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210518読んだ本&拾った本

読書の厄介なところは、指摘が舌足らずなのを見抜けないことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
図書館蔵書だったとは思えない本が御自由にお持ち下さいとしてリサイクル本コーナーに(@_@;)

【読んだ本】

朧谷寿『清和源氏』(教育社歴史新書,1984)所蔵本

鈴木眞哉『戦国武将のゴシップ記事』(PHP新書,2009)が、「・・・常陸守、上総守、上野守だけは
いなかった。それはなぜかというと、この三か国は、慣例的に親王(天皇の皇子たち)の任国とされ
ていたからである。」(同書159~160頁)として〈・・・勝海舟も和歌を「松平上総守」から学んだ
と語ったことが『氷川清話』の冒頭にある。これは高家の旗本で、自身は刺客としても知られていた
松平上総介忠敏のことであるが、幕臣が「上総守」などということはありえないし、海舟も自分の
師匠のことを語るのに間違えるはずはない。[『氷川清話』の]編者の吉本襄の勘違いであることは
明らかである。〉(同書161頁)と断じていたので、勝海舟(勝部真長編)『氷川清話 付勝海舟伝』
(角川文庫,1972)で確認し、「かずさのかみ」とルビを付けている勝部真長も・・・(@_@;)と前に
書いたが(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-11-13 )、大昔に読んだ本書の
「1 源 満仲 ──多田荘開発の領主──」の中の「満仲の官職と国守歴任」という見出しの節に次の
記述が( ̄◇ ̄;)

    ・・・この後、越前守を歴任し、天元五年(九八二)春には常陸介になっていた。
    越前守のあとに常陸介というのは、一見、降格したようであるが、けっして
    そうではない。常陸国は親王任国であって国守には親王が任ぜられるけれど、
    これは遥任の官で、任国での実質上の最高責任者は次官の介であった。
    親王任国である上野・上総・常陸の三国について、文献に介のことを
    守と記載されている例があるのは、そのことを物語るものである。/・・・

「常陸守、上総守、上野守だけはいなかった」のに、「上野・上総・常陸の三国について、文献に介
のことを守と記載されている例がある」とは( ̄◇ ̄;) 昨日購入した官職に関して「定評」(←追記
した)のある和田英松(所功校訂)『新訂 官職要解』(講談社学術文庫,1983)の出番である(^o^)丿

先ず『新訂 官職要解』の「第四章 平安時代 四九 国司」の「守」の項を読み進めると次の説明(^^)

    ・・・/諸国のうちでも上総、常陸、上野の三ヵ国は親王の任国として、その長官を
    太守と申した。しかしながら、皇族方であるから、赴任はなさらないで、ただ俸給
    ばかりとっておられたから、欠員があっても俸給は他に使わずして、無品親王方の
    御入用にあてたのである。この三ヵ国を親王の任国としたのは、淳和天皇の御代から
    始まったのである。そのころ宮様が多くいらせられたので、それぞれの御手当が
    十分に差し上げられないから、できたのであろう。・・・

親王任国とされたのは嵯峨上皇が子沢山だったからか(^_^;) んで、「介」の項でピンポーン(^o^)丿

    ・・・/介 次官で、スケとよむ。職掌は、すべて守と同じことで、守がいないときは
    介が国の吏務を総裁したのである。ことに上総、常陸、上野の三ヵ国は、親王の任国で
    あるから、いつでも介がもっぱら政務をとっていた。・・・それゆえ、まるで守と同様で、
    ちょうど太宰大弐を帥といったのと同じように、この三国の介をば守[かみ]ともいった
    のである。その例は、[源俊頼の家集の]『散木奇歌集』に「常陸守経兼」と見え、
    『平家物語』に「上総守平忠清」と見え、『源氏物語』東屋の巻にも、常陸介を守と
    いったことが見えている。そのほかにも、親王でなく、ただの人を三国の守としるした
    ものがあったなら、いずれも介と見てよろしい。/ただし、『源氏物語』に、伊予介を
    守といった例があるのを見ると、この三国ばかりでなく、他の国でも介を守といった
    ものとみえる。[勅撰集の]『詞花和歌集』の詞書にも「参議[藤原]広業たえてのち、
    伊予の守に下りけるに、つかはしける。」とあるのを、『公卿補任』に、寛弘七年
    (一〇一〇)二月十六日、「伊与介(受領)を兼ぬ。弁を止む。」としてある。これに
    よって見ると、受領であったから守といったので、『源氏物語』のも、そういうような
    ことであろう。/・・・

常陸守、上総守、上野守と書かれることがあったというわけで、説得力はあるし、特に、「ただし」
以下の目配りは心憎いね(〃'∇'〃) ただし、『詞花和歌集』の例証にはチト気になる点が(@_@;)

菅根順之『笠間注釈叢刊10 詞花和歌集全釈』(笠間書院,1983)は民部内侍の当該歌の【鑑賞】で、

    ・・・/広業は、寛仁四年(一〇二〇)参議、翌治安元年[1021年]伊予権守を
    兼ねているのでこの頃の歌であろう。しかし、この歌は三奏本『金葉集』に作者を
    民部内侍とするが、資業を恨んだとする。資業は広業の弟で、式部大輔、長暦三年
    (一〇三九)伊予守を兼ねているので、あるいは資業宛のものであろうか、井上
    [宗雄]氏は恨んだ相手は広業、資業いずれとも決し難いといわれる。/

としてるし、松野陽一(校注)『和泉古典叢書7 詞花和歌集』(和泉書院,1988)の当該歌の補注も、

    /三奏金葉詞書は「資業(広業弟)伊予へくだりける時よめる」とする(・・・)。
    井上注は、広業は寛弘七年(一〇一〇)伊予介、治安元年(一〇二一)伊予権守、
    資業は長暦三年(一〇三九)伊予守の経歴のあることを確認し、歌の相手はいずれとも
    決し難いとする。/

と同様の解説をしてるし、一応引いとくと、工藤重矩(校注)『詞花和歌集』(岩波文庫,2020)も、

    〇伊予の守 広業は寛仁五年(一〇二一)に伊予権守を兼任。

と語釈で解説(新日本古典文学大系本では無い)(@_@;) 所功は「校訂」しろオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

【拾った本】

澤井健『映画秘宝COLLECTION49 スターすっぱだか列伝《女優編》2006-2012』(洋泉社,2013)

鉛筆で線引きが少々、ドッグイア=角折れが数箇所、割れが数箇所あり外れる箇所もあるとはいえ、
全体的にキレイで、図書館の所蔵資料だったようには全く見えないのだが、リサイクル本コーナーに
置かれてたから貰ってきた(^_^;) 澤井健はホント外国人女優をキレイに描くねぇ(〃'∇'〃) でも、
似てない気が・・ヘ(__ヘ)☆\(^^; 昔ちゃんと読まなかった『イオナ』をメチャ読みたくなった(^_^;)
タグ:歴史 和歌
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

千葉県知事は実は親王だったと。副知事は介で、副知事の下には
スケスケが居たり。
by tai-yama (2021-05-18 23:32) 

ナベちはる

蔵書とは思えない本が図書館にあったうえにリサイクルコーナーに置いてあって…角や割れが数か所あるとはいえ、ラッキーでしたね☆彡
by ナベちはる (2021-05-19 00:26) 

middrinn

船橋のランパブ「シースルー」の女のコたちが、
tai-yama様が最近来ないと・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
by middrinn (2021-05-19 06:11) 

middrinn

しかも、面白そうな内容の本だったので、
ナベちはる様、ラッキーでした(^_^;)
by middrinn (2021-05-19 07:07) 

爛漫亭

 そういえば赤穂浪士も吉良上野介でしたね。
by 爛漫亭 (2021-05-19 09:15) 

middrinn

三介(弐キ参スケみたいですが)の中で一番有名ですかね(^_^;)
上総介広常、織田上総介もかなり知られている感じですが(^_^;)
by middrinn (2021-05-19 09:36) 

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