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230810読むのを止めた本【バカチン絵巻④論外篇】 [バカチン絵巻]

留学先での博士号やら研究業績というのは、実は下駄をはかせたものなのかもしれないね(@_@;)
日本に留学している外国人研究者だけでなく、外国へ留学した日本人研究者も・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

【読むのを止めた本(バカチン絵巻④論外篇)】

楊暁捷(ヤン ショオジェ)『鬼のいる光景──『長谷雄草紙』に見る中世』(角川叢書,2002)

『長谷雄草紙』には謎が二つある(@_@;) 第一に、物語の舞台が平安前期ゆえ「・・・この当時、
男子成人が冠(貴族正装)や烏帽子(貴族略装、一般の常装)を忘れたり落したり、ましてや着けぬ
ままでいることは、最大の無作法であり不恰好であった。・・・」(阪倉篤義&本田義憲&川端善明
[校注]『新潮日本古典集成 今昔物語集 本朝世俗部四』[新潮社,1984])にもかかわらず烏帽子
を着けてない人々を描いた絵が『長谷雄草紙』にはあること(@_@;) 第二に、その烏帽子を着けて
ない人々を描いた絵には、絵と詞書(=絵の前後にあるストーリーを説明する文章)から成る絵巻物
なのに相当する詞書が無く、しかも『長谷雄草紙』のストーリー展開に関係があるとは思えない絵の
内容ゆえ、どのような意味があるのか解らないという謎がある(@_@;) 【バカチン絵巻③双六篇】
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2023-07-26 )までの三回にわたって、この
二つの謎に関して五味文彦『中世のことばと絵 絵巻は訴える』(中公新書,1990)のバカチンぶりを
俎上に載せてきたけど、不勉強な上にデタラメな愚説僻論を開陳していた五味文彦がまだマシに見え
てしまうほど論外な研究者が存在したので、今回は【バカチン絵巻④論外篇】エッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ?

問題の烏帽子を着けてない人々が描かれた絵について、本書は「第二章 街角 集う職人たちの群像
──作り上げられた空間」の「賑やかな街角」と題した節で、「長谷雄の通る街角」という見出しを
付けて次のように論じている(本書66頁)Σ( ̄ロ ̄lll)ニャンじゃそりゃあ!?

    ・・・絵を鑑賞する者には、ここに豊かに響き合う平安の街角の賑やかな音と声が
    聞こえてくる。道案内をする男と長谷雄との会話をはじめとして、店で買い物する
    ためのやり取り、棒を振るって猿に向かう子供の叫びと猿の怒り狂った脅かし、
    これを見物する三人の大人のリラックスした笑い声、そしてゆっくりとやってくる
    売り物をする男の掛け声。これらに合わせて、長谷雄と男とのゆっくりした足音、
    店の中の魚を手渡す音、さかんに子供たちの走りまわる音、男が手にする扇子の音、
    などなど、画面に描かれきれていないものまでが想像を誘う。そこに生活していた
    人々の体温、生活のなかから発散する匂いまでが、この一連の画面から鮮烈に
    伝わってくる、/・・・

「男が手にする扇子」だと( ̄◇ ̄;)エッ!? 描かれているのは団扇だヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

団扇を「扇子」と見間違えるんだから日本の絵巻物を研究する能力があるとは思えぬC= (-。- ) フゥー
小松茂美編『日本の絵巻11 長谷雄草紙 絵師草紙』(中央公論社,1988)13頁の「・・・板壁の家の
門口には、太っちょの太鼓腹が、胸をはだけて、土間にどっかとあぐらをすいて、路上を見やりなが
ら、蒲葵扇[ほきせん]を片手に、ゆったりと涼をとっている。」との説明に「蒲葵扇」を「扇子」
と誤解したか(@_@;) だが、どう見ても団扇にしか見えないし、「蒲葵扇」を調べれば団扇と判る
はずで(「蒲葵扇」には重要な意味があることは【バカチン絵巻②檳榔篇】で詳論)、調べなかった
時点で研究者としてのセンスが無いオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)ヾ( ̄o ̄;)もしかして「扇子」だから?

また本書の「第三章 楼上 双六の勝負──鬼と対話する装置」の「楼上の対局」の節の「絵のなか
の時間」という見出しを付けた件で次のように記し(本書104頁)、

    ・・・/前の画面と同じ服を着、同じ烏帽子を被る男は、顔が鬼に変容して、
    対座する長谷雄を見つめる。・・・

本書の「第四章 客殿 密室のなかの日常──故実の虚構と表現」「訪問客の作法」の節の「女性を
連れてくる男」という見出しを付けた件でも次のように記している(本書154頁)(@_@;)

    /絵巻の画面は左へと展開する。うつむき加減の美女のすぐ傍、主人の長谷雄に
    ほど近いところに、訪ねてきた男の姿があった。/男は、堂々とした振る舞いを
    見せている。かれの服装といえば、烏帽子を被り、狩衣上下という恰好である。
    これはこの男が初めて絵巻に登場したときからの一貫した姿である。・・・

小松茂美・前掲書が「・・・長谷雄邸に推参した時、この男は烏帽子であった。が、路上を急ぐ時、
また、朱雀門下にたたずむこの男の頭には、折烏帽子を頂くではないか。」(同書18頁)と指摘して
るのに、楊暁捷は「男」(正体は鬼)の烏帽子が変わってることに注意を払ってるようには見えず、
こーゆーディテールの変化を見逃すようでは、絵巻物の読解・研究なんて無理だよね( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

余談だけど、「太っちょの太鼓腹が、胸をはだけて、土間にどっかとあぐらをすいて、路上を見やり
ながら、蒲葵扇を片手に、ゆったりと涼をとっている」というのは、李白の「夏日山中」に描かれて
いる姿(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2023-05-15 )にそっくりかと(^_^;)
「棒を振るって猿に向かう子供」も含め黄河流域から来た商人一行だったり(^_^;) 「一般に猿は、
秦嶺山脈を生息地の北限とした。」(植木久行『唐詩の風景』[講談社学術文庫,1999])し(^_^;)

[追記230811]

「余談」について、〈・・・『長谷雄草紙』(永青文庫)に登場する飼い猿も「日本猿」だろう。〉
と榊原悟『江戸の絵を愉しむ─視覚のトリック─』(岩波新書,2003)に指摘があったので、「黄河
流域から来た商人一行」に限定することなく、広く「中国から来た商人一行」とすべきかも(^_^;)
コメント(4) 
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コメント 4

df233285

さいたま県東部は、草加・三郷・吉川・八潮の
「中川4すくみ軟弱護岸」の問題が有り。東京の足立・
葛飾・江戸川を救おうとして、「犠牲出水傾向」が
現実まま有るので、確かに近年特に雨台風は怖いです。
by df233285 (2023-08-10 18:27) 

tai-yama

カイロ大卒業の博士号を持っている知事も・・・
当時は、お坊さんも外出時は冠や烏帽子つけていたのかな?
もしくは外出時だけ髪が生えていたとか(笑)。
by tai-yama (2023-08-10 21:30) 

middrinn

上流地域の献身に対しては、感謝の念を、
長さん様、下流地域は持たないと(@_@;)
by middrinn (2023-08-11 05:04) 

middrinn

大学の卒業についての疑惑報道がありましたね(@_@;) 日本では、
tai-yama様、お情けで下駄をはかせたり目をつぶったり(@_@;)
by middrinn (2023-08-11 06:05) 

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