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201228一昨日買った本&読んだ本【バカチン】

レヴュアーとしての評価が高くなると、何でも即レヴューすることを期待され、馬脚を露わす(^_^;)

【一昨日買った本&読んだ本(バカチン)】

工藤重矩(校注)『詞花和歌集』(岩波文庫,2020)

楽天ブックスに新品924円を241ポイント使って683円で25日早朝注文し翌26日昼前届く( ̄◇ ̄;)ハヤッ!?

本書は、川村晃生&柏木由夫&工藤重矩(校注)『新日本古典文学大系9 金葉和歌集 詞花和歌集』
(岩波書店,1989)所収の工藤重矩(校注)『詞花和歌集』「に基づき、注などを改編して文庫化
した。」(本書の「凡例」)もので、2020年12月15日に発売された由〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

Amazonで「美しい夏」なる「ベスト50レビュアー」が「2020年12月18日」付で次のレヴュー(@_@;)

    『詞花和歌集』からは5首の歌(崇徳院、伊勢、源重之、大中臣能宣朝臣、藤原忠通)が
    百人一首に採用されていて、どれもいい歌だと思うが、『詞花和歌集』自体の同時代及び
    後代の評判は悪いようである。

    特徴は
    一、1151年に撰進された六番目の勅撰集。崇徳院の院宣により、藤原顕輔が編纂した。
      全409首。
    二、完成奏覧の5年後の保元の乱で崇徳院は敗れ、讃岐へ流刑。死後は古代最大の怨霊と
      なる。
    三、950年代の終わりから1151年までの200年に詠まれた歌から収録。
    四、過去(故人)の歌人の歌が多く、現代歌人の歌が少ない。
    五、掛詞・縁語を用いての複雑な修辞方法による表現が好まれた。
    六、同時代の評判も、後代の評判もよくない。同時代の評判が悪いのは、現代歌人の歌が
      少ないこと(採用されなかった恨み)、崇徳院の流刑と撰者の死。後代の評判が悪い
      のは俊成が「戯れ歌様」と批判したこと等。

    本書の特徴。
    一、右が歌の頁で、左頁が註解。
    二、最後の『詞花和歌集』解説は約40頁。このほか、初句索引、解説付き人名索引が
      ついている。

    私的感想
    〇全409首と数が少なく、連歌は入っていないので、シンプルで読みやすい。
    〇校注は全訳のあと、語句、掛詞、縁語等を解説。手頃な分量で読みやすい。
    〇掛詞には、現代人にわかるものも多い。考えてながら読んで、当たっていると楽しい。
    〇女性歌人の歌の中から、気に入ったものを数首並べる。
    ☆一宮紀伊242 前夜に男の来なかった朝、その男に
     「つねよりも露けかりつる今夜かなこれ秋(飽き)立つはじめなるらん」
    ☆相模322「住吉の細江にさせるみをつくし深きに負けぬ人はあらじな」(これだけ
     身を尽くす私の思いの深さに勝てる人はいない。あなたの負けよ(?) )
    ☆大納言道綱母281 夫の兼家が八重山吹の花を贈ってきた。
     「誰かこの数はさだめじ(誰がこの花の数を八重と決めたのか)我はただとへ
     (十重、訪へ)とぞおもふ山吹の花」
    ☆赤染衛門319
     「よの人のまだしらぬまの薄ごほり見わかぬほどに消えねとぞ思ふ」(来てほしい。
     でも世間にばれるのを怖がる薄情な人なら、今のうちに消えて」
    ☆江侍従317
     「かづきけむたもとは雨にいかがせし濡るるはさても思ひしれかし」(帰り道袂が雨に
     濡れたんじゃないですか。涙でたもとを濡らしている私の辛さを思い知りなさい)
    などなど。

    私的結論
    〇註解読みやすかった。

冒頭『百人一首』に5首の件、伊勢大輔タンと伊勢タンを混同すんなヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
伊勢大輔タンと伊勢タンを同一人物と完全に誤解していた小川和佑『桜の文学史』(朝日文庫,1991)
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-04-21 )以来だなオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
『百人一首』の伊勢タンの歌(専門家は伊勢タンの作に非ずとする)は『新古今和歌集』入集歌で、
『百人一首』の伊勢大輔タンの歌は『詞花和歌集』入集も、実は既に『金葉和歌集』三奏本にも(^^)

続く「特徴」は本書巻末「解説」からテキトーに摘出しただけの泥縄レヴューオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

「950年代の終わりから1151年までの200年に詠まれた歌」とあるが、先ず950年代の〝終わり〟から
1151年までなら、「200年」にならないじゃん(^_^;) もしかして、引き算が出来ないのかしら(^_^;)
本書巻末の「解説」の「二 『詞花和歌集』の歌風」には、次のように記されている( ̄◇ ̄;)エッ!?

    /『詞花集』の和歌は村上朝後期(九五〇年代終り頃)から『詞花集』編纂時
    [1151年に撰進・奉覧]までの約二百年間に詠まれたものである。・・・

「約」を忘れただけじゃんと思うなかれオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ! この工藤重矩の一文が実は間違って
いることに気付かない「ベスト50レビュアー」オホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*) 例えば、松野陽一(校注)
『和泉古典叢書7 詞花和歌集』(和泉書院,1988)巻頭の「解題」には次の指摘があるv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・崇徳院は「中古ヨリ以来」の歌を撰歌対象とした撰集を命じたとある。
    この「中古」は入集歌人の上限が後撰集歌人であることから、通説では後撰集
    時代以来の歌と解されているが、後掲する「主要撰集資料一覧」に見られるように、
    寛平年間の歌合歌(二〇二・二〇三)が入集しており、これが誤入でないとすれば、
    上限は古今集時代に遡ると解することもできなくはない。・・・

この歌番号202と同203の2首について、松野・前掲書巻末の「主要撰集資料一覧(詞花後葉対照)」は
それぞれを「893以前 寛平御時后宮歌合」、「896以前 寛平御時中宮胤子歌合」とし、本書の単行本
である新日本古典文学大系版の「付録」の「『詞花和歌集』他出一覧」でも「〔寛平五年(八九三)
九月以前〕皇太夫人班子女王歌合・・・」、「〔寛平八年(八九六)六月以前〕后宮胤子歌合・・・」
と明記するように、「村上朝後期(九五〇年代終り頃)から」は誤りヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

両書を参照せずとも本書の歌番号202の歌の注に〈▽新勅撰集・恋二に詞書「寛平御時后宮歌合の歌」
として重出。〉とあるので(新日本古典文学大系版には無い)、「寛平」はウダダと醍醐天皇の年号
だから村上天皇(醍醐天皇の子で、朱雀天皇の次に即位)の時代よりも前・・・と気付くはずだが、
この「ベスト50レビュアー」は、歴史に疎いのか、本書を読まないでレヴューしたかC= (-。- )フゥー

この「ベスト50レビュアー」は、本書を読まずに、「解説」だけを斜め読みして、アリバイ代わりに
数首だけ拾ってレヴューしたフリ( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ 本書を実は読んでいないことは、「私的感想」の
「全409首と数が少なく」から明らか(゚ロ゚;)マジッ!? 本書は全415首だヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

例えば、本書巻末の「解説」の「三 『詞花和歌集』の成立・構成・歌人」にも「・・・[撰者の藤原
顕輔が][崇徳]院に奏覧したところ、[崇徳]院の御製三首(八・三七九・四〇三)と藤原盛経
(一一)、同頼保(一九九)、同範綱(二三九)の歌計六首の削除を指示された(袋草紙③)。・・・
この六首は被除歌と称されている。」とあるように、最終的な奏覧本は409首だけど、本書の底本には
被除歌も含まれてて、その6首も注釈してるので、最終歌の歌番号は415なのだオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
なお、新日本古典文学大系版には出てなかった異本歌の5首も(注釈は無いが)本書巻末の「解説」の
「七 伝本と本書の底本」に列挙されている(⌒~⌒) ちなみに、松野・前掲書だと、全415首に加えて
異本歌の11首(本書が列挙している5首を含む)にも、注釈がなされているんだけどねC= (-。- ) フゥー

この「ベスト50レビュアー」は本書巻末の「解説」を斜め読みしたか読解力が無いのか一知半解で、
『詞花和歌集』の「特徴」を「掛詞・縁語を用いての複雑な修辞方法による表現が好まれた」などと
ミスリードしてるヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 本書巻末の「解説」の「二 『詞花和歌集』の歌風」から引く(^^)

    ・・・/古今集的表現の特徴である掛詞・縁語等を用いての複雑な修辞技法による表現は、
    詞花集時代においても時代の好みの一面であった。・・・

「掛詞・縁語等を用いての複雑な修辞技法による表現」は『詞花和歌集』の歌風の「一面」であり、
ソレを『詞花和歌集』の「特徴」の全ての如く紹介するんじゃねーよヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
現に本書巻末の「解説」の「二 『詞花和歌集』の歌風」の後半では次のように展開されている(-"-)

    ・・・/ところが、題を指定されて詠む、歌合・歌会、また百首歌(四季・恋等の歌
    百首により構成される和歌形式)等が歌人の活躍・評価の場の中心となり、詠歌が
    日常の生活の場から切り離されるにつれて、場の文脈に依らない、和歌一首の自立した
    世界の詠出が求められるようになっていった。そうなると、おのずからそのような和歌に
    ふさわしい表現、修辞が求められ、掛詞・縁語等を駆使した知巧的な修辞技法は煩わしい
    と感じられるようになってゆく。表現についての時代の好みの返歌である。/その変化の
    さまは[『詞花和歌集』の]四季の部の和歌に顕著に現れている。・・・

この「ベスト50レビュアー」が挙げる「掛詞・縁語を用いての複雑な修辞方法による表現」など無い、
「拾遺[和歌集]・後拾遺[和歌集]時代以来の新しい好みのひとつであった」「澄明で伸びやかな
調べの和歌」、「情趣の域での漢詩的世界との融合、いわば和漢朗詠集的文学世界の詠出と言って
よいかもしれない」和歌も『詞花和歌集』の「一面」=「特徴」だヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

この「ベスト50レビュアー」は、『詞花和歌集』の「特徴」として「後代の評判が悪い」ことを特記
しているが、本書巻末の「解説」の「二 『詞花和歌集』の歌風」の後半は「これに幽遠の趣を加えた
次のような和歌は次時代への先駆けと言ってもよい」として『詞花和歌集』から3首紹介後、次の如く
指摘していることを読み落としている( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

    ・・・/『詞花集』は、[この「解説」の]第五章に述べるように、[藤原]俊成流
    (御子左家・二条家流)の否定的評価のゆえに後世の評価はあまり芳しくない。だが、
    個々の和歌を見てゆくと、案外に後代の歌人に影響を及ぼしている。そのことは注解の
    ▽(参考部分)に指摘したが、それも紙幅の関係で一部を例示したにすぎない。・・・
    一首の和歌をめぐる和歌表現の歴史の響き合いを感じ取ってほしい。/

和歌はそれなりに勉強しないと解らないものだから、役割期待があっても分を弁えた方がいい(^_^;)

「私的感想」で挙げられている歌が不正確な引用である点はさておき、この「本書の特徴」とやらは
『詞花和歌集』の他の注釈書や本書の単行本である新日本古典文学大系版との比較も無いね(´・_・`)

本書と新日本古典文学大系版との違いを知りたい人、結構いるよね(^o^)丿ヾ(-_-;)自分のことだろ!
新日本古典文学大系版の「付録」の「『詞花和歌集』他出一覧」、「顕昭「詞花集注」一覧」(コレ
の活用法が小生には分からぬ)、「出典歌合・百首歌解説」、更に「地名索引」、(「人名索引」中
の)「詞書等人名索引」が本書には未収録で、新日本古典文学大系版『詞花和歌集』冒頭の「解題」
もメチャ良かったのに無くなった(-ω-、) 他方で、本書巻末「解説」の末尾に「主要参考文献」が
載ってたヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪ 新日本古典文学大系の八代集の他の巻は巻末「解説」の末尾に
「主要参考文献」(小島憲之&新井栄蔵[校注]『新日本古典文学大系5 古今和歌集』[岩波書店,
1989]は「参考図書」だが、「古今和歌集注釈書目録」が「付録」に)があるのに、川村晃生&柏木
由夫&工藤重矩(校注)『新日本古典文学大系9 金葉和歌集 詞花和歌集』(岩波書店,1989)は両集
とも「解説」の末尾に何故か無かったから、本書に「主要参考文献」が載ったのはありがたいね(^^)

久保田淳&平田喜信(校注)『新日本古典文学大系8 後拾遺和歌集』(岩波書店,1994)が「文庫化」
されて、久保田淳&平田喜信(校注)『後拾遺和歌集』(岩波文庫,2019)が発売された際、Amazonで
「字が大きくて読みやすいです。」「・・・この調子で八代集を出していただけるとありがたいです。
せめて三代集だけでもこのフォーマットにしていただけると大変助かります」とのレヴューがあり、
「内容量を減らされたのにパッケージが大きくなったと喜んでる頭の悪い消費者だな(^_^;)」と呆れ
つつ、この文庫版は新日本古典文学大系版の〈脚注の「参考事項」をほぼ全ての歌から削除〉してる
事実を指摘し(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-09-29 )、その後も脚注に
あった「・・・宮廷女房達の御殿女中にも通ずる意地悪さが知られる歌。」という評が文庫版に無い
ことに気付いたりもしたので(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-12-06 )、
新日本古典文学大系の文庫版はあまり積極的に買おうという気持ちにはなれない小生(-ω-、) ただ、
『詞花和歌集』と『金葉和歌集』はともに十巻本なので(他の八代集は二十巻本)、新日本古典文学
大系では一冊に収録されていた両集が切り離されて『詞花和歌集』だけで一冊の文庫本になるという
のだから、もしかしたら加筆の可能性も、と期待して注文した次第ウキウキ♪o(^-^ o )(o ^-^)oワクワク♪
実際、本書巻末の「解説」、かなり加筆され、また解り易くなっていたヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪

新日本古典文学大系版巻末の「『詞花和歌集』解説」は「一 時代背景」「二 成立」「三 入集歌人」
「四 当代人の反応」「五 『金葉和歌集』三奏本」「六 底本」という構成だが、本書巻末の「解説」
の章立ては「一 時代背景」「二 『詞花和歌集』の歌風」「三 『詞花和歌集』の成立・構成・歌人」
「四 同時代人の反応」「五 後世の評価」「六 撰集資料における『金葉和歌集』三奏本の問題」
「七 伝本と本書の底本」で、加筆により読み応えも増して、従来の説に対する批判とか興味深いし、
注(新日本古典文学大系版には無い)には新しい文献(「日本歴史」2020年1月号[860号])も(^^)
ただ、新日本古典文学大系版の巻頭の「解題」、「和歌史における歌風の変遷」を『詞花和歌集』の
歌風に絡めてメチャ解り易く解説し味わい深い文章だったから本書に未収録なのはマジ残念(-ω-、)

注釈に関する新日本古典文学大系版と本書の違いとして、巻第一春の藤原惟成の歌を取り上げる(^^)

     寛和二年内裏歌合に霞をよめる

    きのふかも あられ降りしは 信楽の 外山のかすみ 春めきにけり

同歌の新日本古典文学大系版の脚注と本書の左頁に載る注釈を順に引く〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    昨日ではなかったかなあ、冬の訪れを告げる霰が降ったのは。なのに、今日は
    もう信楽の外山に霞が立って、すっかり春めいてしまった。〇信楽 滋賀県甲賀郡
    信楽。聖武朝の宮処。〇外山 山なみの里に近い辺り。「深山」「奥山」の対。
    冬は深山に、春は外山に早く訪れる。「深山には霰降るらし外山なるまさきの蔓
    色付きにけり」(古今・神遊歌)。▽「昨日こそ早苗とりしかいつの間に稲葉
    そよぎて秋風の吹く」(古今・秋上・読人しらず)などと同想。

    昨日だったかなあ、冬の訪れを告げる霰が降ったのは。なのに、気づけば今日は
    もう信楽の外山に霞が立って、すっかり春めいてしまったなあ。〇寛和二年…
     花山天皇の寛和二年(九八六)六月十日に催行された。〇信楽 滋賀県の地名。
    聖武朝に都が置かれた。〇外山 山なみの里に近い辺り。「深山」「奥山」の対。
    冬は深山に、春は外山に早く訪れる。「深山には霰降るらし外山なるまさきの蔓
    色付きにけり」(古今・神遊歌)。〇五句 「けり」は、その事にあらためて
    気づいたという気持。▽類想歌「昨日こそ早苗とりしかいつの間に稲葉そよぎて
    秋風の吹く」(古今・秋上・読人しらず)。
    
その次の平兼盛の歌も取り上げ、日本古典文学大系版の脚注と本書の左頁に載る注釈を順に引く(^^)

     天徳四年内裏歌合によめる

    ふるさとは 春めきにけり み吉野の 御垣が原を かすみこめたり

    古里となった奈良の都は、すっかり春めいてしまった。それもそのはず、
    吉野の御垣が原を霞が立ちこめている。〇ふるさと 奈良の古京。〇み吉野の
    御垣が原 地名を「垣根」にとりなし、「籠む」を縁語とする。▽吉野山は
    古今集以来春の遅い所として詠まれる。その吉野山にも霞が立ちこめた。
    まして奈良の都はすっかり春らしくなったのである。前歌の「外山」の霞に対し、
    深山である吉野山の霞を配した。以上三首古京の早春。

    古里は、すっかり春めいてしまったなあ。それもそのはず、吉野の御垣が原を
    霞が立ちこめている。〇天徳四年… 村上天皇の天徳四年(九六〇)三月三十日
    に催行された。〇ふるさと 奈良の古京。奈良での詠である「み吉野の山の白雪
    積もるらし古里寒くなりまさるなり」(古今・冬・是則)を春に換えた趣き。
    「ふるさと」を吉野離宮とする説もある(顕昭注)。〇御垣が原 地名を「垣根」
    に取りなし「籠む」を縁語とする。吉野山は古今集以来春の遅い所として詠まれる。
    ▽前歌の「外山」の霞に対し、深山である吉野山の霞を配した。

刈り込む一方、加筆が結構あるし、新日本古典文学大系版の未収録「付録」の代替的な補筆も(^_^;)
新日本古典文学大系版と本書、どちらが良いのか、正直、判りませんな〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
「顕昭注」だが、本書はセレクトした上で(藤原惟成の歌のはスルー)摘出して紹介しているけど、
松野陽一(校注)『和泉古典叢書7 詞花和歌集』(和泉書院,1988)だと「顕昭『詞花集注』」として
その全文を纏めて収録してるし、菅根順之『笠間注釈叢刊10 詞花和歌集全釈』(笠間書院,1983)も
各歌の【古注】欄でその全文を引用している(^_^;) 松野・前掲書は、頭注欄が活字びっしりな上に、
巻末にも「補注」が歌によってはたっぷりとあるんだけど、菅根・前掲書の情報量には負ける(^_^;)
例えば、平兼盛の上記の歌の菅根・前掲書の【鑑賞】欄を省略しながら引く(^^)

    /天徳四年(九六〇)三月卅日内裏歌合は村上天皇の御主宰で内裏の清涼殿で催された。
    この歌合は後世の歌合の規範となった歌合である。またこの歌合は兼盛にとって、後世に
    多くの逸話を残しているように忘れ難い歌合でもあった。『袋草紙』〈巻上〉に/・・・
    /とあり、兼盛の喜びようが窺える。これに関連した話は『沙石集』〈巻五〉にもある。
    /本歌は朝忠の「倉橋の山の峡より春霞年をつみてや立ちわたるらむ」と番えられた
    「霞」一番右負歌である。・・・/さて、この歌は負歌であるが、判詞に/・・・/と
    あるごとく甲乙つけ難い秀歌でもあったようである。「御垣」「こむ」という語のもつ
    響の面白さや、判詞に「霞こめたらむもおそろしげにや」とあるが、逆にこの異様さに
    惹かれ、撰者[藤原顕輔]は選歌したものであろう。/二句切れ。

最後に、本書の「人名索引」、久保田淳(校注)『千載和歌集』(岩波文庫,1986)の「作者索引」で
立項されてた「読人しらず」、久保田淳&平田喜信(校注)『後拾遺和歌集』(岩波文庫,2019)の
「人名索引」で立項されてた「作者不明」「読人不知」、これらが無い〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
タグ:和歌
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コメント 6

ニッキー

レビュー、前にかみさんが「レビュー書いたら送料無料だから
ニッキー書いてねぇ^^」と頼まれて
簡単に「了解!」と言ってその店のHPを開いたら
女性の下着の店でした(°_°)
えっと、どんなレビューを書けと?つけ心地とか?w
ってかみさんに言ったら、「『発送も早くて丁寧で良かった』とかで
良いと思うけど・・・つけたいの?」と聞かれましたw
レビューは難しいです(ー ー;)→おいw
by ニッキー (2020-12-28 21:34) 

middrinn

( ^o^)ノ◇ 山田く~ん 特製女性の下着の店でした(°_°)座布団10枚 ♪
大爆笑でした(^_^;) 奥様にも座布団を進呈しないといけませんね(^_^;)
by middrinn (2020-12-28 21:48) 

tai-yama

巻末の「解説」のレビューだったのかも。
「ベスト50レビュアー」と言うぐらいなので、ちゃんと注文を
している人なんだろな・・・・と思えないのがAmazon。
by tai-yama (2020-12-28 23:25) 

middrinn

〈「解説」を斜め読みしたか読解力が無いのか一知半解〉でしたよ(^_^;)
Amazonは、今でも購入してない人もレヴュー出来るんですかね(@_@;)
by middrinn (2020-12-29 07:32) 

そら

レヴュー、私は書いた事無いです
しかしアレ、何人がまともにレビューを書いているんでしょうか?
まぁそれでも参考にはしますが(^^;
by そら (2020-12-29 14:29) 

middrinn

届いた古本のコンディションのことを書いてる人も時々います(^_^;)
Amazonマケプレなどのショッピングサイトで出品者に対する評価は
書き込んでますし、参考にもしてますけど、商品(古本)そのものに
対するレヴューは一度もないです(^o^)丿 ブログに書くから(^_^;)
by middrinn (2020-12-29 16:40) 

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