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170809読んだ本

では、問題(^o^)丿「天の声にも変な声があるなあ、と思いましたよ。」とは誰の発言でしょう?
ヒントは〈昭和の黄門〉で、正解はCМの後(^o^)丿ヾ(-_-;)オイオイ...この記事の最終行に(^。^;)

【読んだ本】

樋口芳麻呂&後藤重郎(校注)『定家八代抄―続王朝秀歌選―(上)』(岩波文庫,1996)所蔵本

平忠度が藤原俊成に頼み、千載集に撰ばれた例の読人しらずの歌「さざ波やしがの都はあれにしを
むかしながらの山ざくらかな」は本書にも入っている(^^) その歌意を「志賀の大津の都は荒廃して
しまったが、長等山の山桜は、昔のままの美しさだ。」と本書脚注は記す(^^) 忠度の同歌に続けて
藤原定家は古今集の平城天皇御製「古郷となりにし奈良の都にも色はかはらずはなはさきけり」を
撰び出して並べてる(その歌意を本書は「旧都となってしまった奈良の都にも、美しい色は変らず
花は咲いていることだ。」)(^^) 忠度の同歌の詞書に「故郷[ノ]花といへる心を」とあるけど、
忠度が紀州熊野で生まれ育ったという話はあるも、江州大津との地縁は定かではない以上は、この
「故郷」は片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)の「ふるさと【古里・故郷】」
の項に言う「(三)昔、都のあった所」と解するのが普通だわな(^^) 歌を作者の実人生に照らして
鑑賞することになっちゃうけど、薬子の変でも明らかになったように、旧都=平城京への平城帝の
思い入れの強さを考慮すると、忠度の同歌よりも深~い味わいのある歌に思えてくるんだよね(^。^;)
とまれ、御覧の通り、誰が見ても両歌のテーマは同一だよね(^^) 片野達郎&松野陽一(校注)『新
日本古典文学大系10 千載和歌集』(岩波書店,1993)が「俊成は、平氏への鎮魂の意をこめ、滅びの
世界の中に花の美の永遠を讃えたこの一首を撰入した。」と忠度の同歌を評してるように、荒廃した
旧都に象徴される人為的な栄華の儚さとは対称的な、自然=花の美の永遠性を歌い上げているね(^^)
久保田淳(校注)『新潮日本古典集成 新古今和歌集』(新潮社,1979)上巻の巻末の「解説」には、
「たとえ地上にどのように激しい人と人の争いがあろうとも、喜怒哀楽が繰り拡げられていようとも、
それらとは関わりなく自然はめぐってくる。そのような自然の大きな回帰性を思わせるのが、『新古
今和歌集』巻第一春歌上の最初の部分である。」とあるけど、「自然の大きな回帰性」が新古今集の
専売特許の意ではないはず^_^; 四季のサイクルが繰り返されて、しかも、ソレは永遠に続いていく、
と自然を捉える「自然の大きな回帰性」を忠度と平城帝の両歌は主題にしている、とも評せる(^^)
以上、忠度と平城帝の詠んだ両歌のテーマが、花の美の永遠性・自然の回帰性なのは明らかだけど、
忠度の同歌についてトンチンカンな理解をしてる記述が(゚ロ゚;)マジ!? 《平安末期の歌人、藤原俊成は
頭を抱えた。「千載和歌集」の撰者として、平家の名将平忠度の歌を載せたいのだが、後白河法皇の
命で選ぶ歌集には適さない。平家は源氏に敗れ、いまや「朝敵」である▼〈さざ浪や志賀の都は荒れ
にしを昔ながらの山桜かな〉。大津京の栄華をしのぶ歌を採ると決めたが、忠度の名ははばかれる。
「詠み人知らず」とした▼・・・》と5/24の朝日新聞「天声人語」は綴るが、忠度の歌を「大津京の
栄華をしのぶ歌」だなんて、「頭を抱えた」ぞ(+_+) 天声人語子は文章力に加え読解力もペケ(^。^;)
「大津京の栄華をしのぶ歌」を千載集から探すと、祝部宿禰成仲の「さゞ波や志賀の花園見るたびに
むかしの人の心をぞ知る」がニアかな(^^) 同歌を片野&松野は「さざ波の志賀の古京の桜の花園を
見るたびに、花を愛した昔の人の心を知ることだよ。」と訳して、「琵琶湖畔の眼前の桜の花から、
作者の想いは歴史的回想へと流れて行く。」と評釈してるし(^^) 法性寺入道前太政大臣(藤原忠通)
「さゞ波や国つみ神の浦さびて古き都に月ひとりすむ」なども「さざなみの近江国の護り神の御心は
冷えて、この志賀の大津の廃都には月だけが澄[・住]んでいることだ。」(片野&松野)という
歌だから、「大津京の栄華をしの」んでるかな(^^) とまれ、忠度のを「大津京の栄華をしのぶ歌」
などと解するのは誤りだと100%断言できる(^^) それにしても、天声人語の書き写しを生徒にさせる
授業が行われているけど、こーゆー天声人語の間違いも担当教員はちゃんと教えてるのかしら(@_@)

福田赳夫首相の総裁選敗戦の弁^_^; 吉村克己『戦後総理の放言・失言』(文春文庫,1988)参照(^^)
タグ:和歌 古典 政治
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