SSブログ

210807読んだ本

読書の厄介なところは、自分をよく見せようとしてるブログ等公開日記である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)

【読んだ本】

今泉忠義『源氏物語 全現代語訳(四)―賢木 花散里 須磨―』(講談社学術文庫,1978)所蔵本

承前(^o^)丿 菅原道真が詠んだ「秋月に問う」と「月に代りて答う」は、白居易に倣い「・・・詩人
がまず月に向かって問いかけ、そしてそれに対する月の答えも詩人が詠んだもの」と藤原克己『菅原
道真 詩人の運命』(ウェッジ選書,2002)にあり、同書から「秋月に問う」の第四句と訳を引く(^^)

    被浮雲掩向西流  

    浮雲[ふうん]に掩[おお]われて西に向きて流るるはやと

    いま浮雲におおわれて西に向かって流れてゆくのは、いったいどうしたわけなのだ
    (ひょっとして君も左遷か?)

「この浮雲は、讒言の暗喩となっています。」と同書は注し、川口久雄(校注)『日本古典文学大系
72 菅家文草 菅家後集』(岩波書店,1966)も、「浮べる雲に掩はれて西に向ひて流る」(522頁)と
して、補注(菅家後集)510で(返り点は略すが)〈古楊柳行に「讒邪害公正、浮雲翳白日」とある。
佞者が君主の明を覆うことの喩え。文集にしばしばみえる。・・・〉(739頁)と解説してる(⌒~⌒)

西へ行く月を西方浄土と結び付けて羨ましがる歌が『後拾遺和歌集』の頃から見えるという話を昨日
書いたが、菅原道真(モチ『後拾遺和歌集』より遥か前の『古今和歌集』時代の人)は西へ行く月を
左遷と結び付け、極楽どころか生地獄行き(゚ロ゚;) 川口・前掲書の補注510(739頁)に〈曹植の楽府に
「光景馳せて西流す」とある。日月星辰までも西流することは、太宰府に流されたことも含む。〉と
あるから、月に限らず太陽までも西に向かうとして左遷と結び付けることもあったのかしら(@_@;)
などと暫し思案するも、「月に代りて答う」の第四句を藤原克己・前掲書の訳とともに引く(⌒~⌒)

    唯是西行不左遷

    唯だ是れ西に行くなり 左遷にあらず

    私はただ西へゆくだけだ。左遷ではないよ。

「ただ西へゆくだけ」は「左遷ではない」だけでなく、やはり西方浄土とも関係ないのだろう(^_^;)
んで、この詩句が後世に与えた影響として、藤原克己は次の例を挙げる〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    なお、この詩も『源氏物語』須磨巻に、次のように引用されています。

      入り方の月影すごく見ゆるに、(光源氏は)「ただこれ西に行くなり」と
      ひとりごちたまひて、

       いづかたの雲路にわれもまよひなむ月の見るらむこともはづかし

ちなみに、この「いづかたの」の歌を、本書は次のように訳している〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    自分はこれからどちらの空に迷って行くことだろう。あの西へ西へと迷わずに行く月は、
    何と思って自分を見ていることだろう。そう思うと月に対しても顔が隠したくなるくらい

紫式部は、歌人としては『後拾遺和歌集』が初出だし、宮崎莊平(全訳注)『紫式部日記(下)』
(講談社学術文庫,2002)の訳だと「・・・(私は)ただ阿弥陀仏をひたすら信じて、お経を習いま
しょう。・・・今はただ、極楽浄土のことばかり考えているのです。・・・」と記してたわけだから、
道真の「唯だ是れ西に行くなり」に、月は西方浄土に向かっているとか思わなかったのかな(@_@;)
紫式部は地獄に堕ちたと『今鏡』にあるし、日記に書いたほどの信仰心は実は無・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
タグ:和歌 古典
コメント(10) 

コメント 10

ナベちはる

ブログとかSNSは、良いところしか見せないというのが多いですよね(^^;
だからこそ、「ブログ疲れ」や「SNS疲れ」が起こるのだろうなと感じます。無理しても良いことないのになと思います…
by ナベちはる (2021-08-08 01:08) 

yokomi

その『今鏡』、読んでみたいです(^_^)v 無~理(^_^;)
by yokomi (2021-08-08 01:21) 

middrinn

ナルホド!( ̄◇ ̄;) その分析は当たっているように思えます(^_^;)
ナベちはる様、他のブログと競ったりして、更に精神的に疲弊(^_^;)
by middrinn (2021-08-08 06:04) 

middrinn

竹鼻績(全訳注)『今鏡(下)』(講談社学術文庫,1984)で、
yokomi様、「紫式部堕獄説」はフツーに読めますよ(^_^;)
by middrinn (2021-08-08 06:07) 

そら

暦の上ではもう立秋なんですよねぇ
それにしても毎日暑い(^^;
秋の月かぁ、鈴虫の音色が聴こえてきそうですね(^^)
by そら (2021-08-08 12:08) 

middrinn

藤原敏行「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」
にもあるように、景色からは秋が来ていることは判り難いですね(^_^;)
それにしても残暑が厳しくて、少し涼しい今日は台風に感謝かも(^_^;)
by middrinn (2021-08-08 13:06) 

ネオ・アッキー

middrinnさんこんにちは。
残暑お見舞い申し上げます。
極楽浄土は西の方角だと言われていますが、本当なのでしょうか・・・?
by ネオ・アッキー (2021-08-08 16:54) 

middrinn

信じている人にとっては本当でしょう(^^) 小生には分りませんけど(^_^;)
この台風が過ぎると再び厳しい残暑、くれぐれもご自愛くださいませ(^o^)丿
by middrinn (2021-08-08 17:21) 

tai-yama

やばい自分のこと(ブログ)かもしれない(笑)。
道真に信心があれば、大宰府にも喜んでいったのかも。
自分が貴族なら「都にいるより極楽じゃん」と思ったり。
by tai-yama (2021-08-08 23:42) 

middrinn

道真は配所で厳しい生活を送らされたので極楽気分には(^_^;)
道真は儒者ですし、当時は浄土信仰はどうなんでしょう(@_@;)
by middrinn (2021-08-09 05:57) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。