SSブログ

240127読んだ本

摩訶不思議なのは13000円の新品が今も入手可能なのに44000円で古本を出品してるショップ(@_@;)
元の所有者が実は超人気グラドルで、その手汗と匂いが染み・・ヘ(__ヘ)☆\(^^; 冗談はさておき、
空売り転売屋かなと思いながら毎日チェックしてたら今日消えたけど、買った人がいるのか(@_@;)

【読んだ本】

駒田信二『漢詩名句 はなしの話』(文春文庫,1982)所蔵本

今回(前回⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2024-01-23 )は李白「静夜思」
(=「・・・静かな夜、故郷を思ってうたう歌の意。」)から「頭[こうべ]を挙げて山月を望み、
頭を低[た]れて故郷を思う」(^^) 次の引用は例の如く一部の漢字は字体が異なる(^_^;)

    牀前看月光 牀前[しょうぜん]月光を看[み]る
    疑是地上霜 疑うらくは是れ地上の霜かと
    擧頭望山月 頭を挙げて山月を望み
    低頭思故郷 頭を低れて故郷を思う

〈/起句の「牀前」の「牀」とは寝台。/「牀前」というだけで、すでに、眠れずにいる「静夜」の
思いをあらわしている。平易な言葉で十分に静夜の望郷の思いを表現した佳篇である。〉と記して訳
が無く、駒田信二『中国詩人伝』(芸術新聞社,1991)も同様なのは、「平易な言葉で・・・表現」
されてるからということかな(@_@;) 本書は土岐善麿、井伏鱒二による訳詩を紹介、一方は「原詩
をなぞったような訳詩で、そのとおりというほかないが、原詩の持つ無限の味わいは薄れている。」
と、もう一方は「・・・余韻があってすばらしい。」と評してる(^_^;) 松浦友久『李白 詩と心象』
(社会思想社現代教養文庫,1970)も巻頭の「序にかえて」の冒頭で取り上げてるが、訳詩のような
ものを併記するだけで訳は無いので、渡部英喜『漢詩歳時記』(新潮選書,1992)から摘出(^_^;)

    寝台の前に月の光りが白く差しこんでいるのを見て、地上に降った霜ではないかと
    見まごうほどでした。

    頭を挙げて、山の端にかかっている月を眺めているうちに、故里のことを懐かしく
    思い起こされ、頭は知らず知らずうなだれていくのです。

第三句から第四句への流れが自然と思える訳だけど、「頭を低れて」と「故郷を思う」の順番が逆に
なってるのは気になる(@_@;) 松浦友久『中国詩選 三 唐詩』(社会思想社現代教養文庫,1972)は
「思わずふり仰いで、山の端にかかる明月を望む。──しかし、いつか項[うな]だれて、遠く故郷
の人々を思いうかべる。」、前野直彬(注解)『唐詩選 (下)』(岩波文庫,1963)は「そして頭を
あげて山の端の月を望み、また、うなだれて故郷のことを思いめぐらすのである。」とする(@_@;)

ただ、この第四句の訳よりも、もっと気になる点が二つある(@_@;) 一つは、例えば、吉川幸次郎
&三好達治『新唐詩選』(岩波新書,1952)も〈・・・/「床前に月光を看る」。床[しょう]とは
ベッドであるが、中国のベッドは西洋のそれぐらいの大きさ、あるいはそれ以上の大きさで、部屋の
中央に位する。人は夜そこでねるばかりではない。昼間の何くれとない時間をも、その上でくつろぎ
つつすごす。/ところで今は夜である。床の前のしき瓦のところまでさしこんで来る月の光。・・・〉
と解説しているように諸書は「牀」を「寝台」と解するが、谷沢永一『紙つぶて 自作自注最終版』
(文藝春秋,2005)には次の件が(@_@;)

    ・・・台湾生まれの張明澄が『誤訳・愚訳』『間違いだらけの漢文』(共に久保書店)を
    書き、東京大学教授・前野直彬『唐詩選』(岩波文庫)や京都大学名誉教授・吉川幸次郎
    の『新唐詩選』(岩波新書)における注釈をヤリ玉にあげているのに対し、当事者から
    真剣な正否の反論を聞きたいのが読書人の願いだ。/▽『新唐詩選』に取り上げられた
    李白の「長干行」、その「牀をめぐりて」を吉川が「ベッドのぐるりをぐるぐるまわり
    ながら」[←原文は「床[ベッド]のぐるりをぐるぐる遶[まわ]りながら」が正確]と
    解したのに対し、張明澄は中国の寝室の構造から考えて誤りと断定、「牀は井戸をかこむ
    ために木で作られた欄干」だと説く。これほど極端にかけ離れた対立に際しては、やはり
    責任ある解決への姿勢を示してほしい。/

この「長干行」の「牀」については同書の他の項の「自注」において谷沢永一は自ら調べて「・・・
とんでもない間違いなのである。」と断定しているけど、今回の「静夜思」の「牀」も実は「井戸」
の「欄干」=「手摺り」であったとしても、作品全体が壊れるようなことはないような気も(@_@;)
タグ:古典 中国
コメント(4) 
共通テーマ:

コメント 4

tai-yama

李白さんも栃木に住んでいたら故郷のことなんか思い起こすことも
なかったのに・・・。私の場合は、頭を垂れてクレームを想う(悲)。
by tai-yama (2024-01-27 19:27) 

middrinn

栃木では月が見えないんだ( ̄◇ ̄;)
by middrinn (2024-01-28 05:33) 

df233285

高校の教科書の中にこの「牀前」を、「寝る前に」とか、ぼかして
訳しているものが、確か無かったか?
by df233285 (2024-01-28 06:26) 

middrinn

ナルホド(^_^;) ただ、「寝る」は「牀」=寝台が前提ですし、
他方で、「寝る前に」「井戸」で何をするのでしょうね(^_^;)
by middrinn (2024-01-28 15:08) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。