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220314読んだ本

お手盛りの賞や評価で喜んだり自慢してる人、虚しくならないのかな〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本】

高橋一清『芥川賞 直木賞 秘話』(青志社,2020)

続けて、「六、受賞式の表裏」「あとがき」を読んで本書も読了(^o^)丿 芥川賞を受賞した東峰夫が
記者会見後にアパートへ帰宅するのに同行したら、翌日の早朝に「口座を開いてほしい」と銀行員、
次に「わが町の誉れです。一度講演を」と町の教育委員会、そして電報配達、花屋の配達と訪問者が
続いたというのは(本書180~181頁)、受賞者あるあるなのかもね(^_^;) 親戚や友達が増えるのも、
あるあるらしく、前章には〈車谷さんの受賞直後の様子をうかがったことがあります。やはり有名人
の知り合いであることを誇らしく思う人はいるもので、こういう人は周囲の者に聞かせたいのか電話
されるのです。車谷さんに電話をかけます。「おれとお前は親友だったよな」と言う相手に、車谷さん
は嘘がつけないので、「親友だったことはない」と言い返すのです。〉とあったけど(本書128頁)、
車谷長吉、いいねぇ(^_^;) 彼の作品をちょっと読んでみたくなった(^_^;) 選考会での決定を受け、
受賞意思を確認する電話連絡の仕事があれば、他方で、受賞に至らなかった他の候補作品の作者にも
「残念な結果となりました」と電話連絡しなければならないという仕事もある(^_^;) 本書174~175頁
には次の件が(^_^;)

    ・・・/あっさりと「わかりました」とか「そうですか」と言って電話を切られる方
    が多いのですが、中には「どなたに決まりましたか」と問われる方もあります。また
    稀なことですが、「どうしてですか」と返答に困る問いかけをされる方もあります。
    /私のようにこれまでの歩みの中で、幾度か挫折したり失敗したり苦杯をなめた者は、
    このような時の受けとめ方、耐え方を知っていますが、中には受験も失敗したことが
    ない、学校も優等生だったという方、特に医師で小説を始めた方の場合、初めて受験
    して不合格にされた思いにでもなるようで、この方々から「どうしてですか」をしば
    しば聞かされるのです。「仕方ありません。そういう結果が出て、その連絡です」と
    申し上げるほかないのです。ここで「至りませんで」など言おうものなら、選考会に
    裏があるのかと思われることになり、不用意な発言をしてはなりません。・・・

ドクターX大門未知子だったり・・ヘ(__ヘ)☆\(^^; ただ、あっさり「わかりました」「そうですか」
と答えられる人は(公募の文学賞での経験も含めて)落選慣れしてるということもあるのでは(^_^;)
それにしても、(選考会場の新喜楽や記者会見場・懇親パーティー会場の東京會館の気遣いも含め)
芥川賞と直木賞は実に細やかな配慮をもって運営されているということが本書を読んで解った(^_^;)
このきめ細かさもまた両賞を権威あるものにしてるかと(^_^;) 芥川賞を立て直すよう命じられた後、
両賞の社内選考委員会が選んだ作品リストを日本文学振興会理事長(=文藝春秋社長)に見せた際の
本書47頁の次の件(原文ママ)も興味深い(^_^;)

    ・・・「進めていいだろう」との日本文学振興会理事長の言葉を聞いて、ひとつ
    私が言い添えたことがありました。/「残念なのは、直木賞五篇中、文藝春秋の
    作品が二篇、芥川賞は六篇中三篇あることです」/これは私が最も気にかけていた
    ことです。つとめて他社の関係作品、それが難しいなら同人誌からの作品を入れる
    ことで、この賞が文藝春秋のためのものではないことを示したかったのです。/
    また、受賞作も、二回に一回は多い、三回に一回くらい回ってきたらいい、という
    くらいに思って取り組んでやっと世間は、業界全体の賞という思いをしてくださる
    と私は受けとめていました。長い芥川賞、直木賞の歴史のたどり、全体の流れから
    見ると、おおよそそれくらいの比率での受賞作のめぐり合わせかと思います。他社
    の関係の賞では、必ず自社作品を一つを入れ、他社のものを添えるというものが多い
    のです。これだと、その賞が社内担当者への功労賞、褒美になってしまうのです。
    私は、これは避けたいと思っていました。これが芥川賞・直木賞が九十年近く続いて
    いる理由かと思います。/・・・

ナルホド!( ̄◇ ̄;) 他の出版社が関係してる文学賞が「必ず自社作品を一つ」受賞作に入れるのは
「社内担当者への功労賞、褒美」だったんだ( ̄◇ ̄;) もしかして漫画の賞もそうなのかな(@_@;)
ぼくらはカルチャー探偵団編『恋愛小説の快楽 ブックガイド・ベスト600』(角川文庫,1990)所収の
高橋源一郎選「ノン・ジャンルのラヴ・ロマンス(日本篇)ベスト50」が、くらもちふさこ『いつも
ポケットにショパン』の解題で「・・・ ぜんぜん関係ないがくらもちふさこが小学館漫画賞も講談社
漫画賞もとってないのはなぜだろうか。里中満智子さんも不思議だと首をかしげておられたが。」と
指摘してたけど、1996年に「天然コケッコー」で第20回講談社漫画賞受賞までは、くらもちふさこの
「社内担当者」=担当編集者には「功労」が無かったということかも(^_^;) 両漫画賞は「自社作品」
にばかり授賞してるから、芥川賞・直木賞のような社会的価値、賞の重みが無いということね(^_^;)
完結して初めて作品評価は可能となるのに、この手の漫画の賞はまだ連載中=未完成の作品に与える
という不可解さを、たしか関川夏央が指摘しててナルホドと感心した記憶が(@_@;) 連載中は傑作と
思ってむしゃぶりつくように読んでたが期待外れな結末に終わった浦沢直樹『MON・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

・「一、候補作品がそろうまで」~「世に問うような作品を書く時、必ず身体に変化が」( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-03

・「二、選考委員会前後」~水上勉の話はエロ小説やエロ漫画のようなシチュエーション( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-06

・「三、なぜこのような受賞作になったか」~「文學界」新人賞応募原稿に多い「題材」( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-10

・「四、一夜にして有名人となり、人生が変わる」~作家の「人間の卑しさ」「品性のなさ」( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-11

・「五、話題の受賞者、受賞作」~大河ドラマ原作となり増刷かけるも見込み違いで返品の山( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-03-12
タグ:回顧録
コメント(8) 
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コメント 8

tai-yama

レコード大賞に比べれば、芥川賞や直木賞はまだ権威があるとも。
逆に、受賞した人に連絡したとき「どうしてですか」とか聞かれる
こともあったり(笑)。
by tai-yama (2022-03-14 23:36) 

ナベちはる

お手盛りの賞や評価でも、貰えれば自慢したくなりそうです(^^;
とはいえ、後で虚しくはなってしまいますよね…
by ナベちはる (2022-03-15 01:21) 

middrinn

選考委員による選評を後日誌上で読めるから、
tai-yama様、受賞者は訊かないかと(^_^;)
by middrinn (2022-03-15 05:01) 

middrinn

実はお手盛りだと周囲の人間も知っている場合、
ナベちはる様、喜ぶのも恥ずかしいかも(^_^;)
by middrinn (2022-03-15 05:28) 

df233285

昔は音声電話なんで、断線しておしまいで良かったですが。
今はスパムも可能なメールの時代なので。高橋一清さん
役には、別の苦労が加わわっているのかもですね。

by df233285 (2022-03-15 08:01) 

middrinn

メールやラインで連絡通知はちょっと失礼かも(^_^;)
「お受けします」をクリックしたら、感染とか(^_^;)
by middrinn (2022-03-15 08:32) 

Cazz

出版社の賞の場合は狙ってる(描いて/書いて欲しい)作家さんと縁を繋ぐために受賞させたり、とかあるそうですよ。昔、まんが編集していた人から聞いたので嘘ではないかと・・
by Cazz (2022-03-15 13:32) 

middrinn

両漫画賞ではレアな他社作品の受賞が、そのケースに該当するんですかね( ̄◇ ̄;)
逆に他社に引き抜かれそうな漫画家の繋ぎとめに秋波を送る授賞もあるかも(^_^;)
by middrinn (2022-03-15 15:50) 

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