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210923読んだ本

読書の厄介なところは、「碁打ちにとっては常識となっている」ことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本】

灰原薬『応天の門④』(新潮社BUNCH COMICS,2015)所蔵本

①巻で玉虫姫に側仕えをしていた5人の女房の内の1人である皐月が、本書の「第二十話 山科宮、山中
の笛の音に惑わさるる事」で次のように語っている〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    今 私がお仕えしている山科宮様は 元はやんごとなきご身分の方なれど 出家された身

    目がお悪いのもあり 私の見目など気にせず よくしてくださる すばらしい方です

    琵琶がお好きで 私の琴も褒めてくださいます

僧形の山科宮が「好きな琵琶を奏じて」おられる場面も本書は描いてる〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

山科宮とは、仁明天皇の第四皇子で光孝天皇の同母弟である人康(さねやす)親王(天長8=831年~
貞観14=872年)のことで、目が悪く、琵琶の名手だったので琵琶法師の祖という伝承もあるわけで、
本作品の描写が間違ってるわけではないのだが、『日本霊異記』を読んでて気になることが(@_@;)

『日本霊異記』上巻の19話、例えば、多田一臣(校注)『日本霊異記 上』(ちくま学芸文庫,1997)
の「碁」に付された語注(152頁)には次のような説明がある(@_@;)

    僧尼は博奕的行為や音楽などが禁じられていたが、碁と琴のみは許されていた
    (「僧尼令」)。

僧尼は娯楽を禁じられ、例外は「碁と琴のみ」なのに、どうして出家した人康親王=山科宮は琵琶を
演奏することが出来たのかな(@_@;) wikiの「僧尼令」の項によると、その施行状況は「・・・大同
元年(806年)には少僧都忠芬の奏上によって僧尼令が停止されて殺人・姦盗以外は仏教の戒律に基づ
いて処分することが認められているが、弘仁3年(812年)に旧に復している。・・・律令制が解体する
10世紀以後、次第に僧尼令の規定は形骸化していった。」とされていて、おそらく山科宮の時代には
効力があったはず(@_@;) 違反すると罰があることは、中山典之『囲碁の世界』(岩波新書,1986)
が次のように紹介している(@_@;)

    ・・・私ども碁打ちにとっては常識となっているのに、大宝律令の僧尼令というのが
    ある。/大宝年間といえば西暦七〇一年から七〇四年まで、今からザッと千三百年の
    昔に僧や尼に関する法律があり、それに碁のことが出てくるから面白い。原文には、
      「凡ソ僧尼ハ、音楽及ビ博戯ヲ作[ナ]サバ、百日ノ苦使。碁琴ハ制限在ラズ」
    とあり、博戯の下に「樗蒲[チョボ]、双六[スゴロク]ノ類ヲ謂フ也」と注がついて
    いる。/僧や尼にして音楽をやったりサイコロやスゴロク遊びをすると、百日の苦役
    に処す、というのだから当時の坊さんの戒律はきびしかった。但し、碁と琴だけは
    制限しない、とお許しが出ている。/・・・

「私ども碁打ちにとっては常識となっている」とあるが、ホントなら囲碁の棋士は教養人だな(゚ロ゚;)
タグ:漫画 歴史
コメント(10) 
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コメント 10

yokomi

将棋!?? 「応天の門」の新しい巻が待ち遠しいです(^_^;)
by yokomi (2021-09-23 22:02) 

爛漫亭

 琵琶法師というのはどうだったんでしょうね。
by 爛漫亭 (2021-09-23 22:16) 

ナベちはる

囲碁と琴だけよくてそれ以外は厳しい罰があるとは、不思議ですね。
by ナベちはる (2021-09-24 01:19) 

middrinn

「将棋」の話なんか、一体どこにあります?
yokomi様も読まずに駄コメですか(^_^;)
by middrinn (2021-09-24 05:47) 

middrinn

「律令制が解体する10世紀以後、次第に僧尼令の規定は形骸化していった。」と、
爛漫亭様、引用した件に琵琶法師の時代は該当するかと小生は愚考します(^_^;)
by middrinn (2021-09-24 05:49) 

middrinn

どうして、「碁と琴」が選ばれたのか、
ナベちはる様、気になります(^_^;)
by middrinn (2021-09-24 05:50) 

df233285

橘中之楽の仙人ゲーム物語りに有るように、囲碁・将棋は唐の
時代の昔から、物品を大量に賭けるので。寺での修業を疎かに
するどころか、道具をかたに賭けて失う下っ端層が続出し、
平安時代末から鎌倉時代にかけても、厳しく戒律で禁止された
ようですね。今じゃ方々でスペシャリスト集団が≪公益社団法人≫
名乗っているけどね。
by df233285 (2021-09-25 09:10) 

middrinn

碁聖と言われた寛蓮法師が醍醐帝と碁で賭けをする説話がありますが、
手元にある『今昔物語集』『古事談』『古今著聞集』の各注釈書では、
僧尼令の上記規定には全く触れてません(^_^;) 「博戯」禁止なのに、
賭け碁はOKというのは、流石におかしいような気がします(^_^;)
by middrinn (2021-09-25 14:08) 

tai-yama

琵琶って目の悪い人には弾きやすい楽器なのかな?難しそうに
見えるけど・・・。音楽を聴きながら双六をする破戒僧も居たかも。
by tai-yama (2021-09-25 18:24) 

middrinn

たしかに、どうして琵琶なんでしょうね(@_@;)
「百日ノ苦使」を倍でオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
by middrinn (2021-09-25 18:46) 

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