240413読んだ本
この人の本はブックオフに行く度に見かけたけど一度も手に取らなかった小生の予見能力( ̄^ ̄)エヘン
【読んだ本】
江橋崇『ものと人間の文化史189 百人一首』(法政大学出版局 ,2022)
長さん様から本書の存在を教わり(「221226昨日買った本&読んだ本」コメント)、また江橋崇が
遊戯史学会で活動していることも教わった記憶(^_^;) 江橋崇は大昔に法セミ(法学セミナー)誌で
知ったけど、憲法学の研究者は小生の中でイメージが悪く(例外もいて、すぐ思い付くのは橋本公亘
や奥平康弘かな)、また『百人一首』は和歌や歌人に関心があるだけで、カルタ(かるた)には全く
興味ナシオン主権なので、本書は読む気にならなかった(^_^;) 偶々手に取ってパラパラ眺めたら、
〈第1章 「百人一首歌かるた」の誕生〉の「2 関西に生じた乱気流」で吉海直人のことを取り上げ
てメチャ厳しく批判しているのに目が留まった(^_^;) 手元にある『百人一首』の注釈書等を見ると
吉海直人の論文や著書が引かれたり挙げられてて、『百人一首』に関する編著もあるので学界でも
それなりの地位を占めてるのだろうし、またブックオフの110円の雑本棚にメチャ通俗的なタイトル
の一般向けの文庫本が必ずあるから売れっ子なのだろう(^_^;) この節の冒頭(本書41~42頁)から
引く(^_^;)
/昭和五十九年(一九八四)末の私の発見と、その後の東京の研究会、「かるたを
かたる会」とその周辺での検討から五年ほど後、平成二年(一九九〇)に、同志社
女子大学教授の吉海直人は「百人一首歌かるた」の成立にも関わる「発見」を行い、
「平成最大の発見」としてその成果を誇示した。平成という年代が始まった直後に、
この年代の期間がその後何十年続くかも予測されないのに、その数十年を予見しても
これに勝る業績は出てくるはずがないという恐ろしい予見能力に驚いた。また、その
「平成最大の発見」が、誰かほかの研究者の仕事への評価であればまだしも、ご本人
の論文の自己評価だというのだから呆れた。そして、その高慢な自己評価の中で私の
仕事をそしられたのであるから、いい迷惑もあった。・・・
笑えるけど、こーゆーところが売れっ子になる所以なんだろうね(^_^;) ちなみに、この節の〆の件
には、「吉海は、結局、東京ではよく知られていた知見を、自分の新発見だと主張すること以外には
新しい学術情報の発見、報告に至らずに終わっていたのである。」(本書57頁)という一文が(^_^;)
〈第3章 初期「百人一首歌かるた」の遊戯法〉の〈3 「百人一首歌かるた」遊戯法の多様な発達〉
からも引いておきたい(本書188頁)(^_^;)
・・・平成十六年(二〇〇四)の[論文]「『花かるた』の始源と現在」で、吉海直人
は「漢詩かるた」が中国起源であると断定したうえて、それが日本の「いろはかるた」
の「ルーツなのかもしれない」と書いた。「漢詩かるた」が「いろはかるた」のルーツ
だというのはとんでもない方向違いの憶測で即座に否定されるが、その前提として
「中国の漢詩かるた」の存在を主張しているのには驚いた。「漢詩かるた」は江戸時代
前期(一六五二~一七〇四)、日本社会での新考案であって、日本文化の香りが高い
この「かるた」がそれ以前に中国に存在したことを示す史料は、日本にも、中国にも
まったく存在しない。そのようなことを主張した研究者は日本にも中国にもまったく
いない。「漢詩かるた」中国起源説は史料的な根拠のまったく存在しない論者固有の
ファンタジーであった。私は当時このことを厳しく指摘した。合せて、この論文で、
花札の牡丹に蝶の図柄は「中国の『荘子』に、荘周が夢で蝶となって牡丹に戯れたと
いう故事があり、おそらくそこから生まれた中国的な構図と見て間違いあるまい」と
した[吉海の]主張も、先人の研究によって、そもそも『荘子』では蝶となったとしか
書かれておらず、この故事が日本に伝来した後に、まず山吹などさまざまな花に戯れる
図像が生まれ、それが牡丹に戯れる図像に集約したのであり、「牡丹に蝶」の構図は
日本発祥であることが明確に指摘されているところを誤読し引用した、中国の古典に
暗く、先人の業績を学ばないで独善的な自説を述べる、二重の間違いと見て間違いある
まいと指摘した。それに対してこの論者は、一言の弁解もないままに、また一片の訂正
記事もないままに、花札の研究世界から退場した。・・・
その後「・・・この人が自己に固有の誤りを学界全体に存在した誤解のように取り繕って自己の責任
を回避したことと、[反省の弁も無いまま]日本起源説に改説・・・」した(本書189~190頁)こと
も紹介(^_^;) 騙されて、この人の本を買っちゃう人もいるから、カルタで騙る・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
【読んだ本】
江橋崇『ものと人間の文化史189 百人一首』(法政大学出版局 ,2022)
長さん様から本書の存在を教わり(「221226昨日買った本&読んだ本」コメント)、また江橋崇が
遊戯史学会で活動していることも教わった記憶(^_^;) 江橋崇は大昔に法セミ(法学セミナー)誌で
知ったけど、憲法学の研究者は小生の中でイメージが悪く(例外もいて、すぐ思い付くのは橋本公亘
や奥平康弘かな)、また『百人一首』は和歌や歌人に関心があるだけで、カルタ(かるた)には全く
興味ナシオン主権なので、本書は読む気にならなかった(^_^;) 偶々手に取ってパラパラ眺めたら、
〈第1章 「百人一首歌かるた」の誕生〉の「2 関西に生じた乱気流」で吉海直人のことを取り上げ
てメチャ厳しく批判しているのに目が留まった(^_^;) 手元にある『百人一首』の注釈書等を見ると
吉海直人の論文や著書が引かれたり挙げられてて、『百人一首』に関する編著もあるので学界でも
それなりの地位を占めてるのだろうし、またブックオフの110円の雑本棚にメチャ通俗的なタイトル
の一般向けの文庫本が必ずあるから売れっ子なのだろう(^_^;) この節の冒頭(本書41~42頁)から
引く(^_^;)
/昭和五十九年(一九八四)末の私の発見と、その後の東京の研究会、「かるたを
かたる会」とその周辺での検討から五年ほど後、平成二年(一九九〇)に、同志社
女子大学教授の吉海直人は「百人一首歌かるた」の成立にも関わる「発見」を行い、
「平成最大の発見」としてその成果を誇示した。平成という年代が始まった直後に、
この年代の期間がその後何十年続くかも予測されないのに、その数十年を予見しても
これに勝る業績は出てくるはずがないという恐ろしい予見能力に驚いた。また、その
「平成最大の発見」が、誰かほかの研究者の仕事への評価であればまだしも、ご本人
の論文の自己評価だというのだから呆れた。そして、その高慢な自己評価の中で私の
仕事をそしられたのであるから、いい迷惑もあった。・・・
笑えるけど、こーゆーところが売れっ子になる所以なんだろうね(^_^;) ちなみに、この節の〆の件
には、「吉海は、結局、東京ではよく知られていた知見を、自分の新発見だと主張すること以外には
新しい学術情報の発見、報告に至らずに終わっていたのである。」(本書57頁)という一文が(^_^;)
〈第3章 初期「百人一首歌かるた」の遊戯法〉の〈3 「百人一首歌かるた」遊戯法の多様な発達〉
からも引いておきたい(本書188頁)(^_^;)
・・・平成十六年(二〇〇四)の[論文]「『花かるた』の始源と現在」で、吉海直人
は「漢詩かるた」が中国起源であると断定したうえて、それが日本の「いろはかるた」
の「ルーツなのかもしれない」と書いた。「漢詩かるた」が「いろはかるた」のルーツ
だというのはとんでもない方向違いの憶測で即座に否定されるが、その前提として
「中国の漢詩かるた」の存在を主張しているのには驚いた。「漢詩かるた」は江戸時代
前期(一六五二~一七〇四)、日本社会での新考案であって、日本文化の香りが高い
この「かるた」がそれ以前に中国に存在したことを示す史料は、日本にも、中国にも
まったく存在しない。そのようなことを主張した研究者は日本にも中国にもまったく
いない。「漢詩かるた」中国起源説は史料的な根拠のまったく存在しない論者固有の
ファンタジーであった。私は当時このことを厳しく指摘した。合せて、この論文で、
花札の牡丹に蝶の図柄は「中国の『荘子』に、荘周が夢で蝶となって牡丹に戯れたと
いう故事があり、おそらくそこから生まれた中国的な構図と見て間違いあるまい」と
した[吉海の]主張も、先人の研究によって、そもそも『荘子』では蝶となったとしか
書かれておらず、この故事が日本に伝来した後に、まず山吹などさまざまな花に戯れる
図像が生まれ、それが牡丹に戯れる図像に集約したのであり、「牡丹に蝶」の構図は
日本発祥であることが明確に指摘されているところを誤読し引用した、中国の古典に
暗く、先人の業績を学ばないで独善的な自説を述べる、二重の間違いと見て間違いある
まいと指摘した。それに対してこの論者は、一言の弁解もないままに、また一片の訂正
記事もないままに、花札の研究世界から退場した。・・・
その後「・・・この人が自己に固有の誤りを学界全体に存在した誤解のように取り繕って自己の責任
を回避したことと、[反省の弁も無いまま]日本起源説に改説・・・」した(本書189~190頁)こと
も紹介(^_^;) 騙されて、この人の本を買っちゃう人もいるから、カルタで騙る・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
タグ:歴史
「漢詩かるた」の説で、かるたシスになったと(笑)。
「牡丹に蝶」と言えば、花札っ。
by tai-yama (2024-04-13 19:42)
流石にカタルシスまではね(^_^;) もし手に取ってれば、
バカチン百人一首が書けてたかもとは思いました(^_^;)
by middrinn (2024-04-14 05:18)
成立年代や、発祥地。特定地点への伝来元を間違えたら、
語り部世界では「売れっ子」でも、遊戯史界ではアウト。
あらためて身を引き締めて、ボケ気味の私も頑張らねば・・
by df233285 (2024-04-14 07:01)
吉海直人は遊戯史と舐めて遊び半分で執筆・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
遊戯史界と国文学界、出版業界で評価が異なるようで(@_@;)
by middrinn (2024-04-14 14:48)