SSブログ

210602買った本&読んだ本

読書の厄介なところは、つい寝床の中でも調べ物をしてしまうことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【買った本&読んだ本】

雨海博洋『物語文学の史的論考』(桜楓社,1991)

Amazon出品者「古本倶楽部【午前9時までのご注文は当日発送】【通常24時間以内発送】」に「良い」
を130円(482円+送料等350円-ギフト券702円)で5月30日夜注文し6月2日届く(^_^;)コンディション
説明文は「中古品 - 良い - 小口ヤケ。蔵書印あり。【商品説明】この商品はコンディション3(良い)
の商品です。状態は良好ですが、万が一不備があった場合は、迅速にご返金させて頂きます。※全品
クリーニングの後、防水梱包にて、ご発送させて頂きます。Amazon専用商品。」とあり、函について
説明が無かったけど、届いたのには函が付いてた(^_^;) ただし、函有りなのにプチプチ等で包まずに
そのままビニール封筒に入れたゆうメール、また発送通知には「お問い合わせ伝票番号は-です」と
なってて追跡不可能なのは減点(^_^;) でも、書き込み見当たらないから、問題ナシオン主権(^o^)丿

    第一章 『竹取物語』

     一 『竹取物語』成立考
     二 『竹取物語』の舞台背景

    第二章 『伊勢物語』

     一 『伊勢物語』と源順
     二 『伊勢物語』における源順関係章段
     三 在原業平朝臣の東国彷徨
     四 伊都内親王の歎き

    第三章 『大和物語』

     一 『大和物語』の『伊勢物語』意識─大和一六〇段・一六五段を中心とした考察─
     二 『大和物語』第一段「身ひとつに」ついて
     三 『大和物語』第六八段「かしは木にはもり神」について
     四 『大和物語』第一五九段「雲鳥の紋の綾」について
     五 『大和物語』の「先帝」
     六 『大和物語』の「一条の君」
     七 『大和物語』の「武蔵守女と若狭の御」
     八 『大和物語』の「染殿内侍」
     九 良少将宗貞の出家譚をめぐって─『大和物語』と『今昔物語集』の対比を中心に─
     十 打聞きの世界

    あとがき

「あとがき」によると、第三章の五~八の4篇は雨海博洋&山崎正伸&鈴木佳與子『大和物語の人々』
(笠間選書,1979)収録のに「訂正を施し」て再録したものの由、同書も持ってるから良かった(^_^;)

第二章の「在原業平朝臣の東国彷徨」が次のような問題提起をしていた〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・

      名にしおはゞいざことヽはむ宮こどりわがおもふ人はありやなしやと(九段)

    最近、夢にも現れなくなった恋しき人、一体どうしたのだろうか、その人の安否を思う
    痛切な心情が吐露されている。まさに東国の片隅、下総国へ渡ろうととする折の絶唱
    である。この[隅田]川を渡れば更に京の都は遠くなってしまうのである。「ふね
    こぞりてなきにけり」とこの絶唱に心うたれない者は誰もいなかった。/果して、男は
    東の国で「すむべきくに」を求め得たのであろうか。『伊勢物語』一〇段では「むかし、
    おとこ、むさしの国までまどひありきけり」とある。九段では確かに武蔵国から下総国へ
    渡ったはずである。ところが不思議なことに、下総へ渡ったはずの男が、『伊勢物語』
    一〇段では武蔵国入間郡三芳野の里まで「まどひありきけり」となっているのである。
    男はいったい何のために隅田川を渡り、再び武蔵国までまいもどってきたのであろうか。
    ・・・

ナルホド!九段で武蔵国から下総国へ渡りながら、一〇段で再び武蔵国に現れるのは謎だね( ̄◇ ̄;)
『伊勢物語』研究の泰斗である片桐洋一は『伊勢物語全読解』(和泉書院,2013)において、この点を
物語り手の「説明不足」としてるけど、本書は次のように推論している( ̄◇ ̄;)

    ・・・業平の父阿保親王は上総太守を兼任していたのである。ここに在原氏と上総国とに
    ゆかりが生じ、業平の、隅田川を渡り下総から上総への展開が考えられるようになったの
    であろう。しかし、太守は任国には直接赴かないものであり、また、同年[=承和9年
    [842年]]十月に阿保親王は薨じている。時に親王六十一歳、業平は、まだ十七歳で
    あった。それから約十年後、上総国に縁故を頼っても、その子が歓迎されるはずも
    なかろう。こうして業平は再び隅田川を渡り武蔵国へあてもなくたどり着いたのである。
    このように『伊勢物語』の昔男は、「すむべきくにもとめに」といって京を出発し、
    やがて「まどひありき」に至る事態を考えた時、ある理想、期待を持って東国へ下向した
    ものの、未開の東国にはそれなりの厳しい現実があり、男の持っていた東国への夢は
    破れたことになる。理想や夢の消え去った後はまどい歩くより他なかった。/・・・

『伊勢物語』の「東下り」、在原業平が実際に東国へ下向したかどうかはさておき、ナルホドと思う
推論だけど、そもそも『伊勢物語』九段の隅田川の場面は、武蔵国から下総国へ渡ったのではなく、
下総国から武蔵国へ渡った際の出来事だったなら、全く問題は無いかと〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・古い東海道は足柄峠を越え、相模の国府(大磯町付近)をすぎてからまっすぐ
    東へと進み、鎌倉を通って三浦半島にはいる。半島中央部の谷間を通透かして東海岸
    に達し、浦賀・走水付近から東京湾口を舟で横断して対岸に上陸し、安房・上総・下総
    (ともに千葉県)・常陸(茨城県)と北上する。これが古東海道のコースであった。/
    ふるく古事記・日本書紀の倭建命(日本武尊)東征伝説のなかにうたいあげられている
    走水の渡海や、海神のいかりをなだめるための弟橘姫入水の物語からみても、また本来
    は京都から近い国を上総、遠い国を下総とよぶはずなのに(上野・下野はちょうどそう
    なっている)、平安時代以後の東海道では武蔵→下総→上総とちょうど逆になってしまう
    矛盾の生まれた理由を考えても、以上の経路がかつての東海道の基幹線だったことは
    うたがう余地がない。/大井川[太日川]・隅田川などの大河が乱流してつくりだした、
    一面にアシ・マコモの類が密生している一大低湿地帯を横切るよりも、せまくくびれた
    東京湾口の浦賀水道を横断するほうが、おそらくはより容易な交通路だったのであろう。
    ・・・

石井進『日本の歴史7 鎌倉幕府』(中公文庫,1974)は、この後、「奈良時代末」に武蔵国が東海道に
編入されてから、「相模の国府から北上して相模原の台地を横切り、多摩の横山とよばれる丘陵地帯
をこえて武蔵の国府(府中市)へ。さらに草深い武蔵野を東へとわけ、隅田・大井川を渡河して下総
の国府に達し、南は上総・安房の国府につらなり、北は常陸国に至」るというように、東海道の幹線
道路が変化したことも記してるけど、上総国が目的地なら、相模→安房→上総の方が「容易」だし、
その後、上総→下総→武蔵と進んだなら、『伊勢物語』の九段と一〇段はスムーズになるかと(^_^;)
タグ:古典 歴史
コメント(8) 
共通テーマ:

コメント 8

tai-yama

私も武蔵(埼玉)から下総(千葉)に・・・在原業平と同じっ!
昔の船だと浦賀から館山方面はちょっと厳しいかも。
館山につかなくて、九十九里の方へ流された事例も多いし・・・
by tai-yama (2021-06-03 00:16) 

ナベちはる

寝床で調べてブルーライトの影響が…お気を付けください(-_-;A)
by ナベちはる (2021-06-03 01:49) 

middrinn

石橋山の戦いで敗れた頼朝主従の舟ですら、
tai-yama様、安房に着きましたよ(^_^;)
在原業平みたいにモテモテと(⌒~⌒)ニヤニヤ
by middrinn (2021-06-03 04:49) 

middrinn

寝床ですし照明も暗いので、老眼鏡が、
ナベちはる様、手離せませんね(^_^;)
by middrinn (2021-06-03 04:50) 

ネオ・アッキー

middrinnさんおはようございます。
中古の本を取り寄せるのには、色々とご苦労がおありのようですね。
気になったのですが、本のクリーニングとは、どの様に処理するのか、知りたいです。
それから、ナシオン・・・ と聞くと、フランスのメトロ6号線の終点駅を思い出します。
by ネオ・アッキー (2021-06-03 05:16) 

middrinn

古本の「クリーニング」法は、小生も知りたいです(^_^;)
ナシオン主権はプープル主権と対比的に使われます(^_^;)
by middrinn (2021-06-03 05:25) 

そら

あるある!
寝ようと思って目を瞑ると何だか知らないけど妙に色んな事が頭を
駆け巡り、はた気が付いてスマホで検索・・・
出来ればすんなり寝たい(^^;
by そら (2021-06-03 06:39) 

middrinn

スマホを使ってしまうと、ヨリ眠れなくなるのでは(^_^;)
寝床では色々と考え事とかしがちではありますよね(^_^;)
by middrinn (2021-06-03 06:46) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。