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240402読んだ本

四国遍路の「同行二人[どうぎょうににん]」も時に同行三人あるいは同行四人・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

【読んだ本】

駒田信二『漢詩名句 はなしの話』(文春文庫,1982)所蔵本

今回(前回⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2024-03-26 )は李白「月下独酌」
から「杯を挙げて明月を邀え、影に対して三人と成る」(^_^;) 本作品は松浦友久『李白 詩と心象』
(社会思想社現代教養文庫,1970)によると「四首連作の第一首」で「其一」(^_^;) 全句を引いても
いい作品だとは思うけど、第一句~第四句だけ引く(^_^;)

    花閒一壼酒 花間一壺[いっこ]の酒
    獨酌無相親 独酌相親しむ無し
    擧杯邀明月 杯[さかずき]を挙げて明月を邀[むか]え
    對影成三人 影に対して三人と成る

     花咲く木のあいだで一壺の酒をかかえ、
     相語る友もいないので独りで飲む。
     杯を挙げて明月を迎えると、
     月と私の影法師とで三人づれになる。

素朴な疑問だけど、「影」は「明月」の光によるものなのか、それとも灯りによるものなのか(^_^;)
本作品は陶淵明の「雑詩十二首」の「其二」に基づいているとして本書は次の二句を紹介する(^_^;)

    欲言無豫和 言わんと欲するも予[われ]に和する無く
    揮杯勸孤影 杯を揮[あ]げて孤影に勧[すす]む

     話しかけようにも相手になって答えてくれる者がいないので、
     杯を挙げて自分の影法師に酒をすすめる。

吉川幸次郎『陶淵明伝』(中公文庫,1989)では「言わんと欲するも予に和[こた]うるもの無く 
杯を揮[さ]して孤[さび]しきわが影に勧む」、宇野直人&江原正士『漢詩を読む 1 『詩経』、
屈原から陶淵明へ』(平凡社,2010)では「言わんと欲するも予に和するもの無く 杯を揮[ふる]
うて孤影に勧む」と訓読している__φ( ̄^ ̄ )メモメモ 松浦友久・前掲書は「独酌のつれづれに、自分
の影に杯を勧めるという心理は、愛酒家の詩人に共通するものらしい。」として、「言わんと欲する
も予に和うるもの無し 杯を揮げて孤影に勧めん」と吉井勇「酒ほがひ」からの一首を引いてるが、
吉井勇は陶淵明の当該作品からインスパイアされて詠んだ本説取りという可能性は無いのかな(^_^;)

字体が異なるけど、第十三句「永結無情遊(永く無情の遊を結び)」(月と影法師と私は長く無情の
交わりを結ぶ)の「無情の遊[ゆう]」について「・・・人間ばなれのした友情。月も影も私の心を
知るわけはないから無情といったのである。」と本書は注釈し、松浦友久・前掲書は次の総評(^_^;)

    ・・・/月と影とを友とした〝無情〟の交遊。それは無情なるがゆえにさびしく、
    しかし、無情なるがゆえに永続する。人間同士の交わりの、それゆえに生まれる
    暖かさと冷たさ、堅さと脆さ。そういうものを超絶した自然との交わりが、「無情
    の遊」である。・・・/こういった、世俗からの脱却、自然との一体化をうたう
    李白は、また一面、人間と人間の関係にも、つよい関心をもっている。・・・超越
    と脱却のなかから、どうして文学が、とくに詩が、生まれるだろうか。むしろ、
    そうした世俗的なもの情念的なものへのつよい欲求を、自己のなかにも他人のなか
    にもさぐりあてざるをえないところから、李白の詩歌は生まれている。人間好きゆえ
    の人間嫌い、感情過多ゆえの客体化の手法。それはやはり飲酒の詩において、より
    多く正直な形であらわれる。・・・

タグ:中国 古典
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

私も影法師とタンデム・・・・・(泣)。
結局最後は人間は独りと、李白もわかっていると(笑)。
by tai-yama (2024-04-02 22:37) 

middrinn

月夜なら更に1人加わりますよ(^o^)丿
by middrinn (2024-04-03 05:17) 

df233285

灯りは輝度が月より大きく、グレアが眩しいので、影をくっきりと
は認識し難いので。「影」は「明月」の光によるものではないか?
ディスカウントしないと照度計を買わないのにこんな事説法する私
は、お恥ずかしい限りですが。なお通常の照度計では、月明りは、
照度を測定する検出限界の、下限に近いです。
by df233285 (2024-04-03 06:42) 

middrinn

「明月」の光は人工の灯りよりも凄いんですね( ̄◇ ̄;)
by middrinn (2024-04-03 19:36) 

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