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210702読んだ本

読書の厄介なところは、書名に「抄(訳)」と入ってない不親切な本である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
「全訳注」ではなく「訳注」となっていることに、全く注意を払わなかった小生の不覚かな(ノ_-;)トホホ…

【読んだ本】

楠山春樹『新釈漢文大系62 淮南子 下』(明治書院,1988)

本書の「巻十六 説山訓」四に、チト興味深い件(本書902頁)があった〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/人、其の子を嫁がしむる有りて、之[これ]に教へて曰く、
    爾[なんぢ]行[ゆ]け、慎みて善を爲すこと無かれ、と。曰く、
    善を善を爲さざれば、將[は]た不善を爲すか、と。之に應へて曰く、
    善すら且つ由[な]ほ爲さず、況[いは]んや不善をや、と。此れ
    其の天器を全うする者なり。/・・・

んで、この件を本書の「通釈」は次のように訳しているよ(本書903頁)〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/娘を嫁がせる人があって、その娘に教訓を垂れてこういった。
    「さあ、行きなさい。〔あちらへ行ったら、〕よく慎んで善行など
    してはいけないよ」。〔娘が〕いった。「善行をしないのでしたら、
    不善をしろというのですか」。それに答えていった。「善行でさえ
    してはいけないんだから、不善なんてとんでもないよ」。この人こそ
    自分のもちまえを全うするというものである。/・・・

理屈は解るけど腑に落ちぬと思っていたら、「慎無爲善」(慎みて善を爲すこと無かれ)について、
「語釈」には次のように解説されていた(本書903頁)( ̄◇ ̄;)

    『世説新語』賢媛篇の劉孝標の注の所引には「爾、善を為さば、善人之を疾む」とある。
    善行などして人の妬みを買うなということ。また、『荘子』養生主篇に「善を為すも名に
    近づくこと無く、悪を為すも刑に近づくこと無かれ、督に縁りて以て経と為さば、以て
    身を保つべし」とある。

この『淮南子』、「陰徳有る者は必ず陽報有り」「殷は夏を変じ、周は殷を変じ、春秋は周を変ず」
「魚、耳無くして聴く」「燕雀、海に入り、化して蛤と為る」「禍無きを常として、福有るを常と
せず」「智者は路[=方法]を離れて道を得、愚者は道を守りて路を失ふ」等々・・・レトリックに
走ってるような気もするけど、面白いね(^_^;) 百目鬼恭三郎『読書人読むべし』(新潮社,1984)は
『淮南子』を「・・・雑多な種類の思想、学術を集めた、雑家と呼ばれる一種の百科全書である。
・・・形而上学的な思索があるかと思うと、施政、処世の教訓から、兵法、天文、地理といった分野
にまで拡がっている。また、神話や伝説などの民間伝承を記録しているのも、この本の大きな特色で
ある。」として紙幅を割いて紹介(^_^;) 池田知久(訳注)『淮南子』(講談社学術文庫,2012)は、
例の召公奭の話(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-06-18 )を確認しようと
したら、索引が無いので、最初からざっと目を通したのに見付からなくて、宮城谷昌光が嘘ついたか
と一瞬思っちゃったけど、よく見たら「部分訳」(抄訳)だった(ノ ̄皿 ̄)ノツカエネーヨ!┫:・’.:
タグ:中国 古典
コメント(6) 
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コメント 6

爛漫亭

 「善を為すこと無かれ」は中国三千年の叡智ですね。
by 爛漫亭 (2021-07-02 22:40) 

ナベちはる

書名に「抄(訳)」と入ってないのは不便ですね。
ついてくれたら大きく違ってくるんのですが…・(^^;
by ナベちはる (2021-07-03 02:15) 

middrinn

娘さんには通じてなかったみたいですので、
爛漫亭様、解釈に委ね過ぎな感も(^_^;)
by middrinn (2021-07-03 05:32) 

middrinn

講談社学術文庫に馴染の無い人は、
ナベちはる様、「全」が無いこと
に気付かないでしょうしね(^_^;)
by middrinn (2021-07-03 05:36) 

tai-yama

全(ゼン)訳注をしてはいけないんだから不全訳注もしてはいけない。
よって「訳注」になったのかも。淮南子に基づいていると(笑)。
by tai-yama (2021-07-03 18:39) 

middrinn

よく結び付けますね~とマジ敬服ですが、チト難解で一見して
爆笑することが出来なかったので座布団はナシオン主権(^_^;)
by middrinn (2021-07-03 19:02) 

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