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210804読んだ本

読書の厄介なところは、脇役なのにメチャ魅力あるよう描かれた作品である〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
その脇役を主役とした作品を読みたくなってしまうではないか(ノ ̄皿 ̄)ノセキニントレヨナ!┫:・’.::

【読んだ本】

新潮社編『歴史小説の世紀 天の巻』(新潮文庫,2000)

新田次郎『武田信玄 山の巻』(文春文庫,1974)に次のような件がある〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/馬場美濃守は手兵三千を率いて神増附近に陣を布いた。馬場美濃守の警戒網に、
    敵の物見と思われる男が捕えられた。この男の口から、徳川家康の家来内藤信成が二百人
    ほどの乱破を率いて、この附近まで来ていることが分った。/「内藤信成だったのか」/
    馬場美濃守の報告を聞いて信玄は大きく頷いた。家康の家臣団の中にあって、もっとも
    気の利いた男だと信玄が眼をつけていた内藤信成が乱破を指揮しているとなると注意
    せねばならなかった。/・・・

こんな風に描かれると、内藤信成が気になっちゃうけど、脇役ゆえ同作品では活躍しない(´ヘ`;)

新田次郎『武田信玄 火の巻』(文春文庫,1974)でも北条氏からの使者について次の描写が( ̄◇ ̄;)

    ・・・/信玄はそう云う大導寺義継の顔を見ていた。頭の廻転の速い男だなと思った。
    信玄の考えていることを推測して先へ先へと云うあたり油断のならない男だと思った。
    /・・・

この大導寺義継も、このシーンにしか登場しない脇役だが、メチャ気になるじゃねーかヾ(`◇´)ノ

    ・・・/二俣城が落ちると、城将及び城兵はすっかり入れ替わった/新しく二俣城主を
    命ぜられた依田信蕃は、信玄の前で/「この身のあるかぎりは二俣城は健在だと
    おぼしめしてくだされ」/と云った。/・・・

と新田次郎『武田信玄 山の巻』(文春文庫,1974)に登場する依田信蕃は新田次郎『武田勝頼(二)
水の巻』(講談社,1970)で、

    ・・・/家康は自ら大軍を率いて二俣城を囲んだ。だが、この城が堅城であることは
    家康自身がよく知っていた。/依田信守は剛直な武士だったが、信蕃は父以上に
    豪勇無双な武士であり、その家来にも、豪傑が揃っていた。/・・・

と籠城戦で活躍後は駿河国の田中城主になるが、新田次郎『武田勝頼(三)空の巻』(講談社,1970)
に次のような叙述がある(⌒~⌒)

    ・・・だがその時、更に悪い知らせが入って来たのである。徳川軍が織田軍と呼応して
    進軍を開始し、二月二十日に藤枝にある田中城を攻め名将依田信蕃を降伏させ、二十一日
    には駿府城をも占領したという報であった。/二俣城を守って奮戦したあの勇将依田信蕃
    がほとんど戦わずして、徳川家康に降伏したことが勝頼には考えられないことだった。
    ・・・

    ・・・/二月二十日に田中城の依田信蕃が戦わずして家康に降伏し、二十一日には
    駿府城も降伏したというのは、おそらく、降伏したのではなく、降伏せよと、
    穴山梅雪に命令されたものであろう。そうでなければ依田信蕃ともあろうものが、
    そう簡単に城を空[ママ]ける筈がなかった。田中城も駿府城も穴山梅雪の配下に
    あった。/・・・

依田信蕃という名前が頭に完全にインプットされ気になっていたわけだが、〈その後〉については、
平山優『武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望 天正壬午の乱から小田原合戦まで』(戎光祥出版,2011)
で知った(⌒~⌒) 本書に収録されている佐藤春夫「戦国佐久」が依田信蕃を主役級で描いていたので
読んだ(^^) 本書は〈戦後傑作短篇55選〉と銘打つも「傑作」とは思えない作品も収録していることは
昨日論じた通りだが、巻末の秋山駿&勝又浩&曾根博義&縄田一男による座談会「歴史小説から日本
人を考える」で「佐藤春夫の世話になった井上靖が賞讃している作品です。」(曾根)といった発言
(本書783頁)は如何なものか(^_^;) 「傑作」かどうか何とも言えぬが、小生は読んで満足(⌒~⌒)

・芥川賞候補作にならなかったが発表時に「芥川の再来」と絶賛された三浦朱門「冥府山水図」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-07-07

・結末に驚くも「特異な精神を持った男の自殺を描いた」由、五味康祐の芥川賞受賞作「喪神」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-07-10
タグ:小説
コメント(8) 
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コメント 8

tai-yama

漫画だと敵役やライバルのスピンオフ作品があったり・・・
一夢庵風流記の前田慶次も普通でいけば脇役。
by tai-yama (2021-08-05 00:03) 

ナベちはる

スピンオフ作品、声が挙がれば作られることもあると思うので声を挙げないといけないですね!
by ナベちはる (2021-08-05 01:26) 

ネオ・アッキー

middrinnさんおはようございます。
アニメなどでは、脇役に主題を当てた作品が出たりしますが、意外と脇役の方が有名な声優を起用していたりするので、尚更、興味を持ってしまったりすることがあります。
by ネオ・アッキー (2021-08-05 04:56) 

middrinn

海音寺潮五郎が『戦国風流武士』(文松堂,1942)→『戦国風流武士』
(富士見書房時代小説文庫,1990)→同『戦国風流武士 前田慶次郎』
(文春文庫,2003)と出し、1989年の隆慶一郎『一夢庵風流記』より、
tai-yama様、早く主役にしてます(^_^;) まさに脇役なのに(^_^;)
by middrinn (2021-08-05 12:38) 

middrinn

ナルホド!( ̄◇ ̄;) ただ、新田次郎は既に故人ですので、
ナベちはる様、新田次郎のを読んでみたかったです(^_^;)
by middrinn (2021-08-05 12:40) 

middrinn

脇役にベテランの有名な声優を起用する目的は、
ネオ・アッキー様、「脇を固める」かな(^_^;)
by middrinn (2021-08-05 12:44) 

yokomi

朝ドラも同様、主人公の妹と主人公の同級生の恋物語、そして気象キャスターとTV局の気象デスクとの間には...とか、いろんな物語が掛けそうな....(^_^;)
by yokomi (2021-08-05 13:40) 

middrinn

一瞬しか登場しないのに魅力的な人物のように描かれているので、
その人物のことが知りたくなってしまう、という論旨です(^_^;)
by middrinn (2021-08-05 13:54) 

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