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211113読んだ本【バカチン】

読書の厄介なところは、要約ミスではなく誤読に起因する不正確な記述である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
要約すればいいのにダラダラと引用して長文となり読む気も失せるブロ・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;自己批判?
でも、枚数制限は無いし、締切も無くて、自由に書けるところがいいんだよねオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

【読んだ本】

倉本一宏編『現代語訳 小右記13 道長女の不幸』(吉川弘文館,2021)

藤原実資の日記『小右記』の万寿2年(1025年)2月9日条を本書164~165頁から引く___φ( ̄^ ̄ )メモ

     九日、壬戌 藤原行成、踏歌節会の藤原斉信の失錯を扇に記す。斉信、これを怨む
           /藤原能通を弔問

    [左中弁源経頼が]或いは云ったことには、「去月十六日、節会の日、三位中将
    (源)師房を差し措いて、大納言(藤原)斉信卿が警蹕[けいひつ]を称した事を、
    権大納言(藤原)行成卿は、その失錯を扇に記して、臥内[ふしど]に置いた。
    ところが、子の右少将行経は、この扇を取って、内裏に参った。(源)隆国は、
    自らの扇と替えて、これを見てみると、斉卿(斉信)の失礼について記してあった。
    披露するに及んだ。斉信卿の怨恨は、極まり無かった」と云うことだ。行成卿が
    云ったことには、「暦に記す為に、先ず扇に記した。あの日の事を忘れない為である。
    ところが行経が、これを取って、内裏に参った。後にこのことを聞いた。極めて
    便宜のない事である」と云うことだ。元々、宜しくない仲である。もしかしたら
    知らない顔を作って、多聞[たぶん]に及ばせたのであろうか。斉信卿が述べた
    ところは、もっとも当然である。ただし、失錯については、弁解するところは
    無いのではないか。/・・・

源隆国は説話集『宇治大納言物語』を編纂したぐらいだから、面白いネタ!と思って、皆に「披露」
しちゃったのかな(^_^;) まさか、「三蹟」の一人とされて、その書が垂涎の的だった藤原行成が書き
記したものだったから、その手跡を皆で鑑賞しようと思って、「披露」したわけではないよね(^_^;)
この『小右記』の話は『古事談』『古今著聞集』にも採り入れられているので知られてるかと(^_^;)
ただ、「本より、宜しからざる中なり」との実資の評が、『古事談』は「もとより不快の中なり」と
誰による評か曖昧に、西尾光一&小林保治(校注)『新潮日本古典集成 古今著聞集 上』(新潮社,
1983→2019新装版)では「もとよりよろしからざる中なりければかかる、とぞ世の人いひける。」と
はっきりと世評になっちゃった(^_^;) この『古事談』の「もとより不快の中なり」について川端善明
&荒木浩(校注)『新日本古典文学大系41 古事談 続古事談』(岩波書店,2005)は「行成・斉信両家
の家人の闘乱のことが小記目録一七・寛仁四年五月二十二日条にみえるが、両人の不仲を言う説話は、
実は本話のみ。」、源顕兼(編)伊東玉美(校訂・訳)『古事談 上』(ちくま学芸文庫,2021)も
「斉信と行成の不仲に言及する他の資料は未詳。」と指摘してるから行成・斉信の不仲説は根拠薄弱と
受け取られそうだけど、『小右記』を読むと、然もありなん、という感じ(^_^;) 藤原道長の子の長家
と結婚した藤原行成の娘が病気がちで亡くなってしまい(猫に生まれ変わって、菅原孝標の娘たちに
飼われ可愛がられるも焼死)、それから一年も経ってないのに藤原斉信が長家を強引に娘の婿とした
一件とか記されてるしね(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-12-04 )(^_^;)

さて、山中裕編『平安時代の歴史と文学 文学編』(吉川弘文館,1981)所収の河北騰の「藤原行成の
「権記」と栄花物語」という論文が今日の本題であるヤットキタ━━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━━!!!!

    ・・・/この後の行成の消息について、私は特筆するに足る程の資料を
    持たないが、万寿二年二月九日の条で、右の斉信の或る失策を、行成が
    得意の筆で扇子に具さに書き記した。それを落したのだが、拾った源隆国
    が衆人に披露してしまったので、斉信のひどい怨みを買ったという記事が
    [『小右記』に]ある。行成の才人達筆ぶりが招いた思い掛けぬ他人の怨恨
    と言えよう。この時、彼は既に五十四歳になっていた筈であるが、五十四歳
    にしては行成の所行も少しく粗末で軽薄な様にも思われて仕方がない。/・・・

「落した」「拾った」は何処から来たんだ(^_^;) 要約ミスかと思ったけど、「得意の筆で」「行成の
才人達筆ぶりが招いた」とあるから、誤読だなヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!! 「暦に記す為に」と
あるように、(当時の貴族が行事や儀式のことを子孫に伝えるためにつけている)日記に書くための
メモとして、とりあえず「扇に記し」たことが読み取れない研究者がいるとはオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
河北騰は『栄花物語』に基づいて藤原行成を「単に強烈な物質欲から出ただけの、異常な権勢心」
「権勢欲」の持ち主と批判する論文を書いてて、迫徹朗『王朝文学の考証的研究』(風間書房,1973)
から論駁されたのに前掲論文では一言も触れていないし、河北騰『今鏡全注釈』(笠間書院,2013)も
和歌の読みや訳がおかしいことは前に指摘済ヾ(`◇´)ノ◇ 山田く~ん 座布団4枚ぶつけてやって!

・好感をいだいてた人物の旧悪を『現代語訳 小右記13 道長女の不幸』で発見するとはヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-11-10

・『現代語訳 小右記13 道長女の不幸』に注釈を付けぬ現代語訳が如何にお気楽な仕事かと実感(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-11-12
タグ:歴史
コメント(9) 
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コメント 9

ナベちはる

「枚数制限は無いし、締切も無くて、自由に書ける」となると好きに書いていいわけなので、文章の長さもほぼ必然的に長くなりますね。
by ナベちはる (2021-11-14 01:44) 

middrinn

気が付いたら、長文になってます(^_^;)
短く纏められたなと思った時でも(^_^;)
by middrinn (2021-11-14 06:07) 

df233285

なるほど。文書を扇に書くという事は、扇の飾りの
為ではなくて、メモ帳として使いたいためだという
習慣が、11世紀には有ったんですねぇ。このサイト
に出入りしているおかげで、良いことを知りましたわい。
そうか「搦め取れ!角行々々奔王馬馬が仲人を・・」は、
扇子等の飾りじゃなくて、扇子型メモ帳のメモランダム
だったんだわね。
それにしても、たかがアクロバットリーダービュワーを
インストールするのに、win10だとなんでこんなに
時間が掛かるんだ? 管理人様が多分そうされたように、
ブラウザーだけ更新してwin7のままがやっぱり正解
ですね。
by df233285 (2021-11-14 09:34) 

middrinn

将棋の棋士の揮毫入り扇子のイメージが強いですよね(^_^;)
この件に関しては、「暦に記す為に、先ず扇に記した。」と
あるので、メモ的に使った以外、解しようがないかと(^_^;)
Win7のノーパソも長年使ってるので遅くなってきましたから、
保存してた画像その他を削除しまくってるところです(^_^;)
by middrinn (2021-11-14 09:56) 

美美

別部屋にまでお越しくださってありがとうございました<(_ _*)>
by 美美 (2021-11-14 17:49) 

middrinn

児童は年齢的には昭和の五輪開催記念の像とは知らないでしょうから、
その経緯を思い出した方が児童にお話したら、児童が動いたのかな?
という意でして、言葉足らずのコメで、申し訳なかったですm(__)m
by middrinn (2021-11-14 18:37) 

tai-yama

行成卿は読み易い様に斉信卿の失態を短く要約したのかも(笑)。
字だけでなく文章も達筆。
by tai-yama (2021-11-14 23:00) 

middrinn

漢文で書くこと自体が要約と同じですからね(^_^;)
by middrinn (2021-11-15 06:58) 

U3

私はブログは基本だらだら長文派です( ̄∇ ̄)
by U3 (2021-11-15 15:00) 

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