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210821読んだ本

読書の厄介なところは、参照すらしてない文献を記述から割り出せる本である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
参照すらしてない文献なら幾らでもあ・・ヘ(__ヘ)☆ヾ( ̄ヘ ̄; )参照すべきなのにしてない文献のことだ!

【読んだ本】

滝川幸司『菅原道真 学者政治家の栄光と没落』(中公新書,2019)

菅原道真が右大臣から大宰権帥に左遷された一件(昌泰の変)に関連して本書に次の記述が(´・_・`)

    ・・・/[昌泰4年(901年)]正月二七日、左遷の除目が行われた。表5-1の通り
    である。/・・・身分が低く事績がわからない人物が多いなかで、源敏相[としみ]
    は吉野宮滝御幸に参加しており、・・・

本書230頁の「表5-1」に元職が左衛門佐で左遷後は但馬権守と記されてる源敏相は菅原道真の女婿
だった可能性があるのに、この本書229頁の記述と本書巻頭の「菅原氏系図」を見る限り、滝川幸司は
全く言及してない( ̄◇ ̄;) そんな論点があることすら滝川幸司は御存知ないのかもヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

片桐洋一『日本の作家7 恋に生き 歌に生き 伊勢』(新典社,1985)から伊勢タンの家集『伊勢集』に
載る2首(歌番号16&歌番号17)とのその訳を引く〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

        人かずともせぬに、そひて、心ざしいと深くありて、文おこすれど、
        返[かへり]ごともせざりければ、

    一六 否諾[いなせ]とも言ひ放たれずうきものは身を心ともせぬ世なりけり

        とばかり言ひて、止[や]みにけり。
        かくて、世に騒ぎ出て来て、大臣も流されたまひける。
        聟[むこ]にて兵衛の佐より但馬の介にその人も流されにけり。
        たよりのありければ、近くてはさ思ひて止みにしを、
        「かく遠くなりたまふがあはれなること」と言ひにやりたりければ、
        返りごとに、かくなむ。

    一七 かけて言へば涙の川の瀬を早み心づからやまたはなかれむ

        問題にもしていないのに、ずっとやって来て愛情の深いことを示す男があって、
        いつも手紙を寄こすのだが、返事もしないので、どうしようもなくなった男は
        こう言って来た。

       いやだとも、いいとも、あなたからお言葉がいただけないのです。
       あきらめなければならないことはわかっているのですが、つらいことに、
       私の身が心の命ずるままに働かない現在なのです。

        とだけ言って、結局そのままになってしまった。
        このようにしているうち、世の中に騒乱[さわぎ]がおこって、大臣も流罪に
        なってしまわれた。この男も大臣の聟であったので、兵衛佐から但馬介に
        流されてしまった。たよりがあったので、近くにいる時は前述のように
        恋人の数にも入れずにいたので、返事もせずに、そのままになっていたのだが、
        「このように遠くにおなりになったのは悲しいことでございます」と
        言い送ったところ、返事の歌として次のように言って来たのである。

       お心にかけてたよりをいただきましたので、感激のあまり私の涙川の瀬を
       水が早く流れまして、そんなやさしい方と結ばれないことを思って、
       おのずからにまた泣かれてしまうことでございます。

「この男」とは源敏相であると、片桐・前掲書、秋山虔『王朝の歌人5 伊勢』(集英社,1985)、清水
好子『王朝女流歌人抄』(新潮社,1992)、犬養廉&後藤祥子&平野由紀子(校注)『新日本古典文学
大系28 平安私家集』(岩波書店,1994)所収の平野由紀子(校注)『伊勢集』、関根慶子&山下道代
『私家集全釈叢書16 伊勢集全釈』(風間書房,1996)、秋山虔&小町谷照彦&倉田実『日本古典評釈
・全注釈叢書 伊勢集全注釈』(角川書店,2016)は指摘し、平野・前掲書以外は源敏相を「大臣」=
菅原道真の「むこ」(女婿)と紹介している( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ 『伊勢集』の伝本は三系統あるも詞書に
「むこにて」と入ってないのは西本願寺本だけで、西本願寺本を底本としている関根&山下・前掲書
や秋山&小町谷&倉田・前掲書ですら他の二系統の詞書には「むこにて」とあり道真の女婿であると
紹介しているC= (-。- ) フゥー 本書を読んだ限りでは、滝川幸司は国文学者らしいが、本書は〈宇多朝
の和歌〉についても『伊勢集』すら披かずに論じてて、理解に苦しむ∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?
タグ:評伝 歴史 和歌
コメント(8) 
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コメント 8

ナベちはる

>滝川幸司は全く言及してない
本当に論点を知らなかったのか、論点に触れると都合が悪いのか…どちらにしても、いい印象は持たないです((+_+))
by ナベちはる (2021-08-22 01:31) 

middrinn

滝川幸司は、知っていたけど、言及する価値が無かった、と考えたとしても、
多くの研究者が言及しており一顧だに値しないとは思えないのですが(^_^;)
by middrinn (2021-08-22 05:35) 

そら

昔は手紙も歌だったんですねぇ
それだけ生活の一部だったんだって思いました。
by そら (2021-08-22 08:23) 

middrinn

メッセージがちゃんと伝わったのか心配ですが、
色々と読み込めるお蔭で、深くなるかも(^_^;)
by middrinn (2021-08-22 08:40) 

ネオ・アッキー

middrinnさんこんにちは。
読者によって、参照を必要とする人としない人がいるのでは・・・ と考えてしまいました。
by ネオ・アッキー (2021-08-22 16:36) 

middrinn

著者にとっての話です(^_^;) 著者が本来参照すべき文献を参照して
ないから、間違った記述をしてしまっている、という話です(^_^;)
by middrinn (2021-08-22 16:58) 

tai-yama

私が左遷されたとしても泣いてくれる人はいない・・・
むしろ「ざまぁみろ!」と言う人はいっぱいいる(笑)。
by tai-yama (2021-08-22 23:30) 

middrinn

伊勢タンのように今までレスもくれなかった
女性から、メールぐらいは来ますよ(^o^)丿
by middrinn (2021-08-23 05:55) 

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