210327読んだ本
読書の厄介なところは、猫派なのか犬派なのかが読解の鍵となることである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
【読んだ本】
萩谷朴『枕草子解環 一』(同朋舎出版,1981)所蔵本
藤原行成は犬好き(犬派)であると、黒板伸夫(日本歴史学会編集)『藤原行成』(吉川弘文館人物
叢書,1994新装版)182頁の次の記述から思い付いたけど、そう仮定すると全て筋が通るv( ̄∇ ̄)ニヤッ
・・・/一方、[寛仁8年=1011年]八月には新帝[=三条天皇]受禅に伴う叙位、
昇殿や、蔵人の補任が行われ、行成の男実経も昇殿を聴された。そしてその二十三日、
もう一人の男良経が源俊賢の加冠により元服する。幼名を宮犬[みやのいぬ](丸)
といった。あるいは兄実経と同じに犬(丸)であり、為尊親王に養育されていたので
宮犬と呼んだのかも知れない。・・・
ちなみに、藤原道長の長男の藤原頼通の幼名は(田)鶴[たづ]である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
藤原行成が犬好きならしっくりくる例として、『枕草子』の有名な章段の最初の方を本書の訳で(^^)
/殿上に飼われているお猫さんは、叙爵していて、「命婦さん」と名付けて、とても
可愛らしかったので、(おかみ[=一条天皇]も)大切にしていらっしゃるのが、
縁側に出て寝ているのを、(猫の)乳母の馬の命婦が、
命婦「まあ、お行儀が悪いわ。おはいりなさい」
と呼んでも、日光のさしこんだところで眠っているのを、おどかすために、
命婦「翁丸どこなの。命婦さんにかみつけ」
というと、(犬は)「本気か」と思って、屈強なやつがとびかかったものだから、
(猫は)びっくり仰天して、(中殿の)御簾の中へ逃げこんだ。/朝餉の御食膳に、
おかみがついていらっしゃるところへ、(逃げこんで来たのを)御覧になって、
ことのほかお驚きあそばす。猫を懐にお入れになって、若い者たちを召されると、
六位蔵人の[源]忠隆やなりたか[←誰か不明の由]が参上したので、
主上「この翁丸を打ち懲らして、犬島へやれ。いますぐ」
とお命じになったものだから、(蔵人所の衆や滝口の侍たちが)多勢わいわいと
狩り立てる。馬の命婦もご譴責なさって、
主上「乳母を替えてしまおう。全く安心ならぬ」
とおいいつけなので、(馬の命婦は謹慎して)お前にも顔を出さない。犬は狩り出して、
滝口の侍にいいつけて追放してしまった。
女房「可哀そうに。あんなに堂々と歩きまわっていたのにね」
清少「三月三日、行成様が、(翁丸に)柳の輪飾りをさせ、桃の花を簪に刺させ、
桜の枝を腰帯に差したりして、ひいてお歩きになった時、(翁丸も)『こんな目に
逢おう』とは思わなかったでしょう」
などと話し合って、同情する。/・・・
最後の清少納言の発言内容だが、萩谷朴は本書の語釈で「行成はなかなかの趣味人で、案外な趣向を
考え出して、人の目を驚かすことを得意としている。」とし、更には萩谷朴(校注)『新潮日本古典
集成 枕草子 上』(新潮社,1977→2004年15刷)の頭注は「犬を飾り立てるところが趣味人らしい。」
と評している(^^) しかし、「犬を飾り立てる」のは、藤原行成が「趣味人」だからという以前に単に
犬好きだったからかも(⌒~⌒)ニヤニヤ 現代でもペットの犬に可愛い服とかを着せて撮った写真などを
ネット上にアップする人とかいるから、それと似たようなことだったり〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
また藤原行成の娘は早世してしまうも、「・・・『更級日記』はこの行成女が猫に生れ代ったという
夢幻的な哀話を伝えている。」(黒板伸夫・前掲書226頁)が、この「夢幻的な哀話」を紹介した際に
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-12-17 )、その「話の流れやディテール
を端折って紹介し批判するのは如何なものか(-"-)」と、杉本苑子『「更級日記」を旅しよう 古典を
歩く5』(講談社文庫,1998)の次の一節を引いたことがあるオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
・・・/ともあれ大納言行成が、かっての下僚[菅原孝標]に、/「先年、疫病で
亡くなられたお宅さまの姫君が、猫に生まれ変ってただいま我が家の娘どもに
飼われています。すばり名前も、『大納言どのの姫君』と付けたそうでございます。」
/などと告げられて、よい感じを持つでしょうか。私には疑問に思えます。・・・
苑子タンは藤原行成が犬好き・犬派なことに気付いてたので、藤原行成は娘が猫に生まれ変わったと
聞いても喜ぶはずがないと決めつけた、と今回思い至ったのさv( ̄∇ ̄)ニヤッ というのは、苑子タンの
『片方の耳飾り』(中公文庫,1984)は「第四章 猫と人間」に猫に関する随筆を6篇収録しているけど
(苑子タンは猫好き・猫派だからね)、その中の1篇「偏見への挑戦」の次の件を読んで、苑子タンが
犬好き・犬派の人ことをどのように考えていたかが判ったからである(⌒~⌒)ニヤニヤ
・・・/さて皆さん、すでにご理解いただけたように、犬好きは十人のうち九人までが
猫ぎらい、しかし猫好きは十人が十人、犬も好き、生き物すべてが好きという典型的な
お答が、ここでも出ました。まったく不思議なくらい、このパターンは決まっている
ようです。/・・・
なお、上記の翁丸の事件(萩谷朴は長保2年[1000年]3月4日以後27日以前の出来事と考証)が起きる
6ヶ月ほど前、藤原実資は日記『小右記』の長保元年(999年)9月19日条で、内裏の猫が産んだ仔猫の
産養を女院(天皇の母の詮子)と左右大臣(道長と顕光)が行ない、仔猫の乳母(上記の馬命婦)も
任命したことに対して「奇怪な事である。・・・未だ禽獣に人の礼を用いるのを聞いたことがない。
ああ。」と慨嘆していたけど(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-09 )、
もしかして、藤原実資は猫嫌いの犬好きなのだろうか(@_@;) んにゃ、女好き・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
・好色で知られた藤原実資に自分が亡くなった後の妻を託す人物がいた∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?
⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-08-16
【読んだ本】
萩谷朴『枕草子解環 一』(同朋舎出版,1981)所蔵本
藤原行成は犬好き(犬派)であると、黒板伸夫(日本歴史学会編集)『藤原行成』(吉川弘文館人物
叢書,1994新装版)182頁の次の記述から思い付いたけど、そう仮定すると全て筋が通るv( ̄∇ ̄)ニヤッ
・・・/一方、[寛仁8年=1011年]八月には新帝[=三条天皇]受禅に伴う叙位、
昇殿や、蔵人の補任が行われ、行成の男実経も昇殿を聴された。そしてその二十三日、
もう一人の男良経が源俊賢の加冠により元服する。幼名を宮犬[みやのいぬ](丸)
といった。あるいは兄実経と同じに犬(丸)であり、為尊親王に養育されていたので
宮犬と呼んだのかも知れない。・・・
ちなみに、藤原道長の長男の藤原頼通の幼名は(田)鶴[たづ]である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
藤原行成が犬好きならしっくりくる例として、『枕草子』の有名な章段の最初の方を本書の訳で(^^)
/殿上に飼われているお猫さんは、叙爵していて、「命婦さん」と名付けて、とても
可愛らしかったので、(おかみ[=一条天皇]も)大切にしていらっしゃるのが、
縁側に出て寝ているのを、(猫の)乳母の馬の命婦が、
命婦「まあ、お行儀が悪いわ。おはいりなさい」
と呼んでも、日光のさしこんだところで眠っているのを、おどかすために、
命婦「翁丸どこなの。命婦さんにかみつけ」
というと、(犬は)「本気か」と思って、屈強なやつがとびかかったものだから、
(猫は)びっくり仰天して、(中殿の)御簾の中へ逃げこんだ。/朝餉の御食膳に、
おかみがついていらっしゃるところへ、(逃げこんで来たのを)御覧になって、
ことのほかお驚きあそばす。猫を懐にお入れになって、若い者たちを召されると、
六位蔵人の[源]忠隆やなりたか[←誰か不明の由]が参上したので、
主上「この翁丸を打ち懲らして、犬島へやれ。いますぐ」
とお命じになったものだから、(蔵人所の衆や滝口の侍たちが)多勢わいわいと
狩り立てる。馬の命婦もご譴責なさって、
主上「乳母を替えてしまおう。全く安心ならぬ」
とおいいつけなので、(馬の命婦は謹慎して)お前にも顔を出さない。犬は狩り出して、
滝口の侍にいいつけて追放してしまった。
女房「可哀そうに。あんなに堂々と歩きまわっていたのにね」
清少「三月三日、行成様が、(翁丸に)柳の輪飾りをさせ、桃の花を簪に刺させ、
桜の枝を腰帯に差したりして、ひいてお歩きになった時、(翁丸も)『こんな目に
逢おう』とは思わなかったでしょう」
などと話し合って、同情する。/・・・
最後の清少納言の発言内容だが、萩谷朴は本書の語釈で「行成はなかなかの趣味人で、案外な趣向を
考え出して、人の目を驚かすことを得意としている。」とし、更には萩谷朴(校注)『新潮日本古典
集成 枕草子 上』(新潮社,1977→2004年15刷)の頭注は「犬を飾り立てるところが趣味人らしい。」
と評している(^^) しかし、「犬を飾り立てる」のは、藤原行成が「趣味人」だからという以前に単に
犬好きだったからかも(⌒~⌒)ニヤニヤ 現代でもペットの犬に可愛い服とかを着せて撮った写真などを
ネット上にアップする人とかいるから、それと似たようなことだったり〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
また藤原行成の娘は早世してしまうも、「・・・『更級日記』はこの行成女が猫に生れ代ったという
夢幻的な哀話を伝えている。」(黒板伸夫・前掲書226頁)が、この「夢幻的な哀話」を紹介した際に
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-12-17 )、その「話の流れやディテール
を端折って紹介し批判するのは如何なものか(-"-)」と、杉本苑子『「更級日記」を旅しよう 古典を
歩く5』(講談社文庫,1998)の次の一節を引いたことがあるオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
・・・/ともあれ大納言行成が、かっての下僚[菅原孝標]に、/「先年、疫病で
亡くなられたお宅さまの姫君が、猫に生まれ変ってただいま我が家の娘どもに
飼われています。すばり名前も、『大納言どのの姫君』と付けたそうでございます。」
/などと告げられて、よい感じを持つでしょうか。私には疑問に思えます。・・・
苑子タンは藤原行成が犬好き・犬派なことに気付いてたので、藤原行成は娘が猫に生まれ変わったと
聞いても喜ぶはずがないと決めつけた、と今回思い至ったのさv( ̄∇ ̄)ニヤッ というのは、苑子タンの
『片方の耳飾り』(中公文庫,1984)は「第四章 猫と人間」に猫に関する随筆を6篇収録しているけど
(苑子タンは猫好き・猫派だからね)、その中の1篇「偏見への挑戦」の次の件を読んで、苑子タンが
犬好き・犬派の人ことをどのように考えていたかが判ったからである(⌒~⌒)ニヤニヤ
・・・/さて皆さん、すでにご理解いただけたように、犬好きは十人のうち九人までが
猫ぎらい、しかし猫好きは十人が十人、犬も好き、生き物すべてが好きという典型的な
お答が、ここでも出ました。まったく不思議なくらい、このパターンは決まっている
ようです。/・・・
なお、上記の翁丸の事件(萩谷朴は長保2年[1000年]3月4日以後27日以前の出来事と考証)が起きる
6ヶ月ほど前、藤原実資は日記『小右記』の長保元年(999年)9月19日条で、内裏の猫が産んだ仔猫の
産養を女院(天皇の母の詮子)と左右大臣(道長と顕光)が行ない、仔猫の乳母(上記の馬命婦)も
任命したことに対して「奇怪な事である。・・・未だ禽獣に人の礼を用いるのを聞いたことがない。
ああ。」と慨嘆していたけど(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-05-09 )、
もしかして、藤原実資は猫嫌いの犬好きなのだろうか(@_@;) んにゃ、女好き・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
・好色で知られた藤原実資に自分が亡くなった後の妻を託す人物がいた∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?
⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-08-16
平安貴族も犬を飾りたてていたとは!。服を着せたりしていたのかな?
十二単とか。
by tai-yama (2021-03-27 19:08)
後藤昭雄&池上洵一&山根對助(校注)『新日本古典文学大系32 江談抄 中外抄 富家語』
(岩波書店,1997)所収の山根&池上(校注)『中外抄』の下43条(同書349頁)には、
師実のは手長丸、頼通のは足長丸と紹介されてますが、関白の犬だし着飾りそう(^_^;)
by middrinn (2021-03-27 19:39)
犬派か猫派かは、平安時代の時にも「争い」があったかもしれませんね( ̄m ̄〃)
by ナベちはる (2021-03-28 02:01)
平安時代を読み解く鍵かもしれませんよ(^o^)丿
by middrinn (2021-03-28 06:07)
昔も今も犬派の方は多いですよねぇ
でも私は猫派、断然猫派!!
犬は吠えますからねぇ、苦手です(^^;
by そら (2021-03-28 07:50)
ペット数は猫が犬より多くなったとか(^^)
可愛い犬もいますが、門扉前でオシッコを
させる飼い主を何とかしてほしいです(-"-)
by middrinn (2021-03-28 08:28)
確かに犬好きの方は「猫はちょっと・・・」と
おっしゃる方が多いけど、猫好きの方は「犬も可愛い♪( ´▽`)」と
おっしゃる方の方が多いかもw
うちのかみさんはワンコにも好かれて散歩中のワンコさんにも
良く顔を舐められてますが
かみさん曰く「フレンドリーすぎる気が(*_*)」とw
by ニッキー (2021-03-28 09:39)
奥様には圭太様の匂いも付いてそうですが、
その犬は気にしないでペロペロかな(^_^;)
by middrinn (2021-03-28 09:52)
middrinnさんこんにちは。
その時代、「犬を飾り立てる」とは、どの様な方法で、犬を飾っていたのか、とても疑問です・・・
おそらく、現代とは違う形なのでしょうね。
by ネオ・アッキー (2021-03-28 12:54)
清少納言の「(翁丸に)柳の輪飾りをさせ、桃の花を簪に刺させ、
桜の枝を腰帯に差したり」という発言を引用してますよ(^_^;)
by middrinn (2021-03-28 14:03)
私は犬も猫も好きなんですが
線を引いたような好き嫌いは本当にあるんでしょうかね。
ちなみに外をうろちょろしている爬虫類は嫌いですけど(^^;
by 美美 (2021-03-28 17:09)
犬好きのほとんどが猫嫌いというのは、
初耳でしたし、ホントかなぁと(^_^;)
by middrinn (2021-03-28 18:51)