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210805読んだ本

読書の厄介なところは、おそらく全ての辞書・事典の説明が誤りなことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)

【読んだ本】

小泉弘&山田昭全&小島孝之&木下資一(校注)『新日本古典文学大系40 宝物集 閑居友 比良山古人霊託』(岩波書店,1993)

ネットで「宝物集」と検索して出る代表的な辞書・事典は全て「仏教説話集」とするが、本書巻末の
山田昭全「宝物集 解説」の「一 『宝物集』あらすじ」に続く「二 叙述の方法」の冒頭は次の通りで
ある(本書509頁)∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですとぉ!?

    /『宝物集』を仏教説話集の中に分類することが一般化している。しかし、
    右のあらすじを見てもわかるとおり、『宝物集』はれっきとした筋書をもつ
    物語になっている。冒頭嵯峨清涼寺の釈迦像から語りはじめ、末尾も「この僧、
    かたりはてて、珠数をしすりて、「南無大恩教主釈迦尊、後世をたすけたまへ」」と、
    本尊釈迦如来に礼拝、祈願することをもって結んでいる。明らかに首尾相応を
    意識した結び方で、著者ははじめから一編の物語を作ることを意図してこうした
    レトリックを使ったものと思われる。言いかえれば、この作品は、『今昔物語集』
    『発心集』『私聚百因縁集』などのように、一つ一つ完結した説話を寄せ集めた、
    いわゆる仏教説話集ではなく、むしろ作り物語の手法を使って、全体を立体的に
    組み合わせた単一の物語だったのである。/・・・

小生的に興味深いのは本書所収の小泉弘&山田昭全(校注)『宝物集』は七巻本だが、和歌が428首も
引かれてて(脚注に歌の訳と注釈等も少々)、まるで詞華集=アンソロジーのようで、巻末「付録」
に「『宝物集』和歌他出一覧」「『宝物集』歌人解説」「『宝物集』和歌初句索引」ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
本文には次のような記述もあり、脚注の歌の訳&注釈等と注9も合わせて引く(本書8頁)(⌒~⌒)

    ・・・

                                 藤原範永

      住[すむ]人もなき山里の秋の夜[よ]は月の光もさびしかりけり

    [藤原]公任の大納言の「範永たれの人ぞ、和歌の道に名をえたる人哉」と
    ほめ給ふは此[この]うた也。

                                 ・・・

       住む人もいない山里の秋の夜は、澄んだ月の光もどこかさびしそうだ。
       「住」に「澄む」を掛ける。遍照寺での詠。

       袋草紙・上・雑談に、公任が激賞した話がみえる。

このような歌論書みたいな件もあるわけだし、仏教説話集でないなら和歌説話集・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
タグ:和歌 説話
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

ものすごい山奥の秋の月はとっても明るいですよ~。
色々な動物もいるので(鳴いているので)寂しくないっ!
むしろ怖い・・・・鹿とか猿とか熊とか。
by tai-yama (2021-08-05 23:37) 

ナベちはる

今でも新しい言葉が出てきたり言葉が間違われて使われていることもありますし、「実はこんな意味もあった」なんてこともひょっとしたら考えられるので、正しい辞書・事典の説明があったら見てみたいです(^^;
by ナベちはる (2021-08-06 01:20) 

middrinn

動物は月を愛でないし、月を見る人がいない以上は、
tai-yama様、やはりお月様もさびしいかと(^_^;)
by middrinn (2021-08-06 05:32) 

middrinn

辞書は言葉の正しい用法の規範となるべきか、
ナベちはる様、間違っている用法でも社会で
使われている用法をも載せるべきか(^_^;)
by middrinn (2021-08-06 05:34) 

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