「歴史書懇話会 2020年春の特別販売」で去年今年の新刊本が2割引みたい〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
歴史学研究会や日本考古学協会などの大会・年次総会の中止・延期で会場での販売が出来なかったため
学会特別販売価格で通販(⌒~⌒) 参加出版社は明石書店、同成社、塙書房、法蔵館、ミネルヴァ書房、
山川出版社、吉川弘文館、和泉書院、岩田書院、風間書房、慶應義塾大学出版会、高志書院、青史出版、
平凡社、丸善出版、三弥井書店、有志舎__φ( ̄^ ̄ )メモメモ 送られてきた特別販売商品カタログを見て、
某書を去年暮れに買わなくて良かったと一瞬思うも、金欠ゆえ買えないことに気付く(ノ;ω;)ノ ~┻┻
大昔に国際学会(歴史学・考古学に非ず)に参加する先生のお供で北米へ行ったら、会場販売の規模が
日本とは桁違いだし、大会終了近くなるとそれまで販売してた書籍が御自由にお持ち下さいに( ̄◇ ̄;)
昨日の話、近く手にする大金目当てのお誘いが増えて結局オケラになってしまうというオチかも(^_^;)

【読んだ本】

粕谷一希『中央公論社と私』(文藝春秋,1999)

読了(^o^)丿 「中央公論」等の編集長として多くの論客・作家を世に送り出し、評論家を経て、雑誌
「東京人」を創刊した粕谷一希の回顧録で、老舗出版社が衰退していく過程を描くとともに、戦後史
でもある(^^) 大昔に読了済だが(「第二部 修羅と愛惜」は雑誌掲載時にも読んだ)、再読すること
にして、チンタラと「第一部 回想」の「修業時代」「七十周年記念祝典」「『婦人公論』と『思想の
科学』」〈六〇年安保と「風流夢譚」事件〉の4つの章を読んできたけど、続けて「『中央公論』編集
次長」「出会いの季節」の両章、「第二部 修羅と愛惜」も読んで、再読了(^o^)丿 論壇の裏面史とも
言え(文壇のことも少々)、やはり面白い(^^) 文庫化されてたら買ってたのに、されてない(-ω-、)

「風流夢譚」事件に続く『思想の科学』天皇制特集号の発売中止・断裁廃棄事件に端を発した騒動で、
両事件、「そしてそれからの組合や[執筆]拒否グループへの対応といった会社の政策決定に、一切
関与していない」(198頁)粕谷一希の『中央公論』編集長辞任を組合が要求するという理解に苦しむ
話がメインとも言えるのが「第二部 修羅と愛惜」(^_^;) 本書213~216頁から引く(^^)

    ・・・/ともかく、私は結論の出るのを待っていたのだが、なかなか結論も決定も
    出なかったから、編集の日常業務を進めざるを得なかった。そんなある日、ひょっこり
    福田章二君から電話がかかってきた。/──どうも大分たいへんなようですね。
    一度私が慰労したいと思いますけれど、如何ですか。/との誘いである。福田章二君は
    東大在学中に「喪失」という小説で中央公論新人賞を取[ママ]った人だが、私は
    その当時は別の部署にいて会ってはいなかった。・・・

福田章二と「かなりの顔見知りになった」経緯が記された後、次の記述〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/二月の下旬だったろうか。福田章二君と私は池袋で落ち合い、蟹屋で
    ご馳走になった。/──何か私にできることがあったら手伝いますよ。/
    福田君は例の眼玉をクルクルと大きくしながら、私を見つめた。私は少しの酒で
    酔っていたのか、/──そんな気持があるなら、小説を書いてよ。それが一番
    私を助けることになる。/──わかりました。/福田君はこのとき、はっきりと
    やってみることを意思表示してくれたのだった。/・・・/福田章二君の担当は、
    最初は高橋善郎君、後には同じ日比谷高校の後輩である春名徹君に頼んだが、
    二月末になると二月中には書けそうもないというメッセージが届いた。やはり
    私の在任中には実現しないかと思っていると、三月に入っても、進退に関しては
    何の沙汰もなかった。三月下旬、福田君の原稿が、百枚、二百枚、二百六十枚と
    出来ていった。/──題名は「赤頭巾ちゃん気をつけて」、ペンネームは庄司薫
    だそうです。/高橋善郎君は楽しそうに報告した。題名を聞いて私の方が恥しく
    なるような気がしたが、ともかく、少しでも力のある誌面づくりをしたかった。
    私は福田君の厚意と才能を信じてすぐさま入稿するよう高橋君に頼んだ。/
    反響は素早く発売直後から、まだ批評も出ないうちから、高校生らしい声の
    昂奮した調子で、作者の住所を教えてくれといった電話がひんぱんとかかった。
    ちょうど、大学紛争の影響で、東大が入試を中止した直後であった。都会の高校生を
    主人公としたこの小説は高校生たちの感性を刺激し、やさしく鼓舞したのであろう。
    若者たちの感動が口コミで次々に拡がってゆくのがわかった。そして私の編集者生活でも
    こうした文章の力を見せつけられたのは初めての経験で、これまでの卓越した批評や
    思想への反響とは別種の世界があることを私は学んだのであった。/出版界では
    新潮社の伊藤貴和子さんが発売直後に電話をかけてきて庄司薫氏に会いたいという。
    当時はまだ新入社員だったという。・・・

林達夫『共産主義的人間』(中公文庫,1973)巻末の庄司薫「解説──特に若い読者のために」も(^^)

    ・・・/なお最後に私事にわたるけれど、一九六九年の四月、ぼくが十年ぶりに
    『赤頭巾ちゃん気をつけて』という小説をペンネームで発表した時、これを誰よりも
    早くまっさきに評価して下さったのが林さんだった。雑誌が発行されたのとほとんど
    入れちがいに、ぼくは中央公論編集部からのはずんだ声の電話を受けとった。たまたま
    中央公論社に寄られた林さんが、わざわざ編集部を呼ばれ、庄司薫とは一体どんなやつか
    教えろと言われたのだという。「したたかな傑作だって絶讃されてましたよ……。」
    この、ほかならぬ林さんに「したたか」と言われて、ぼくがどんなに嬉しかったか、
    そして、ぼくがどんなに「ツイている」と思ったか……、この『共産主義的人間』の
    読者はおそらく分ってくれるにちがいない。/

・中央公論社と文藝春秋社の社風についての秀逸な寸評もある「修業時代」「七十周年記念祝典」(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-04-07

・人の上に立つ者としての器量もあった嶋中鵬二の逸話もある「『婦人公論』と『思想の科学』」(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-04-12

・『世界の歴史』監修者に池島信平を加えた話にチト謎な〈六〇年安保と「風流夢譚」事件〉(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-04-15