220315読んだ本
アンソロジーで抜粋を読んだだけなのに原本まで読んだつもりになっちゃう〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
【読んだ本】
紀田順一郎『日本の名著名言事典』(講談社学術文庫,1987)所蔵本
本棚を眺めてて目が留まったので手に取って見たが、別に愛読者じゃないけど、紀田順一郎は読書人
だけあって、従来の名言集の類いの短所も熟知してる感じだし、本作りのアイデアも豊富だ( ̄◇ ̄;)
本書の特色の一つは「・・・なるべく文脈を理解できるよう、あえて長めの引用を試みた」(凡例)
ことで、「・・・これによって論旨がより具体的に明確に伝わる・・・」(あとがき)し、その結果、
読み応えもある一冊に(^^) 巻末には「著者索引」「書名索引」の他に「主題別索引」まであるよ(^^)
とはいえ、気になる点もあり、例えば、「石橋湛山」の項の『石橋湛山評論集』からの抜粋(@_@;)
/老練な操[あやつり]り師のなくなった人形は、時にとんでもない醜い踊りを
踊るかも知れぬ、混雑を引き起すかも知れぬ。けれども同時にその踊りには活気
を帯びよう、新様式の工夫が起ろう、真の技倆の競争で、栄枯盛衰が現われよう。
人形は[ママ]そのものは駄目だけれども、操り師の権威で、舞台に上り得る
というような者は、跡を絶とう。/
この「長めの引用」で「論旨がより具体的に明確に伝わ」ったとは思えない(@_@;) しかも、巻末の
「主題別索引」を虱潰しに探すと、「人生」という大項目の中の「老年」という小項目に分類されて
「新風」なる見出しが付けられてた∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですとぉ!? 紀田順一郎は石橋湛山の一文の
「論旨」や「文脈を理解でき」てない疑惑が浮上エッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ? 松尾尊兊編『石橋湛山評論集』
(岩波文庫,1984)から「長めの引用」を行なうが、【 】内は原文では太字の見出し( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚
/【死もまた社会奉仕】山県有朋公は、去る一日、八十五歳で、なくなられた。
先に大隈侯を喪い、今また公を送る。維新の元勲のかくて次第に去り行くは、
寂しくも感ぜられる。しかし先日大隈侯逝去の場合にも述べたが如く世の中は
新陳代謝だ。急激にはあらず、しかも絶えざる、停滞せざる新陳代謝があって、
初めて社会は健全な発達をする。人は適当の時期に去り行くのも、また一の意義
ある社会奉仕でなければならぬ。/【山公の操れる糸】殊に山県公は、大隈侯と
違い、最後まで政治的に大なる力を振っていた。公よりすれば、それは国家を
憂うる至誠の結果であったこと疑いない。当時も申し述べたと記憶するが、かの
宮中の某重大事件と称せらるるものの如きも、公は全く皇室を思い、国を思いて
したことと確信する。のみならずその考えは、吾輩から見るに、決して間違った
ものではなかった。しかしいかに至誠から出で、いかに考えは正しくも、一人の
者が、久しきにわたって絶大の権力を占むれば、弊害が起る。表面に踊る人形は
変化するも、操る者が一人なれば、自然、踊りに新味は出ない。我が政治が、
とかく一定の範囲をぐるぐる回って、飛躍し得ざりし所以のものは、勿論種々の
原因もあろうが、山公の引く糸に制限せられたためによる所大なるを疑わない。
引く人の意志に罪なきも、糸そのものに自然の弊害が伴った。/【人形は放たれ
たり】しかるに今やその操る者はなくなった。人形は放たれた。これからは、
彼らの自由にその踊りを踊り得る。老練な操り師のなくなった人形は、時に
とんでもない醜い踊りを踊るかも知れぬ、混雑を引き起すかも知れぬ。けれども
同時にその踊りには活気を帯びよう、新様式の工夫が起ろう、真の技倆の競争で、
栄枯盛衰が現われよう。人形そのものは駄目だけれども、操り師の権威で、舞台
に上り得るというような者は、跡を絶とう。山公の死は、この意味において我が
政界に一大転機を画すものである。/・・・
この後も「政友会の軍縮論議」「山公国葬反対」「身上批判の論議」といった太字の見出しが続き、
「主題」を「人生」「老年」と解するのはおかしいオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ! 「主題別索引」は大項目
「社会」の中の小項目「政治」に分類すべきで、見出しも「新風」より「元老の死」「政界の転機」
等の方がまだマシだし、山県有朋逝去についての「死もまた社会奉仕」こそ「名言」C= (-。- ) フゥー
【読んだ本】
紀田順一郎『日本の名著名言事典』(講談社学術文庫,1987)所蔵本
本棚を眺めてて目が留まったので手に取って見たが、別に愛読者じゃないけど、紀田順一郎は読書人
だけあって、従来の名言集の類いの短所も熟知してる感じだし、本作りのアイデアも豊富だ( ̄◇ ̄;)
本書の特色の一つは「・・・なるべく文脈を理解できるよう、あえて長めの引用を試みた」(凡例)
ことで、「・・・これによって論旨がより具体的に明確に伝わる・・・」(あとがき)し、その結果、
読み応えもある一冊に(^^) 巻末には「著者索引」「書名索引」の他に「主題別索引」まであるよ(^^)
とはいえ、気になる点もあり、例えば、「石橋湛山」の項の『石橋湛山評論集』からの抜粋(@_@;)
/老練な操[あやつり]り師のなくなった人形は、時にとんでもない醜い踊りを
踊るかも知れぬ、混雑を引き起すかも知れぬ。けれども同時にその踊りには活気
を帯びよう、新様式の工夫が起ろう、真の技倆の競争で、栄枯盛衰が現われよう。
人形は[ママ]そのものは駄目だけれども、操り師の権威で、舞台に上り得る
というような者は、跡を絶とう。/
この「長めの引用」で「論旨がより具体的に明確に伝わ」ったとは思えない(@_@;) しかも、巻末の
「主題別索引」を虱潰しに探すと、「人生」という大項目の中の「老年」という小項目に分類されて
「新風」なる見出しが付けられてた∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですとぉ!? 紀田順一郎は石橋湛山の一文の
「論旨」や「文脈を理解でき」てない疑惑が浮上エッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ? 松尾尊兊編『石橋湛山評論集』
(岩波文庫,1984)から「長めの引用」を行なうが、【 】内は原文では太字の見出し( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚
/【死もまた社会奉仕】山県有朋公は、去る一日、八十五歳で、なくなられた。
先に大隈侯を喪い、今また公を送る。維新の元勲のかくて次第に去り行くは、
寂しくも感ぜられる。しかし先日大隈侯逝去の場合にも述べたが如く世の中は
新陳代謝だ。急激にはあらず、しかも絶えざる、停滞せざる新陳代謝があって、
初めて社会は健全な発達をする。人は適当の時期に去り行くのも、また一の意義
ある社会奉仕でなければならぬ。/【山公の操れる糸】殊に山県公は、大隈侯と
違い、最後まで政治的に大なる力を振っていた。公よりすれば、それは国家を
憂うる至誠の結果であったこと疑いない。当時も申し述べたと記憶するが、かの
宮中の某重大事件と称せらるるものの如きも、公は全く皇室を思い、国を思いて
したことと確信する。のみならずその考えは、吾輩から見るに、決して間違った
ものではなかった。しかしいかに至誠から出で、いかに考えは正しくも、一人の
者が、久しきにわたって絶大の権力を占むれば、弊害が起る。表面に踊る人形は
変化するも、操る者が一人なれば、自然、踊りに新味は出ない。我が政治が、
とかく一定の範囲をぐるぐる回って、飛躍し得ざりし所以のものは、勿論種々の
原因もあろうが、山公の引く糸に制限せられたためによる所大なるを疑わない。
引く人の意志に罪なきも、糸そのものに自然の弊害が伴った。/【人形は放たれ
たり】しかるに今やその操る者はなくなった。人形は放たれた。これからは、
彼らの自由にその踊りを踊り得る。老練な操り師のなくなった人形は、時に
とんでもない醜い踊りを踊るかも知れぬ、混雑を引き起すかも知れぬ。けれども
同時にその踊りには活気を帯びよう、新様式の工夫が起ろう、真の技倆の競争で、
栄枯盛衰が現われよう。人形そのものは駄目だけれども、操り師の権威で、舞台
に上り得るというような者は、跡を絶とう。山公の死は、この意味において我が
政界に一大転機を画すものである。/・・・
この後も「政友会の軍縮論議」「山公国葬反対」「身上批判の論議」といった太字の見出しが続き、
「主題」を「人生」「老年」と解するのはおかしいオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ! 「主題別索引」は大項目
「社会」の中の小項目「政治」に分類すべきで、見出しも「新風」より「元老の死」「政界の転機」
等の方がまだマシだし、山県有朋逝去についての「死もまた社会奉仕」こそ「名言」C= (-。- ) フゥー
某露国のあの人も。死も世界的な社会奉仕っ!
山県公が生存していたら太平洋戦争も免れ・・・・無い気が(笑)。
by tai-yama (2022-03-16 00:19)
アンソロジーだと複数の人が集まって1つの作品を完成させるイメージが(個人的には)あるのでいろいろな見方が出来て面白いですが、おっしゃる通りにそれだけで満足してしまって結果的に「原本まで読んだ」となりがちですね(^^;
by ナベちはる (2022-03-16 01:41)
山県有朋の構想が太平洋戦争の遠因と、
tai-yama様、むしろ、思われ(^_^;)
by middrinn (2022-03-16 05:59)
ナルホド(^_^;) 複数の人によって編纂されたものは、
ナベちはる様、たしかに、一人が編纂したものに生じ
がちなチョイスの偏りとかは是正されますしね(^_^;)
by middrinn (2022-03-16 07:41)
なるほど。現在90歳近い方には石橋湛山って、有力政治家では
無くて「老いた孤立老人」のイメージだという事のようですねぇ。
わたしなんか名前薄っすら知ってる程度で、石橋内閣の記憶その
ものがほぼ無いですが。史料の発掘って、後の時代の者にとっては
こういうものかと、本文の「間違い例」はむしろ、歴史史料を
見る際の参考になりました。
by df233285 (2022-03-16 07:44)
元老(山県有朋)の逝去すら触れてない上記抜粋を読んだだけで、
その「主題」が「人生」「老年」と思う人もいないような(^_^;)
まして、全文を読んで「人生」「老年」とするのもイミフ(^_^;)
by middrinn (2022-03-16 08:24)
「死もまた社会奉仕」....なら、年金をもらい始めたら早めに死んだ方がご奉仕出来るんですね(^_^)v
by yokomi (2022-03-18 22:47)
引用文を全てお読みになりましたか?
by middrinn (2022-03-19 06:04)