかと思うんだけど!
by そら (2021-03-01 06:46) 

middrinn

たしかに年齢を重ねると見方も変わってきますからね(^^)
観に行かれなくても「芸術新潮」もおススメですよ(^o^)丿
by middrinn (2021-03-01 07:08) 

yokomi

高橋裕子さんは元同僚でした(^_^)v 勿論同姓同名(^_^;) 写真が無くて幸いな時代でしたね(*^_^*)
by yokomi (2021-03-02 08:28) 

middrinn

前橋重二「空と雲と虹と コンスタブルの真摯な気象研究」は、
雲や虹など気象科学に関心おありなら必見必読ですよ(^o^)丿
by middrinn (2021-03-02 08:40) 

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