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240407読んだ本

人気の無いタレントがテレビによく出てるのは事務所の力によるものと今は思われがちかと(@_@;)

【読んだ本】

井上宗雄(全訳注)『増鏡(上)』(講談社学術文庫,1979)所蔵本

新古今時代を代表する若手女流歌人の宮内卿は後鳥羽院によって創られたスターだった疑惑(@_@;)
久保田淳『新古今和歌集全注釈 六』(角川学芸出版,2012)の「作者一覧・作者別索引」の宮内卿の
項を「引用書目解題」と照らし合わせながら見ると、正治2年(1200年)に『正治二年院二度百首』
(ベテラン歌人らよる『正治二年院初度百首』でないところがミソ)でデヴューさせた後、建仁元年
(1201年)に『老若五十首歌合』と『仙洞句題五十首』に大抜擢され、更に『千五百番歌合』という
空前絶後の一大イヴェントにも起用されている(@_@;)

    ・・・この[後鳥羽院]の御代にあたって、よい歌人がたくさん出た中に、
    宮内卿の君といった人は、・・・かつては高貴な家筋の人だが、官が低くて
    続いて四位ほどで亡くなってしまった人[=源師光]の子である。まだ若い
    年齢で、限りなく深い心持ばかりを詠んだのは、まったくめったにみられない
    ようなことであった。/この千五百番歌合の時、後鳥羽院がおっしゃるには、
    「この度は、みなすぐれた歌人として世間から許された、道に老練の者ども
    である。宮内卿はまだ早いかもしれないが、具合も悪くなかろうと思って
    加えたのだ。きっと私の面目が立つほどよい歌を詠むように」と仰せられると、
    顔を赤らめて涙ぐんでいたその様子は、限りない和歌熱心の程度が知られて
    可憐にみえた。・・・

本書による現代語訳で引いたけど、後鳥羽院の「仰せ」を「これが事実なら、院はまったく宮内卿の
マネジャー気取りである。」と百目鬼恭三郎『新古今和歌集一夕話』(新潮社,1982)(^_^;) 同書は
「宮内卿のほうもよく院の期待にこたえたといっていいだろう。」と評して、『老若五十首歌合』や
『千五百番歌合』における宮内卿の成績が良かったことを紹介しているのだが、チト気になるのは、
建仁2年(1202年)の『水無瀬殿恋十五首歌合』についての近藤香『俊成卿女と宮内卿 コレクション
日本歌人選 050』(笠間書院,2012)87頁の次の記述である(@_@;)

    ・・・当日の衆議判[=「歌の優劣を判者に任せず、左右の方人[かたうど]が
    論議し合って決めること。」と同書86頁の脚注]では[藤原]有家の勝となったが、
    後日、判が改められ、判詞も[宮内卿の勝に]直されたのかとも思われる。ここで
    負けたら宮内卿は四連敗になるので、主催者の後鳥羽院から改判の指示があったのか、
    [判詞を書いた]俊成が自身の判断で直したのか、その辺の事情は不明である。
    たとえ勝としても、この歌合での勝負は四勝九敗二分けという結果であった。・・・

上記の他の歌合においても「主催者の後鳥羽院から改判の指示があった」可能性は無いのか(@_@;)

百目鬼恭三郎・前掲書に「・・・宮内卿は、それ[=『千五百番歌合』]からわずか三年後には歌壇
から姿を消してしまうのである。・・・元久元年[1204年]十一月の『春日社歌合』に三首詠進して、
全部持という冴えない成績を残したのが、彼女の最後の歌歴となっている。」とあるが、後鳥羽院の
「指示」が無くなった結果が、この「冴えない成績」となったのかもしれない(@_@;) 後鳥羽院は
宮内卿の歌才を見限ったのかも(@_@;) そして、後鳥羽院という後ろ楯が無くなった宮内卿には他
の歌人達も気兼ねしなくなった可能性(@_@;) 『増鏡』は「この宮内卿は、年老いるまで生きてい
たら、ほんとうにどんなに目に見えぬ鬼神[おにがみ]をも感動させるほどよい歌を作ったであろう
に、若いうちに死んでしまったのは、たいへん気の毒であり、惜しいことでもあった。」と叙述も、
百目鬼恭三郎の〆は後鳥羽院が宮内卿の夭折を「惜しい」とは思ってなかったことを裏書き(@_@;)

    ・・・あれほど宮内卿の歌才を愛した後鳥羽院さえ、後年の『後鳥羽院御口伝』では
    一言も彼女に言及していないのである。/
タグ:和歌 歴史
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

四勝九敗二分・・・相撲の世界なら負け越しで降格と。
宮内卿の歌才を愛したのではなく・・・と言ってしまう
ゲスな自分が(笑)。
by tai-yama (2024-04-07 23:02) 

ナベちはる

タレント個人に対して"事務所の力"が働くにしても「バーターでこのタレントも出してほしい」にしても、そのタレントにとっては与えられた場に対して結果を残そうとするのだろうなと思います。

それが実を結んで"事務所の力"でなくタレント本人の力になるといいのですが…
by ナベちはる (2024-04-08 01:10) 

middrinn

宮内卿の容貌に関する記述は記憶に無い(@_@;) んにゃ、
tai-yama様が関心あるのは、巨乳・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
by middrinn (2024-04-08 05:27) 

middrinn

たしかに与えられたチャンスを物にすることができるかどうか、
ナベちはる様、本人の才能や努力も大きいでしょうね(^_^;)
by middrinn (2024-04-08 05:34) 

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