読書の厄介なところは、自分が興味深く思った箇所に注釈が無いことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【昨日買った本&読んだ本】

梶原正昭&山下宏明(校注)『平家物語(三)』(岩波文庫,1999)

「もったいない本舗 楽天市場店」で「良い」418円(送料無料)を10日注文し13日に追跡不可能ゆう
メールで(-ω-、) 328円の別の本を買う予定が予算を90円オーヴァーした上に、本は煙草臭するし、
表紙カヴァーは折れがあってヤケてる(´ヘ`;) 書き込み等が見当らないのが唯一の救いか(-ω-、)
第一巻は『平家物語』研究者のくせに某論文を見逃してたらしく文庫化の際に内容面がアップデート
されてないこと(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-04-12 )、第四巻は和歌
の解釈に気になる点があること(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-08-12
を指摘したけど、巻第七、巻第八、巻第九を収録している本書を拾い読みしてて、興味深かった件を
取り上げとく(⌒~⌒) それは巻第八の「山門御幸」の次の件なりウキウキ♪o(^-^ o )(o ^-^)oランラン♪

    ・・・平家は落ちぬれど、源氏はいまだ入かはらず。既に此京は、ぬしなき里にぞ
    なりにける。開闢[かいひゃく]よりこのかた、かゝる事あるべしともおぼえず。
    聖徳太子の未来記にも、けふの事こそゆかしけれ。/・・・

杉本圭三郎(全訳注)『平家物語(八)』(講談社学術文庫,1987)の訳も一応引いておこう(⌒~⌒)

    ・・・平家は都を落ちていったが、源氏はまだ入れ替っていない。すでにこの都は、
    主のいない里となってしまった。開闢[かいびゃく]以来、このようなことがあろう
    とも思われない。聖徳太子の未来記には、今日のことがどのように記されていることか、
    確かめたいものである。/・・・

何が興味深いかと言えば、佐藤進一『日本の歴史9 南北朝の動乱』(中公文庫,1974→2005改版)に
次のようにあるから(⌒~⌒)

    ・・・/武士の勃興期に形成された、源氏平氏あい並んで王朝の守りに任ずるという
    思想が、鎌倉幕府一五〇年の支配を経過する間にようやく変貌して、このころになると
    源平交代の思想が生まれていた。・・・

「平家は落ちぬれど、源氏はいまだ入かはらず」は『平家物語』に描かれている時代には存在し無い
はずの源平交代思想かと(^_^;) アナクロニズムだけど、この「・・・覚一本のテクストが応永年間、
十四世紀の中頃に成立していたことは、その識語や、当時の知識人の記録からしても確実である。」
(梶原正昭&山下宏明[校注]『平家物語(一)』[岩波文庫,1999]巻末の山下宏明「琵琶法師の
『平家物語』」)ということからすると、『平家物語』覚一本の作者もやはり時代の子だわな(^_^;)

和歌の表現に「主なき宿」「花なき里」はあるけど、「ぬしなき里にぞなりにける」は面白い(^_^;)
小生が読んだ限りでは『平家物語』の作者は和歌に詳しいしね(武将の歌を捏造もしてるし)(^_^;)

なお、「聖徳太子の未来記」を杉本・前掲書の語釈は次のように記してるけど、ケアレスミス(^_^;)

    /聖徳太子が記したものと信じられた未来のことを予言して書いた書。
    『古事談』巻五に、聖徳太子の御廟の近辺から掘り出された石の箱の中に、
    太子入滅の千四百三十余年後にこの記文が出現し、そのとき国王大臣は
    寺塔を建て仏法を願い求めよと述べた御記文があり、天王寺から奏聞の
    あったことが記されており、これも未来記の伝説のひとつであるが、
    『愚管抄』『明月記』などにもみえ、太子信仰とともにひろまって、
    『太平記』にも楠正成がこれをみたことなどを記載している。/

川端善明&荒木浩(校注)『新日本古典文学大系41 古事談 続古事談』(岩波書店,2005)も「入滅
以後四百三十余歳」とあるし、芸術新潮2021年7月号が「1400年遠忌記念大特集 聖徳太子 日本
一有名な皇子のものがたり」(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-06-25 )と
謳っているように、今年(2021年)が1400年遠忌なのに、「天暦二年(一〇五四)」が「太子入滅の
千四百三十余年後」のわけないじゃん(^_^;) 太子没は推古29年(621年)か推古30年(622年)(^_^;)