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230524読んだ本

「私たちが生きている世の中よりも深くて、ほんとうのものが、すぐれた文学にあるという気がした
。」と本書193頁にあるが、「すぐれた文学」作品にはなかなか出遭えない〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
いいところで終わってしまい、続きが気になる、続きが読みたかったという作品は評価に困る(^_^;)
それほど歩かなかったけど、特急やバスに座ってた時間が長かったから、メチャ足が痛いぞ(´ヘ`;)

【読んだ本】

和田芳惠『和田芳惠全集 第三巻 長篇小説』(河出書房新社,1978)

本巻には、直木賞受賞作である『塵の中』と日本文学大賞受賞作の『暗い流れ』が収録されていて、
『暗い流れ』を読了(^o^)丿 保昌正夫「作品解題」の一節(本書310~311頁)を引く_φ( ̄^ ̄ )メモ

    ・・・/「暗い流れ」については、多くの文芸時評がこれを採り挙げたが、和田が
    「自伝抄」に、「『文芸』の『暗い流れ』の連載を終え、毎日新聞の文芸時評で、
    大きく採りあげてくれた。私は読んでいるうちに、ちょっと、めまいがしたほどで
    あった。筆者は江藤淳であった」と書いている。それ(昭和五十一年[1976年]
    十二月二十三日、『毎日新聞』夕刊所載)は、つぎのようなものであった。

       この作品で、和田氏が〝暗い流れ〟と呼んでいるのは、おそらく性のことで
      あろう。そして性を「多数者の力」をもって文学の中心主題に押し上げたのは、
      ほかならぬ自然主義派であった。/しかし、徳田秋声の筆致を偲ばせる地を這う
      ような文体で、北海道の小さな町に生まれた不幸な少年の性の目覚めと遍歴を
      たどっているこの長篇小説には、党派性をうかがわせるなにものもない。自然
      主義が概念として掲げた〝性〟が、ここでは確かな人生の実体として見据えられ、
      少年の心と身体をつらぬきながら、それを超えて彼がめぐり逢った女たちと
      肉親とに、ひとしく流れ込んで行く重く〝暗い流れ〟としてとらえられている
      のである。

    秋声の小説は、和田が「尊敬」、私淑したものであった。この時評の一節は、一冊に
    なった『暗い流れ』のオビにも引用されている。・・・

『ひとつの文壇史』(講談社文芸文庫,2008)読了時には「また、つまらぬ物を読んでしまったorz」
に(⇒ https://yomunjanakatsuta-orz.blog.ss-blog.jp/2015-04-21-1 )、「読みにくく頭に
すーっとは入ってこない文体だが、意外にも面白く読ませるものだった」と書いたけど、この作品も
全く同じ(^_^;) この自伝的小説で興味深かったのは、主人公(和田芳恵だわな)の学費を援助した
資産家・実業家の「佐藤正男」(^_^;) 佐藤家に住み込みの書生になるけど、その放蕩ぶり・火宅が
凄い(^_^;) 検索しても父の佐藤松太郎が石狩市の名士として顕彰された記事しか見付からぬ(^_^;)
タグ:歴史 小説 自伝
コメント(4) 
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コメント 4

爛漫亭

 渋い読書ですね。若い頃の江藤淳もいいですね。
by 爛漫亭 (2023-05-24 23:14) 

tai-yama

"性"と言うとどうしても最近のジャニー・・・・・の件が。
「続きはwebで」はたいてい面白くないと(笑)。
by tai-yama (2023-05-24 23:27) 

middrinn

坪内祐三が週刊文春連載「文庫本を狙え!」で和田芳恵『ひとつの文壇史』
を取り上げましたけど、本作品なんかも、たしかに、渋いですよね(^_^;)
今時、和田芳惠、しかも樋口一葉研究でなく小説で、自然主義です(^_^;)
爛漫亭様、作品の本質を解り易く解説して、作品を文学(文壇)史に適確に
位置付ける文芸時評は平野謙までかと思ってたら江藤淳までですね(^_^;)
by middrinn (2023-05-25 05:45) 

middrinn

「続きはwebで」は面白くないから人気が無くて
連載打ち切りみたいなものなんですかね(^_^;)
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を漫画化した作品が
週刊文春に連載されてて毎週楽しみにしてたのに
tai-yama様、山内豊信の御前でナント坂本竜馬
と桂小五郎の試合が始まったメチャいいところで
「続きはwebで」になっちゃいました(´;ω;`)
by middrinn (2023-05-25 06:44) 

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