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200817買った本&読んだ本

廉価で出品されてて2人入札中も終了1分前に参戦したら応札されて終了時間延長を繰り返し1時間近く
粘られ何とか落札したものの高額になってしまった上に寝不足になっちゃったことは前に書いたけど、
昨夜は1人も入札ないまま終了50秒前の入札で無事落札ヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪ でも眠いぞ(+_+)

【買った本&読んだ本】

石母田正『平家物語』(岩波新書,1957)

「もったいない本舗 楽天市場店」で「良い」328円を15日注文し17日届いた(^^) 見返しに鉛筆書きで
感想文、とびらに立派な蔵書印と鉛筆書きで日付があるも許容範囲内で、本文に書き込み等は無く、
問題ナシオン主権(^o^)丿 前にも登場した有名な本で、『平家物語』を全巻読了後に読んでみようと
購入も、講談社学術文庫版をメインテキストに、新日本古典文学大系版&新編日本古典文学全集版&
新潮日本古典集成版も併読は結構エネルギーが要るので、巻五に入ったとこで中断したまま(-ω-、)

拾い読みした限りでは、本書は「平家の原作者は漢詩文の深い教養があっ」たと強調してる( ̄◇ ̄;)
小生は『平家物語』作者の和歌に関する「深い教養」に驚かされてきたけど、本書は異なる(@_@;)

    ・・・和歌を物語のなかに豊富にいれていることは、平家の特徴の一つだが、これは
    従来の物語文学の伝統をそのままうけついでいるのである。散文・韻文の区別が
    明確でなく、両者がいつのまにか連続しているのが、物語文学の特質であって、
    極端な場合には、『源氏物語』のように、和歌に会話の機能さえあたえているほど
    である。平家でも心情の表現を主とした浪漫的な部分では、和歌が散文の部分と
    連続した同一の世界をなしている。/しかし・・・平家では・・・漢詩文の句を
    そのまま和文化して巧にいれ、『源氏物語』などとはちがったいわゆる和漢混淆文
    の文体をつくりあげている。・・・/平家では文体として華麗な力強い漢詩文が
    生かされているというだけでなく、内容的にも漢詩文の世界が平家とつながるように
    なったことも注意すべきであろう。・・・平家物語にいたって、はじめて漢詩文は
    文体としてだけでなく、・・・そのまま内容的にも平家の一部となり得るように
    物語の世界も変ってきたのである。/

『平家物語』が物語として如何に画期的かということで漢詩文を強調するのは別に結構なんだけど、
和歌についてはチト異論(@_@;) 以下では講談社学術文庫版の杉本圭三郎の本文&訳を使うけど、
『平家物語』において「和歌が散文の部分と連続した同一の世界をなしている」のは「心情の表現を
主とした浪漫的な部分」とは限らないぞ(@_@;) 例えば、巻三「足摺」の〈・・・「是乗せてゆけ、
具してゆけ」/と、をめきさけべども、漕ぎ行く舟の習にて、跡は白波ばかりなり。(・・・[俊寛
は]「これ、乗せてゆけ。連れて行け」/と、声はりあげて叫んだが、漕ぎ行く船の常として、跡に
白波が残るばかりであった。)〉という件だが、『拾遺和歌集』の「世の中を何にたとへむ朝ぼらけ
漕ぎ行く舟の跡の白波」を踏まえていて、新日本古典文学大系版は「あとは知らない」を懸けている
とも指摘(@_@;) また次の件も石母田正は和歌を踏まえていることに気付いてるのかしら(@_@;)

    /平家の合戦記には、注意しなければならない別の側面がある。前節で例にひいた
    [巻四の]橋合戦のつづきを読んでゆくと、足利忠綱が河を渡して平等院の門の内へ
    攻めいったのを見て、平氏の大将知盛もその「二万八千餘騎」に下知して、渡河させた
    話が出てくるときのことである。

     如何したりけん伊賀伊勢兩國の官兵、馬筏押破られ水に溺れて六百餘騎ぞ流れける。
     萌黄、緋威、赤威、色々の鎧の浮ぬ沈ぬゆられけるは、神南備山の紅葉葉の、嶺の嵐に
     誘れて、龍田河の秋の暮、井塞に懸て、流もやらぬに異ならず(宮御最後[ママ])

    萌黄、緋威、赤威等さまざまの色の鎧を着た六百騎の武者どもが河を流されてゆく光景を、
    作者は、秋の暮の竜田川の井塞に吹きよせられた神南備山の紅葉にたとえている。これは
    まったく王朝貴族的な感覚である。しかもこれは平家の作者が合戦物語で好んで用いた
    手法の一つであった。壇浦合戦の最後も、「・・・」と描かれて、凄愴な合戦記も
    いつのまにか、色彩豊かな一幅の大和絵的描写で終っている(内侍所都入)。合戦記
    としての当否や、読む人の好悪は別として、このような要素が、『将門記』から『今昔』
    にいたる過去のどのような戦記物語にもなかった新しい側面であることは事実である。
    この色彩感覚をのぞいたならば、平家の合戦記の特徴的なものが一つうしなわれてしまう
    ほどである。・・・

「神南備山の紅葉葉の、嶺の嵐に誘れて、龍田河の秋の暮」という件、神南備山は三室山とも言い、
『後拾遺和歌集』『百人一首』の能因法師の「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」
を下敷きにした表現と愚考(@_@;) 鈴木日出男『百人一首』(ちくま文庫,1990)を引く(⌒~⌒)

    ・・・ここでは紅葉を錦に見立てる趣向によっているが、それは『古今集』以来の
    伝統的な表現である。道真の「もみぢの錦」の歌(24)、業平の「唐紅に水くくる」の歌
    (17)などが想起されよう。したがって、単に竜田川の紅葉を錦と見立てるだけなら、
    さほど新鮮味もないだろう。しかしここでは、大和の山と川とが、ともに紅葉に輝くばかり
    という景を描いてみせた。一首のなかに「三室の山」と「竜田の川」の二つの歌枕を、
    山と川を対照させながら詠みこんでいる点に注目される。晩秋の山おろしに紅葉の
    吹き散らされる山と、それを浮かべて流れる山裾の川が、広い空間をとりこめながら、
    的確な構図としておさまっている。/紅葉の華麗な錦の景である。・・・

当時ありふれたチープな表現と既になっていたものを能因法師が斯く仕立て直して評価されたことを
『平家物語』作者は知ってて、また読み手=聞き手も能因法師の当該歌を知ってると思って、本文に
読み込んだかと(@_@;) 能因法師が描き出した「紅葉の華麗な錦の景」の「色彩感覚」が共有されて
いるから、「萌黄、緋威、赤威、色々の鎧の浮ぬ沈ぬゆられける」光景もイメージ可能かと(@_@;)
なお、「萌黄、緋威、赤威、色々の鎧の浮ぬ沈ぬゆられける」光景と能因法師の歌の「紅葉の華麗な
錦の景」とを同一視する『平家物語』作者からは、「跡の白波」に「あとは知らない」を懸けたのと
同様のユーモアを小生は感じるけどね(@_@;) それはさておき、結局、こーゆー作者の意図・工夫を
ちゃんと読み取れるかどうかは読み手の知識&センスに左右されるところが大きいので、古典、特に
『平家物語』を読む場合には、複数の注釈書を併読することが必要かと愚考オホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

◎杉本圭三郎(全訳注)『平家物語(一)』(講談社学術文庫,1979)
 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-14

◎杉本圭三郎(全訳注)『平家物語(二)』(講談社学術文庫,1979)
 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-20

◎杉本圭三郎(全訳注)『平家物語(三)』(講談社学術文庫,1982)
 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-07
 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-13

◎杉本圭三郎(全訳注)『平家物語(四)』(講談社学術文庫,1982)
 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-15

「足摺」という古語、従来の意味は誤りと指摘する文献を紹介してた本の書名が思い出せん(-ω-、)
タグ:和歌 古典 歴史
コメント(12) 
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コメント 12

ニッキー

無事落札おめでとうございます♪( ´▽`)
他に誰も入札しなかったってことは
middrinnさんの希望通りの値段でゲットってことですよねぇ*\(^o^)/*
by ニッキー (2020-08-17 21:03) 

middrinn

出品価格でゲット出来たので、出品者にとっては
全く嬉しくない最低ラインの価格なのかも(^_^;)
by middrinn (2020-08-17 21:15) 

tai-yama

今でも良くありますが、~の本の表現をパクる(リスペクトする)
のは当然、古くからある手法ですね。「跡の白波」から色を
読み取ることも出来たり。バタ足の凄さが分かると・・・
by tai-yama (2020-08-17 23:21) 

nikki

自動延長1時間粘れば相当落札価格あがったでしょう。
50秒前で落札できてよかったですね。
by nikki (2020-08-18 00:51) 

ナベちはる

落札おめでとうございます!
他に入札がないまま落札できたのは嬉しいですね(*´▽`*)
by ナベちはる (2020-08-18 01:16) 

middrinn

和歌の本歌取りも藤原定家が何句までとか、
tai-yama様、ルールを定めました(^_^;)
by middrinn (2020-08-18 05:33) 

middrinn

応札者も安く買いたいのかちょっとずつ上げてきましたけど、
nikki様、おっしゃる通り、予想外の高値になりました(+_+)
by middrinn (2020-08-18 05:36) 

middrinn

ちょっと呆気なかったですけど、
ナベちはる様、一安心(^_^;)
by middrinn (2020-08-18 05:38) 

そら

落札出来て良かったです!
しかしひとりも入札しないって結構あるんですかね?
by そら (2020-08-18 06:41) 

middrinn

やはり需要、ニーズかと(^_^;) あとタイミングで、
たまたま凪の状態だったのかもしれません(^_^;)
by middrinn (2020-08-18 06:47) 

df233285

GDPが年率▲27%にもなったら、政権がモツわけが無いので、
そろそろ現連立政権政党にとって、”我々”は必要かと愚考。
よってそろそろ特別定額給付金の請求を、しようかと思う。なお私
のような発想を良い子は、公職選挙法の精神という観点から、
ぜったいにしてはいけません。今日は「暑いので、ブログの原稿は
後で書こう」と思ったのは久しぶり。埼玉は17日今年第2位の暑さ。
by df233285 (2020-08-18 08:26) 

middrinn

驕る平家は久しからず、かな〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
請求は期限があったはずで、早くされないと((;゚Д゚)ヒィィィ!
エアコン無しでノーパソで長文ブログ原稿書きです(^_^;)
by middrinn (2020-08-18 12:01) 

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