ミステリー業界における江戸川乱歩とは、漫画業界における手塚治虫みたいな存在なのかしら(@_@;)

【読んだ本】

戸板康二『あの人この人 昭和人物誌』(文春文庫,1996)所蔵本

「江戸川乱歩の好奇心」という一篇を読んだ(^^) 表題に関連する話も興味深かったけど、演劇評論家
だった戸板康二が江戸川乱歩の勧めで小説を書くようになった話(後に直木賞を受賞)がいいな(^^)

    ・・・/それ[=初めて会って]からしばらくして、「宝石」という
    推理小説の雑誌を、宝石社から、自分が編集して出すという話を聞いた。
    たまたま、「宝石」が創刊されて間もなく、私は十一日会という主として
    演劇人がこしらえたグループの丸の内常盤家でのパーティーに出席し、
    ちょっと遅れて行くと、広間の中央の円卓に、乱歩さん御夫妻がいて、
    その隣の椅子があいていたので、すわらせてもらった。/「何かあなた、
    書きませんか、小説を」といわれ、私は劇場の楽屋に舞台の音が聞こえる
    仕掛のトリックで何となく考えていた筋があったので、「ひとつだけ、
    それでは、書かせて下さい」と答えた。酒杯を手にしていたので、
    大胆になってもいたのだろう。乱歩さんはニッコリして、「ぜひお願いしますよ」
    といった。/私がおどろいたのは、翌日の夕刻、ハガキの速達が来て、
    乱歩さんが「ゆうべの約束お忘れなく」と書いていた。
    これには身ぶるいするような感動があった。/・・・

戸板康二の急逝で夫人の戸板当世子が本書の「あとがきにかえて」を書いてて、次のようにある(^^)

    ・・・/小説を書く様になったのは、あるパーティーで、江戸川乱歩さんに
    お会いして、何か書いてみませんか、とおっしゃっていただき、でもそれは、
    ただ何気なくおっしゃっただけと思っていたら、翌日お葉書をいただき、
    その気になりましたかと言われ、本当にそう思って下さっているんだと分り、
    書く気になったのがはじまりでした。・・・

酒席での依頼ゆえ御愛想だと思ってたところに「翌日」「速達」なのが〈ちょっといい〉(〃'∇'〃)

石川九楊『現代作家100人の字』(新潮文庫,1998)は書から「人格を推理」して「気難しい顔付き」
と評も、「ハガキ」はどんな字だったのかしら(^^) 「昭和三十三年の六月に、雑誌は発売されたが、
表題の脇に乱歩さんが何とも泣かせるような紹介文を書いている。」とあるのも気になる(〃'∇'〃)

・乱歩は人情家だった。ある編集者が失業し、彼に苦衷を訴えたところ、推理小説の原書を数冊・・・

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-06-23

・「推理小説を読んでいらして、ずいぶん早くから犯人がおわかりになるんでしょうね」と質問(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-09-26

・戸板康二の「ちょっといい話」シリーズ4冊から〈真・ちょっといい話〉を選りすぐってみた(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-12-27