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190109読んだ本

頭の中を占拠しているメチャ小っちゃな悩みが、820円の文庫本新刊をどうやって買うかなのだ(-ω-、)
一割引きで買える本屋は取り寄せに一週間(+_+) ネットで購入となると、どうやったら安く買えるかを
検討中である(@_@;) ゲームを毎日コツコツやって300pまで貯まったPontaがあるけど送料がかかるし、
送料無料にするため安い漫画を抱き合わせで買うのもナンだかなぁ(ノ_-;)ハア… 楽天ブックスは送料無料
だけど、こんな本に82p以上も投入するのもねぇ(´ヘ`;)ヾ( ̄o ̄;)オイオイ そももそ買う価値あるのか?

【読んだ本】

上坂信男&神作光一&湯本なぎさ&鈴木美弥(全訳注)『枕草子(下)』(講談社学術文庫,2003)所蔵

二二六段の「清水にこもりたりしに」に出てくる「入相の鐘」を、[語釈]で「日没時につく鐘。」と
説明した上で、[余説]で湯本なぎさが次のように解説していたぞ∑( ̄ロ ̄|||)にゃんですと!?

    入相の鐘は和歌の世界では、恋人の来訪を告げる、心待たれる鐘である。・・・

「和歌の世界では、・・・」という言い回しに、メチャ既視感があるんだけど、とりあえず、引くのは
片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)の「いりあひのかね【入相鐘】」の説明(^^)

    『名義抄』が「日没」という漢字を「イリアヒ」とよませていることで意は明らかである。
    日没の頃に寺々でつく鐘の音のことである。「山寺の入相の鐘の声ごとに今日も暮れぬと
    聞くぞ悲しき」(拾遺集・哀傷・読人不知)「山里の春の夕暮来て見れば入相の鐘に花ぞ
    散りける」(新古今集・春下・能因)などが有名であるが、いずれもしみじみとした哀愁
    が感じられる歌である。

この片桐洋一の解説から、「恋人の来訪を告げる、心待たれる鐘」なんて読み取れますかねぇ(@_@;) 

ここで、初めて久保田淳(監修)『新 日本古典文学大系 別巻 八代集総索引』(岩波書店,1995)の
「歌語索引」の出番だウキウキ♪o(^-^ o )(o ^-^)oワクワク♪「いりあひ(入相)」は拾遺1329、後拾遺918、
詞花112、千載1154、新古今116、同1807、同1808、同1955の8首あったよヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪

当該歌を部類、作者、詞書、歌の大意とともに新日本古典文学体系(岩波書店)の各注釈書から引く(^^)
   
  ①拾遺和歌集(歌番号1329)哀傷 よみ人知らず

     題知らず

    山寺の入相の鐘の声ごとに今日も暮れぬと聞くぞ悲しき   

      山寺の日暮れ時の鐘の音が聞こえてくるたびに、
      今日も暮れたと思って聞くのが悲しいことだ。

  ②後拾遺和歌集(歌番号918)雑二 小一条院

     女のもとにてあか月鐘を聞きて

    あか月の鐘の声こそきこゆなれこれをいりあひと思はましかば

      晨朝の鐘の声が聞える。もうあなたと別れなければならない。
      これをあなたと逢う時刻を告げる入相の鐘と思えたらいいのになあ。

  ③詞花和歌集(歌番号112)秋 源兼昌

     霧をよめる

    夕霧にこずゑもみえずはつせ山いりあひの鐘のをとばかりして

      夕霧で梢さえも見えない。初瀬山は、山寺の入相の鐘の音だけがして。

  ④千載和歌集(歌番号1154)雑歌中 藤原有家朝臣

     大宰大弐重家入道みまかりて後、山寺懐旧といへる心をよめる

    初瀬山いりあひの鐘を聞くたびにむかしのとをくなるぞかなしき

      初瀬山で入相の鐘を耳にする毎に、父と過した昔の遠くなってゆくのが悲しい。     

           
  ⑤新古今和歌集(歌番号116)春歌下 能因法師

     山里にまかりてよみ侍ける

    山里の春の夕暮きてみればいりあひの鐘に花ぞちりける

      山里の春の夕暮を来て見ると、折から入相の鐘が鳴る中を
      花が散っていることだ。

  ⑥新古今和歌集(歌番号1807)雑歌下 和泉式部

    暮れぬめりいくかをかくて過ぎぬらん入相の鐘のつくづくとして

      日も暮れたようだ。幾日こうして過ぎてしまうのかしら。
      撞きつづける入相の鐘をつくねんと聞きながら。

  ⑦新古今和歌集(歌番号1808)雑歌下 西行法師

    待たれつる入相の鐘のをとすなりあすもやらば聞かんとすらん

      心待ちにしていた入相の鐘の鳴るのが聞える。もし明日も命があるなら、
      また聞こうと心待ちにすることであろう。

  ⑧新古今和歌集(歌番号1955)釈教歌 寂然法師

     此日已過 命即衰滅

    けふ過ぎぬいのちもしかとおどろかす入相の鐘の声ぞかなしき

      今日が暮れた。命もそれだけ衰滅に向かうと、
      はっと気づかせる入相の鐘の声が悲しい。

部類が「恋」なのは一つもないし、「いずれもしみじみとした哀愁が感じられる歌」じゃんかよ(-"-)
「恋人の来訪を告げる、心待たれる鐘」と解せるのは、8首中たった1首だけ、小一条院のだけなのに、
「和歌の世界では・・・である」と、よくもまぁ、断言できたもんだヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
不勉強か認知の歪みかは知らんが、何でも恋話に脳内変換しちゃう恋愛脳かよオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

上巻(1999年)も村上帝の時代は勅撰集『後撰和歌集』が編まれるなど和歌が盛んだった事実に触れる
べきなのに触れていなかったし(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2018-11-16 )、
どうも本書の訳注者たちは和歌に関する初歩的な知識が欠けてる気がヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!! 

冒頭のデジャ・ヴュ、思い出したぞ( ̄◇ ̄;) 小林大輔編『ビギナーズ・クラシックス 新古今和歌集』
(角川ソフィア文庫,2007)が、次のようなデタラメを書いてたんだヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

    和歌の世界では、「花」は桜の代名詞であった。

こーゆー屑本(⇒ https://yomunjanakatsuta-orz.blog.so-net.ne.jp/2016-01-30 )をありがたがって
読んだり、ネット上で他人に薦めている人々の頭の中は、お花畑なのかもねオホホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

タグ:古典 和歌
コメント(26) 
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コメント 26

美美

こんにちは
ブログアップ早々にコメントありがとうございます。
試行錯誤しながらほしいものを手に入れる、手に入れた時のうれしさ倍増でしょうね(^^)
今年もよろしくお願いいたします<(_ _)>
by 美美 (2019-01-09 16:45) 

middrinn

大検討を加えた上での購入にもかかわらず「しまった!」となっちゃうんですよね(^_^;)
美美様の読む人を笑顔にさせる文章と素敵な(ミミ様の)御写真、今年も愉しみ(〃'∇'〃)
by middrinn (2019-01-09 17:00) 

マーヤ

私は、送料を払うのが悔しいので、
ついでに余計なものまで買っちゃうという
お店屋さんの罠に、いつもハマっています^^:
by マーヤ (2019-01-09 18:23) 

middrinn

あかり様がきっと怪訝な表情で、
余計なものまで買ってしまった
マーヤ様のこと見てますよ^_^;
by middrinn (2019-01-09 18:31) 

センニン

こんばんは。
「入相」という言葉は使わないですねえ。
こちらで聞こえるのは少し離れたお寺の除夜の鐘くらいです。
ゴ〜ン、ゴ〜ン . . . 。
そんな名前の人がいますけど (^^;

どこかの新聞だったかが ゴーン ウィズ ザ マネー と書いていましたが、話題のゴーンさんの綴りは Ghosn なんですけどね。
by センニン (2019-01-09 19:35) 

middrinn

「入相」も「入相の鐘」も『大辞林』
初版第一刷には、載っています(^^)
スポーツ紙的なシャレ見出し(^_^;)
by middrinn (2019-01-09 19:41) 

そら

お寺なのに?恋人来訪??
ん〜やっぱり哀愁の方がしっくりくるなぁと!!
by そら (2019-01-09 20:12) 

ワンモア

何でも恋話に脳内変換しちゃう恋愛脳と聞いて、
なんでも性的なものに解釈するフロイトを思い出してしまいました^^
by ワンモア (2019-01-09 20:26) 

middrinn

夜間に女の家を訪問するので、
日没を告げる鐘は、その合図
という理解なんでしょうけど、
そら様はモチ昼間にカワセミ
さんを訪ねて行きますね(^^)
by middrinn (2019-01-09 20:32) 

middrinn

なんでも性的なものに解釈するフロイトと聞いて、
「ワタシの靴を舐めて謝りなさいよ!」を御実家で
ワンモア様がブログ検索されていた話を連想^_^;
by middrinn (2019-01-09 20:51) 

ニッキー

「こんな本」ってw
欲しい本なんですよね(⌒-⌒; )

初歩的な知識が欠けてても
和歌の訳注者になれるんですねぇ(°_°)
専門家さんが少ないのかな(*_*)
by ニッキー (2019-01-09 21:09) 

middrinn

だって内容に比して高いんですもんヾ(`◇´)ノ
湯本なぎさも上坂信男も『源氏物語』の研究者
らしく(なのに『枕草子』の訳注というのも
違和感ありますが)、和歌が頻出する『源氏
物語』を研究できてるのか疑問ですね(@_@;)
湯本や小林大輔など、国文学の若手研究者は、
失礼ですがレヴェルが低い気がします(-ω-、)
by middrinn (2019-01-09 21:29) 

ナベちはる

送料のために「不要なもの」まで買うと総計の方が高くなるので、それなら送料が掛かっても必要なものだけ買ってしまいますね…
by ナベちはる (2019-01-10 00:52) 

komako

日没にお寺の鐘が鳴るのに合わせて
カラスがカァーと鳴いて
山に帰る情景しか思い浮かびません。
私の脳は恋愛脳じゃないようです。
もう若くないからですかね。
by komako (2019-01-10 01:04) 

☆ミルキーウェイ☆

やはり、ネットでは一番お得に買いたいですもんね。
私も、送料がかかるとなるとちょっと悩んじゃって、結局要らないものまで買ってしまう派です^^;
「日没時につく鐘。」って、昔の人は夜の逢瀬しかしなかったのかなって思っちゃいました。
by ☆ミルキーウェイ☆ (2019-01-10 02:02) 

middrinn

そうなんですよねぇ(-ω-、) でも、
ナベちはる様、送料が掛かると、
損したような気分になります(..)
by middrinn (2019-01-10 07:00) 

middrinn

クッションカバーも出来たし、
次は帽子を編まれるなんて、
komako様は女子力が高いし、
クロ様と色んなところへと
お出掛けしててお若い(^^)v
by middrinn (2019-01-10 07:03) 

middrinn

送料無料にするため必要なものを抱き合わせに買う、
まとめ買いが一番いいのかもしれませんねぇ(^_^;)
当時は昼間の逢瀬がホントに無かったのかどうかを、
☆ミルキーウェイ☆様、調べて下さいよぉ~(^_^;)
by middrinn (2019-01-10 07:06) 

mimimomo

おはようございます^^
何かをネットで購入するとき、「送料」ってとっても気になりますね~
何だか払うのが勿体ないよな。購入するものが安ければなおさら。
「入相」の入った歌、何だかしみじみと寂しいですね~
あまり恋愛感情とは相いれない?
by mimimomo (2019-01-10 07:18) 

middrinn

送料無料に慣れ過ぎてて、送料がかかると損した気分に(^_^;)
「入相の鐘」は日没、お寺では勤行に入る時刻を告げる鐘ですし、
ウキウキワクワクという感じではないような気がします(^_^;)
by middrinn (2019-01-10 07:39) 

えくりぷす

「入相の鐘」が「恋人の来訪を告げる、心待たれる鐘」とは…
湯本なぎさという人が何故こんなことを書いたかが気になります。
「買うか迷ったら、迷う理由が値段なら買う」と誰かが書いていましたけど、私の経験では「買うか迷ったら、待ってみる」方が得だったことが多いように思います。
by えくりぷす (2019-01-10 09:47) 

middrinn

①湯本なぎさは万葉集だけが「和歌の世界」と信じてる万葉バカで、
(八代集に入ってない)万葉集で、そのような和歌があった(^_^;)
②湯本なぎさは、奥付略歴から『源氏物語』についての共著がある
ことから、『源氏物語』に出てくる和歌にそのようなものがあって、
「和歌の世界」でもそうなんだろうと自分勝手に思い込んだ(^_^;)
古本だと迷ってるうちに無くなることありますが新刊ですしね(^^)
by middrinn (2019-01-10 10:00) 

スーおばさん

こんばんは。
そういえば・・・最近は本を読んでいません。
このままだと頭がスッカスカになりそう。
本を安く買うという方法で、私の場合ですが生協の宅配で一緒に注文しています。
届くまで日にちが掛かりますけれど(絶対に明日は届かない)送料無料で5%引きになります。
あ・・・また、つまらぬことを書いてしまいました。
by スーおばさん (2019-01-10 18:53) 

middrinn

スーおばさん様、面白い(^_^;) 送料無料で5%引きは
大きいですよね(〃'∇'〃) 活用しないと勿体無い^_^;
by middrinn (2019-01-10 19:05) 

enokorogusa

限られた語釈・注釈での解釈に頼るのは怖いですね。
遅まきながら、middrinnさんのお話を読んでいてようやくわかってきました。
複数の解釈を比較するのもそれはそれで和歌を鑑賞する楽しみが増すかも。
by enokorogusa (2019-01-10 19:17) 

middrinn

一つの古典作品を読むのに一冊の訳注書に依存するのは危険かと^_^;
たとえ、どんなに詳しい注釈が施されていたとしても、ですよ(^_^;)
また紙幅の点で全ての語句の注釈がなされた本もないですから、やはり
各注釈書を読み比べて欠けている注釈を補い合う必要があるかと^_^;
by middrinn (2019-01-10 19:35) 

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