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220409読んだ本【バカチン】

井波律子も岩波書店の編集者も、ちょっと考えれば気付くと思うのだが、頭が悪いのかC= (-。- ) フゥー
真名本『曾我物語』に関し数冊チェックしたら昨日の「バカチンもの」の「もの」は不要だった(^_^;)
今日もらったワインを飲み始めちゃったから今日は本題に入る前に筆を置くことにするよv( ̄∇ ̄)ニヤッ

【読んだ本(バカチン)】

井波律子『奇人と異才の中国史』(岩波新書,2005)所蔵本

例えば、『新古今和歌集』の歌番号44~46の3首(とりあえず峯村文人[校注・訳]『新編日本古典
文学全集43 新古今和歌集』[小学館,1995]を用いる)は次のように記されている(´・_・`)

      百首歌奉りし時
                      藤原定家朝臣

    梅の花にほひほうつす袖の上に軒漏る月の影ぞあらそふ


                      藤原家隆朝臣

    梅が香に音を問へば春の月答へぬ影ぞ袖にうつれる



      千五百番歌合に
                      右衛門督道具

    梅の花たが袖ふれしにほひぞと春や昔の月に問はばや

真ん中の歌番号45の藤原家隆が詠んだ歌だけを引く場合は次の如く記す〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

      百首歌奉りし時
                      藤原家隆朝臣

    梅が香に音を問へば春の月答へぬ影ぞ袖にうつれる       

「百首歌奉りし時」を補うのは、「四四番の詞書が掛かる。」(久保田淳『新古今和歌集全注釈 一』
[角川学芸出版,2011]からで、これは知識・教養の範疇だけど、本書はそれ以前の問題を露呈(^_^;)

    ◆白楽天の詩より「重題(重ねて題す)」

    日高く睡り足れるも 猶お起きるに慵し   日高睡足猶慵起
    小閣に衾を重ねて 寒さを怕れず      小閣重衾不怕寒
    遺愛寺の鐘は枕を欹てて聴き        遺愛寺鐘欹枕聴
    香炉峰の雪は簾を撥げて看る        香炉峰雪撥簾看
    匡廬は便わち是れ名を逃がるるの地     匡廬便是逃名地
    司馬は仍お老いを送るの官為り       司馬仍為送老官
    心泰く身寧きは是れ帰する処        心泰身寧是帰処
    故郷は何ぞ独り長安にのみ在らんや     故郷何独在長安

「重題(重ねて題す)」では「同上」「同右」とするようなものだヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

この詩(0978)の前後の詩(0975~0980)の詩題を、岡村繁『新釈漢文大系99 白氏文集 三』(明治
書院,1988)419~427頁から引く( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ なお、「題す」とは「書きつける」の意である(^^)

    0975 香爐峯下、新卜山居草堂初成。偶題東壁
      (香爐峯下、新たに山居を卜し、草堂初めて成る。偶々東壁に題す)

    0976 重題(重ねて題す)

    0977 其二(其の二)

    0978 其三(其の三)

    0979 其四(其の四)

    0980 山中問月(山中 月に問ふ)

この詩(0978)は「其三」(其の三)とされており(同書423頁)、2つ前の詩(0976)の「重題」
(重ねて題す)は解題で「前詩につづき、重ねて草堂の壁に以下四篇の詩[0976~0979]を題した
[=書きつけた]のである。」と解説されてて(同書421頁)、その「前詩」(0975)が「香爐峯下、
新卜山居草堂初成。偶題東壁」(香爐峯下、新たに山居を卜し、草堂初めて成る。偶々東壁に題す)
という詩題(同書419頁)(^^) つまり、白居易(白楽天)は「廬山の香爐峯下に新たに山居を構え、
草堂がやっと完成した。そこでその東壁にこの詩を題した[=書きつけた]のであ・・・」(同書419
頁の解題)り、更に「重ねて草堂の壁に以下四篇の詩を題した[=書きつけた]の」だから、この詩
(0978)は「香爐峯下新卜山居草堂初成偶題東壁(香爐峯下、新たに山居を卜し、草堂初めて成る。
偶々東壁に題す)」という七言律詩の連作5首の内の第4首ということになるオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

従って、( )内の書き下し文に異同はあるも、詩題は駒田信二『中国詩人伝』(芸術新聞社,1991)
も松原朗『唐詩の旅 長江篇』(現代教養文庫,1997)も「香鑪峯下新卜山居草堂初成偶題東壁」で、
菅野禮行(校注・訳)『新編日本古典文学全集19 和漢朗詠集』(小学館,1999)のも〈「香鑪峯下、
新卜山居、草堂初成、偶題東壁五首。重題」其三〉としている(返り点は略)( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

『枕草子』で有名な「香炉峰の雪は簾を撥げて看る」は、第4首全体から前掲『和漢朗詠集』のように
「寝たまま」を補って訳すべきで(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-04-04)、
萌えポイントは、お布団の中に入ったまま出ようとしない白居易のグータラぶり・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

同様に連作5首の全体を見て気になるのは、第4首の〈最終聯「心泰身寧是帰処、故郷何独在長安」。
ここには、この時点における作者の物の考えかたや感じかたが、非常にはっきりと表明されている。
長安での政治的役割りにあれほど執着していたことからみると、この達観ぶりは・・・〉云々として、
「白楽天の、・・・知識人としての生きかたを示」していると評した松浦友久『中国詩選 三 唐詩』
(現代教養文庫,1972)の指摘である(@_@;) 同書は、白居易(白楽天)の伝記的事実を踏まえて、
この詩のコンテクストから次のように論じているv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・元和十年(八一五)秋八月、かれは江州(江西省九江市)の司馬に左遷された。
    かねてからの政治批判の発言で権力者たちに憎まれていたところへ、たまたま宰相
    武元衡の暗殺事件がおこった。その犯人逮捕を主張する白楽天の上表文が、秩序を
    乱す越権行為だと批判され、さらにあれこれ冤罪をきせられたうえ左遷となったので
    ある。四十四歳であった。/この事件を境にして、白楽天の詩風は大きく変わる。
    より正確にいえば、詩風の変化というよりも、題材の変化というほうが当たっている
    かもしれない。・・・するどい政治批判や社会的発言は影をひそめ、悠々たる大自然の
    摂理のなかに、個人的な心身の平安を求めるという生きかたに変わっている。いわゆる
    兼済(世の中を兼ね済う)の思想から独善(自分自身が道義的に生きる)の思想への
    転換である。かれのばあいは、人間としての生きかたの変化が、そのまま作風や題材の
    変化に結びつきやすい詩人であった。/この詩は、かれのそうした変化を示す代表的な
    作品である。江州司馬に流された翌々年の春、かれは廬山の香炉峰下にささやかな草堂
    を作り、その完成のよろこびを、七言律詩五首の連作で、表現した。・・・

前掲『新釈漢文大系99 白氏文集 三』から、この「七言律詩五首の連作」でチト気になった句の書き
下し文と通釈(一部の字体は異なるし、訳注稿は竹村則行が担当の由)を引く(@_@;)

    0976(同書421、422頁)

     山林に入[い]って 初めて影[かげ]を息[やす]むるを喜び、

     朝市[てうし]に趨[はし]つて 久しく生を勞するを厭ふ。

      山林に入って、やっと休息できるようになったのを喜び、

      朝廷に奔走して久しく生命を疲れさせていたことが、いやになった。

     已[すで]に許す 虎渓 雲裏に臥すを、

     爭はず 龍尾道前[りゅうびだうぜん]に行[ゆ]くを。

      今この廬山の虎渓の奥深く仰臥することに決めたからには、

      もう官吏となって竜尾道[語釈に「宮中含元殿の前にある升殿の道。官吏の出世道
      をいう。」]を争って升[のぼ]ろうとは思わない。

     玆[これ]より 耳界[にかい] 應[まさ]に清淨[しゃうじゃう]なるべし、

     見[き]くを免れん 啾啾[しうしう]たる毀譽[きよ]の聲

      これからは耳に聞くもの全てが必ず清浄となり、

      こうるさい毀誉褒貶の声も聞かずにすむであろう。

    0978(同書424頁)

     司馬は仍[な]ほ 老[ろう]を送るの官爲[くわんた]り。

      ・・・おまけに我が司馬の官は老後の閑職たるにふさわしい。 

     心泰[ゆた]かに 身寧[やす]きは 是れ歸處[きしょ]なり、

     故郷[こきゃう] 何ぞ獨り 長安に在るのみならんや。

      心身が安泰であれば、そこが安住の地である。

      故郷は何も長安だけとは限らない。

    0979(同書426、427頁)

     官途[くわんと] 此[これ]より心に長く別[わか]る、

     世事[せいじ] 今より口に言はず。

      草堂に住まうこれからは、官界の事は永久に忘れ、

      俗事は今から口にするまい。
       
「達観」のわりに出世の話が多い(@_@;) とまれ、左遷された者=政治的敗者の詩_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

・『枕草子』で最も有名な章段に不審なシーンがあるが疑問に思った研究者がいないのも不審(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-04-06
タグ:中国 古典
コメント(2) 
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コメント 2

tai-yama

重ねて訳すを重役と言ってみたり(笑)。
達観はしているけど、官吏に未練があったんだろうな・・・
by tai-yama (2022-04-09 23:07) 

middrinn

熱湯コマーシャルでダチョウ倶楽部上島が「押すなよ!
絶対に押すなよ!」と念を押してるような印象(^_^;)
by middrinn (2022-04-10 05:53) 

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