221209読んだ本
欲しい古本は高くて買えないから明日は買っても無駄にならぬ本で最安値を探すo(-`д´- o)ｶﾞﾝﾊﾞﾙ!!
【読んだ本】
西尾光一＆小林保治（校注）『新潮日本古典集成 古今著聞集 上』（新潮社,1983→2019新装版）所蔵本
『古今著聞集』は説話集なのに、ある説話を史実に反するとして疑問を呈しているのが可笑しい(^_^;)
・・・／天徳の内裏の焼亡に、神鏡みづから飛び出で給ひて、南殿の桜の木にかからせ
給ひたりけるを、小野宮殿ひざまづきて御目をふさぎて、警蹕［けいひつ］を高く唱へて
御うへの衣の袖をひろげて、うけまゐらせられければ、即ち飛び帰りて、御袖に入らせ
給ひたりと申し伝へて侍り。されどこの事おぼつかなし。・・・
本書から本文を引いたけど、その頭注や傍注の訳によると、天徳4年（960年）に内裏が焼亡した時に
三種の神器の一つの神鏡が自ら内裏から飛び出て南殿の桜の木にかかったので、まともに見ると目が
つぶれるとの伝承があることを知っていた藤原実頼は目をつぶって跪いて制止の声を高く唱えて袖を
広げて受け取り申し上げようとしたところ、神鏡が自ら実頼の袖に飛び込んたと伝えられているが、
この事には疑問がある、という内容(^_^;) 続いて、『村上天皇御記』の記述を引いて、「小野宮殿の
事見えず。おぼつかなきことなり［＝疑問の残るところである］。」と重ねて指摘している(^_^;)
『古今著聞集』が疑問視する上記説話が何に出てるかは、本書の頭注は『撰集抄』を挙げるのみも、
阪倉篤義＆本田義憲＆川端善明（校注）『新潮日本古典集成 今昔物語集 本朝世俗部一』（新潮社,
1978）巻末付録の「内裏焼亡と玄象」には次の件が(^_^;)
・・・／村上天皇の天徳四年（九六〇）九月二十三日の内裏焼亡の際、内侍所の神鏡も
焼けたが、灰燼の中から、真形は少しも損わぬ姿で発見された（『中右記』『日本紀略』
『扶桑略記』）。このことは説話化されて、神鏡が自ら飛び出して南殿の桜木にかかった
と伝承された（『江家次第』一一、『古今著聞集』一、『源平盛衰記』四四、『橘直幹
申文絵詞』）。・・・
しかし、これにも遺漏があって、安田孝子＆梅野きみ子＆野崎典子＆河野啓子＆森瀬代士枝（校注）
『撰集抄 下』（現代思潮新社,2006）の頭注には「『古今著聞集』巻一（二）には警蹕の声をかけた
とする。『江家次第』一一、『年中行事秘抄』『神宮雑例抄』『体源抄』一〇上もその点同じ。清慎
公（実頼）の呼びかけにより神鏡が袖に移ったとするのは『平家物語』巻一一〈鏡〉、および延慶本
本文に似る『直幹申文絵詞』などである。・・・」とある(^_^;) 更に、浅見和彦（校注・訳）『新編
日本古典文学全集51 十訓抄』（小学館,1997）の頭注は内裏焼亡時に神鏡が自ら飛び出し「大葉椋木
［おほばむくのき」］にかかっていた話が『愚管抄』二にあると指摘してて、杉本圭三郎（全訳注）
『平家物語（十一）』（講談社学術文庫,1988）が『愚管抄』の当該件を引いている_φ(￣^￣ )ﾒﾓﾒﾓ
まだ遺漏がありそうだけど、手元にある文献を調べた限りでは以上かな〇 o 。.~~━u(￣ﾟ ￣=)ﾌﾟﾊｧ
［追記221210］
阪倉篤義他・前掲書も『愚管抄』について言及してましたm(__)m
【読んだ本】
西尾光一＆小林保治（校注）『新潮日本古典集成 古今著聞集 上』（新潮社,1983→2019新装版）所蔵本
『古今著聞集』は説話集なのに、ある説話を史実に反するとして疑問を呈しているのが可笑しい(^_^;)
・・・／天徳の内裏の焼亡に、神鏡みづから飛び出で給ひて、南殿の桜の木にかからせ
給ひたりけるを、小野宮殿ひざまづきて御目をふさぎて、警蹕［けいひつ］を高く唱へて
御うへの衣の袖をひろげて、うけまゐらせられければ、即ち飛び帰りて、御袖に入らせ
給ひたりと申し伝へて侍り。されどこの事おぼつかなし。・・・
本書から本文を引いたけど、その頭注や傍注の訳によると、天徳4年（960年）に内裏が焼亡した時に
三種の神器の一つの神鏡が自ら内裏から飛び出て南殿の桜の木にかかったので、まともに見ると目が
つぶれるとの伝承があることを知っていた藤原実頼は目をつぶって跪いて制止の声を高く唱えて袖を
広げて受け取り申し上げようとしたところ、神鏡が自ら実頼の袖に飛び込んたと伝えられているが、
この事には疑問がある、という内容(^_^;) 続いて、『村上天皇御記』の記述を引いて、「小野宮殿の
事見えず。おぼつかなきことなり［＝疑問の残るところである］。」と重ねて指摘している(^_^;)
『古今著聞集』が疑問視する上記説話が何に出てるかは、本書の頭注は『撰集抄』を挙げるのみも、
阪倉篤義＆本田義憲＆川端善明（校注）『新潮日本古典集成 今昔物語集 本朝世俗部一』（新潮社,
1978）巻末付録の「内裏焼亡と玄象」には次の件が(^_^;)
・・・／村上天皇の天徳四年（九六〇）九月二十三日の内裏焼亡の際、内侍所の神鏡も
焼けたが、灰燼の中から、真形は少しも損わぬ姿で発見された（『中右記』『日本紀略』
『扶桑略記』）。このことは説話化されて、神鏡が自ら飛び出して南殿の桜木にかかった
と伝承された（『江家次第』一一、『古今著聞集』一、『源平盛衰記』四四、『橘直幹
申文絵詞』）。・・・
しかし、これにも遺漏があって、安田孝子＆梅野きみ子＆野崎典子＆河野啓子＆森瀬代士枝（校注）
『撰集抄 下』（現代思潮新社,2006）の頭注には「『古今著聞集』巻一（二）には警蹕の声をかけた
とする。『江家次第』一一、『年中行事秘抄』『神宮雑例抄』『体源抄』一〇上もその点同じ。清慎
公（実頼）の呼びかけにより神鏡が袖に移ったとするのは『平家物語』巻一一〈鏡〉、および延慶本
本文に似る『直幹申文絵詞』などである。・・・」とある(^_^;) 更に、浅見和彦（校注・訳）『新編
日本古典文学全集51 十訓抄』（小学館,1997）の頭注は内裏焼亡時に神鏡が自ら飛び出し「大葉椋木
［おほばむくのき」］にかかっていた話が『愚管抄』二にあると指摘してて、杉本圭三郎（全訳注）
『平家物語（十一）』（講談社学術文庫,1988）が『愚管抄』の当該件を引いている_φ(￣^￣ )ﾒﾓﾒﾓ
まだ遺漏がありそうだけど、手元にある文献を調べた限りでは以上かな〇 o 。.~~━u(￣ﾟ ￣=)ﾌﾟﾊｧ
［追記221210］
阪倉篤義他・前掲書も『愚管抄』について言及してましたm(__)m
お探しの本、最安値で見つかりますように！
by ナベちはる (2022-12-10 02:06)
ポイントを使って更に安く買う予定ですが、早く
発送してもらうためには早く注文しないと(^_^;)
by middrinn (2022-12-10 07:01)
少なくとも応仁の乱の頃まで、日本の京都では。
神鏡神話が迷信とは考えられていなかったのですね。
体源抄情報どうもありがとうございます。
仮にですが。朝鮮半島では古代に、「鏡は『中国一周、
信仰の旅』ツアーの土産の価値のレベル」に過ぎな
かったとすれば。やっぱり「卑弥呼の鏡」の在庫は、
やがて全部、日本に移動するのでは。
by df233285 (2022-12-10 09:20)
一条朝の内裏焼亡で焼損した史実など、
説話の前では無力なようですね(^_^;)
神国意識とも関係があるのかな(＠_＠;)
でも、皇室の宝物である「玄象」という
琵琶も内裏焼亡時に自ら庭に飛び出した
という説話が『今昔物語集』『十訓抄』
にあって、上記の神鏡説話から派生した
ようですが、『十訓抄』は玄象を中国
伝来の物としているんですよね(＠_＠;)
by middrinn (2022-12-10 10:23)
"小野宮殿ひざまづきて"鏡だけに"かがんだ"と(笑)。
by tai-yama (2022-12-10 21:01)
カーン！鐘一つC= (-。- ) ﾌｩｰ 次回に期待(^o^)丿
by middrinn (2022-12-11 06:20)